エヌビディア(NVDA)は、過去5年間で劇的な変化を遂げました。5年前には仮想通貨市場の崩壊によりサイクルの底に近づいていましたが、現在ではグラフィックス処理ユニット(GPU)が人工知能(AI)モデルの作成に高い需要があるため、新たな高みに達しています。この驚異的な成長について、The Motley Foolが詳細に分析しています。以下は、その記事の内容を紹介します。
エヌビディアの最高クラスのGPUが直面する競争
The Motley Foolによると、エヌビディアのGPUは間違いなく最高クラスです。AIモデルを作成するためのツールを提供する大手企業がエヌビディアのGPUをほぼ独占的に使用している理由は明白です。しかし、その独占状態は徐々に変わりつつあると指摘されています。
GPUは並列計算を行うために優れており、AIモデルの作成に最適です。しかし、GPUがAIモデルのトレーニングだけを行う場合、Google Cloudのテンソル処理ユニット(TPU)など、より効率的なハードウェアが存在します。これにより、特定の目的に合わせたカスタム設計のAIチップがGPUの性能を上回るケースが増えてくると予想されます。
さらに、Amazon Web Services、Microsoft Azure、Meta Platformsなどの企業もカスタム設計のチップを開発しており、エヌビディアにとって新たな競争相手となる可能性があります。これにより、エヌビディアのGPUへの需要は高いままですが、現在ほど高くはないかもしれません。
将来的なGPUの置き換え需要
エヌビディアにとって良いニュースは、過去1年間で記録的な数のGPUを販売したことです。The Motley Foolは、これらのGPUが最終的に置き換えが必要になると指摘しています。データセンターでのGPUの寿命は一般的に3~5年であり、その後、社内設計の新製品やエヌビディアの最新製品に置き換える必要があります。
これにより、実質的に長期的なサブスクリプション効果が生まれ、現在販売されている製品の置き換え需要が5年後にも発生する可能性があります。また、新しいチップ技術(例えば、台湾半導体の2ナノメーターチップ技術)は、より強力で効率的なGPUを提供し、長期的にユーザーを支援するでしょう。
株価に既に織り込まれているリスク
エヌビディアの株価は高価であり、The Motley Foolはこれに対するリスクも指摘しています。現在の株価は過去の利益の73倍、将来の利益の46倍で取引されており、すでに大幅な成長が織り込まれています。
エヌビディアの驚異的な売上高利益率(約60%)についても触れられており、この高い売上高利益率が多くの企業が社内でチップを設計する主要な理由であると説明されています。現在はエヌビディアのGPUへの需要が非常に高いため、同社は製品にプレミアム価格を設定できますが、いずれはそうではなくなり、売上高利益率は今後5年間で低下する可能性があります。
まとめ
The Motley Foolの記事では、エヌビディアの過去5年間の成長と今後5年間の展望について詳しく解説されています。エヌビディアの製品への需要は高いままでしょうが、今後数年間で社内設計のソリューションによる課題に直面する可能性があるとされています。「企業のマージンは競合他社のチャンスである」という古い格言があるように、エヌビディアの利益率がこれほど高い場合、競争が生まれるのは避けられません。その結果、今後5年間でエヌビディアの株価に圧力がかかる可能性があります。
*過去記事はこちら エヌビディアNVDA