経済成長の鈍化はほぼ確実で、もしかしたら、不況になる可能性さえあると言われる昨今。こんな時だからこそ、多少のの苦境を乗り切ることができる優良企業をポートフォリオに加えることが大切です。そんな銘柄をモトリーフールがピックアップしていますので、ご紹介します。
TモバイルUS(TMUS)
米国の通信大手のTモバイルは、不況を乗り切り、さらには不況から利益を得るために、市場で最も良い投資対象であると思われます。なぜなら、Tモバイル は低価格の携帯電話プランを提供しており、ほとんどの人にとって、携帯電話のインターネットに関する費用は予算を切り詰める対象としては一番最後に手をつけるものだからです。
Tモバイルは伝統的に競合他社より低価格であるだけでなく、2020年のスプリントとの合併後、5Gの普及では競合他社より2年リードしていると言われます。5G携帯を手にする人が増え、消費者が低価格の5Gオプションを探す中、Tモバイルはそのカバレッジの広さと低いコストで大きな勝利をおさめる可能性があります。
Tモバイルは、5Gネットワークでの開発を迅速かつ容易にすることを目的とした新しい開発者プラットフォーム「Tモバイル DevEdge」を発表したばかりで、新しい5G「キラーアプリ」を促進しようとしています。Tモバイルは3月23日の5Gイベントで、没入型の5G体験を実現するためにレッドブルおよびウォルト・ディズニーとの提携も発表しています。
そして、5Gは単なるモバイル体験にとどまらないかもしれません。多くの地域で、5Gは新たなブロードバンド技術としても通用する可能性があるのです。実際、Tモバイルは現在、全米で5Gの固定ブロードバンドプランを展開しているところですが、その価格は月額わずか50ドルです。これは、従来の有線ブロードバンドの価格を大きく下回るものです。
毎月の定期的な出費を少しでも抑えたいと考える顧客は、安価なTモバイルの5Gブロードバンドを試したいと思うかもしれません。そして、この製品がうまくいけば、同社にとって巨大な新市場となる可能性があります。
バリュエーションの懸念については。Tモバイルは直近12ヶ月の利益の53倍と割高に見えるかもしれませんが、今年の後半にはそれも解消されると思われます。経営陣は、フリーキャッシュフローが昨年の56億ドルから今年は71億ドルから76億ドルに増加し、2023年には130億ドルから140億ドルに達すると見ています。
Tモバイルがこの予測を達成すると仮定すると、株価は2023年のフリーキャッシュフローの12倍程度で取引されているに過ぎません。つまり、Tモバイル には、他の多くの高価格帯の株価の消費財メーカーが抱えるようなバリュエーションの懸念はないのです。
Tモバイル は、不況下でも持ちこたえることができる珍しいハイテク株であり、今買うべき銘柄のリストに加わる資格を有していると思われます。
インテュイティブ・サージカル(ISRG)
インテュイティブ・サージカルはロボット支援手術のリーダーです。同社の手術用ロボット「ダヴィンチ」は2000年に米国食品医薬品局(FDA)から承認を得ました。それから20年以上経った今でも、国内外を問わず好調な成長を続けています。
医療銘柄は不況に強いと言われていますが、さらに、インテュイティブは、ダヴィンチの手術プラットフォームで重要な利点を持っています。
ダヴィンチは高価な機械であるため、いったん病院や手術センターに設置されると、ずっと長く使われることになります。手術チームがダヴィンチロボットの使い方を習得すれば、立ち上げに必要な時間を考えると、他のシステムに乗り換える可能性はさらに低くなります。また、販売後も、使い捨ての機器やサポートサービスから定期的な売上が得られます。
したがって、不況であろうとなかろうと、インテュイティブは10%台半ばの売上成長率でしばらく成長を続けると思われます。また、利益率も非常に高いのが魅力です。昨年は57億1,000万ドルの売上に対して17億4,000万ドルのフリーキャッシュフローを生み出し、フリーキャッシュフローの利益率は30%に達しています。
安定した成長と収益性は、不確実な時代には強力な組み合わせであり、それが当面の間、この株式を魅力的な投資対象とすると考えられます。
経営陣は、ダ・ヴィンチ・ロボットによる手術件数が今年11%から15%伸びると予想しています。ダヴィンチの新型システムの販売も加わり、今年も2桁の成長率が期待できそうです。インテュイティブは、86億2,000万ドルの現預金と無借金というクリーンなバランスシートも持っています。安定性を求めるのであれば、これほど安定した医療ハイテク株はほとんどないと思われます。
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ファイバー・インターナショナル(FVRR)
フリーランサー・プラットフォームの専門企業、ファイバーのビジネスは絶好調です。年間売上高は過去3年間で4倍になりました。同社が財務データを公開し始めてから毎年、ファイバープラットフォームのアクティブな購入者数と購入者一人当たりの平均年間支出額は、ともに2桁の割合で増加しています。
そして、この爆発的な成長を継続する可能性は、非常に大きいと思われます。同社は昨年、2億9,800万ドルの売上を計上し、TAM(獲得可能な最大市場規模)は、フリーランスサービスの年間売上高で米国内だけで1,000億ドル以上と推定されています。
このような基礎的な強さに加えて、ファイバーは将来、国内および世界の経済システムの減速から恩恵を受けると予想されています。いわゆるギグ・エコノミーは、すでに伝統的な雇用市場を破壊しており、この革命は加速すると見られています。
しかし、同社の株価は昨年1年間で64%も下落しました。ファイバーの株式の16%近くが空売り筋に貸し出されているため、悲観的な雰囲気はまだ強いままです。しかし、同社はアナリストの予想を打ち砕き、強気のガイダンス目標を提示するのが常です。
ファイバーの高い業績とウォール街の低い期待値との間のミスマッチは、同社株の絶好の買い場のように思えます。近い将来の景気減速を予想するなら、同社の魅力度はより一層増すものとなります。
*過去記事はこちら ファイバー FVRR