エヌビディア株購入で大勝負!ロンドンの資産運用会社が狙うAIブーム

2024年6月、エヌビディア(NVDA)の株価が下落した際、ロンドンを拠点とする500億ドル規模の資産運用会社であるインパクス・アセット・マネジメントは、この売り局面を好機と捉え、ひそかにエヌビディア株を購入しました。インパクスのCEOであり創設者でもあるイアン・シム氏は、過去にエヌビディアを見逃したことを後悔しており、その失敗を修正する絶好のタイミングを待っていたと述べています。

エヌビディアの株価上昇とシム氏の判断

エヌビディアの株価は、ここ数年で驚異的な成長を遂げました。2023年の年初来で株価は800%上昇し、多くの投資家に大きな利益をもたらしました。しかし、シム氏率いるインパクスは、その急激な株価上昇を見過ごし、参入する機会を逃してしまったと感じていました。シム氏は「我々は彼らの製品の市場潜在力を過小評価していた」と述べ、エヌビディア株が高価であるため、慎重に様子を見ていたことを明かしています。

2023年初め、エヌビディアの株価が下落し、一時は時価総額が1兆ドル近くも減少しました。しかし、その後、株価は回復し、現在の時価総額は約3兆2000億ドルとなっています。シム氏は、この評価額でさえもエヌビディアの本来の価値を過小評価していると考えています。

インパクス・アセット・マネジメントの持続可能な投資戦略

インパクス・アセット・マネジメントは、1998年に設立され、持続可能な経済への移行をテーマにした資産運用を行っています。シム氏は、この戦略が顧客の利益を追求することと両立すると強調していますが、近年の厳しい市場環境により、同社のパフォーマンスは低迷しています。

エネルギー危機や金利上昇、さらにテクノロジー大手「マグニフィセント・セブン」の台頭により、グリーン投資はリスクの高いものと見なされるようになりました。2024年に入り、インパクスの株価は約30%下落しており、S&Pグローバル・クリーンエネルギー指数も10%以上の下落を記録しています。一方、S&P 500は同期間で20%以上の上昇を見せています。

エヌビディア株への積極的な投資

インパクスは、エヌビディアの株価が下落した6月のタイミングで大きく動きました。第1四半期末には140万株だったエヌビディアの保有株を、月末までに490万株へと3倍以上に増やしました。この動きは、ブルームバーグのデータによっても確認されています。シム氏は、AIブームがエヌビディアのチップ需要を押し上げると予測しており、同社のさらなる成長に期待しています。

シム氏はさらに、エヌビディアのエネルギー効率の高さが、長期的な成長において重要なポイントであると指摘しています。同社が開発する最新のBlackwellチップは、AI関連技術において大きなエネルギー削減効果をもたらしており、気候変動の観点からもエヌビディアを保有することは合理的だと述べています。

インパクスの多様なポートフォリオ戦略

インパクスは、エヌビディアを5つの異なる戦略ファンドで保有しており、その中には40銘柄に限定された「グローバル・オポチュニティ・ポートフォリオ」も含まれています。このポートフォリオは、多様なビジネスモデルを持ち、高成長市場で活動する「人気のない」企業を中心に構成されています。シム氏は、エヌビディアと同様にマイクロソフト(MSFT)も過小評価されていると見ており、AIのさらなる普及により同社の成長が見込まれると考えています。

米国経済と株式市場の今後の見通し

シム氏は、現在、テクノロジー企業全体が過小評価されていると指摘しています。米国経済のソフトランディングが現実味を帯びつつあり、投資家の信頼も回復しているため、株式市場の状況は好転する可能性があります。資本コストが低下し、消費者心理も安定しているため、株式はますます魅力的に映るとシム氏は述べています。

まとめ

エヌビディアの株価低迷を捉えたインパクス・アセット・マネジメントの動きは、今後のテクノロジー市場やAIブームを見越した賢明な判断と言えるでしょう。エネルギー効率に優れたチップの開発や、持続可能な経済への移行を視野に入れた投資戦略は、今後の市場環境でも注目されるポイントです。エヌビディアの成長ポテンシャルを見逃していたインパクスが、今回の売り局面における投資で、どうその失敗を挽回していくのか、引き続き注視する価値がありそうです。

*過去記事はこちら  エヌビディアNVDA

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