エヌビディア GPUの対中輸出に制限、売上高に影響か

エヌビディア(NVDA)は8月31日、米国政府が同社の主力半導体の中国への輸出を制限しようとしていることを明らかにしました。

米国の証券取引委員会(SEC)に提出した書類の中で同社は、米国政府が、中国とロシアへの販売において、同社のサーバー向け最高性能GPUであるA100と近日発売予定の次世代GPUH100に新しいライセンス要件を設けたことを明らかにしました。

A100は、エヌビディアのウェブサイトによると、人工知能、データ分析、高性能コンピューティングアプリケーション用のデータセンターで使用されています。

この書類の中でエヌビディアは、今季の売上予定に含まれている売上高4億ドルの中国向けデータセンター向けGPUの案件が規制の影響を受ける可能性があることも明記しています。

エヌビディアの広報担当者は、電子メールによる声明の中で、「我々は、中国の顧客と協力して、代替製品で彼らの計画的または将来の購入を満たすように努めており、代替品が十分でない場合にはライセンスを求める可能性があります」と述べています。同社によれば、「新しいライセンス要件が適用される現在の製品は、A100、H100、およびそれらを含むDGXなどのシステムのみ」とのことです。

エヌビディアはSECに提出した書類の中で今回の米国政府の決定がH100の開発に影響を与える可能性があることを認めており、「A100とほぼ同等の閾値以上のピーク性能とチップ間I/O性能の両方を達成する将来のエヌビディア集積回路、およびそれらの回路を含むあらゆるシステム」が同じ要件に直面することになり、データセンターセグメントにおける将来のビジネスが損なわれる可能性があると述べています。

「新しいライセンス要件は、H100の開発を適時に完了する能力やA100の既存顧客をサポートする能力に影響を与え、中国から特定の事業を移行する必要がある可能性があります」と書類には書かれており、同社は(米国政府と)係争中であり、同社内部の開発およびサポート活動に対する免除を求めているとのことです。

エヌビディアは、米国政府の承認を必要とする製品の要件は、対象製品が中国とロシアの「軍事最終用途」または「軍事最終ユーザー」に使用されたり、転用されたりするリスクに対処するためのものだと述べています。

エヌビディアは現在ロシアへの販売は行っていませんが、中国の顧客への販売に米政府の承認が必要との通知を8月26日に受け取ったそうです。ライバルのチップメーカー、アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)も、米国当局から同社のトップAI半導体の中国への輸出を停止するよう指示されたと8月31日に発表しています。

AMDはこの規制が同社のビジネスに重大な影響を与えるとは考えていないと述べていますが、エヌビディアにとってデータセンター事業は現在、同社最大の事業部門であり、急減しているゲーミングカード事業の売上を補う主力事業であるだけに今回の問題は痛手になる可能性があります。

ファクトセットによると、同社のデータセンター事業の売上は一昨年の67億ドルから昨年は106億ドルに増加し、アナリストの平均では、今年の売上は157億9000万ドルに達すると予想されています。

このニュースを受けてエヌビディアの株価は8月31日の時間外取引で6.5%安と大きく下落しています。他の半導体メーカーもAMDが4%安、インテル(INTC)が1.5%安など下落していますが、エヌビディアの下落幅が最も大きくなっています。

*過去記事はこちら  エヌビディアNVDA

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