ナノックス 決算発表後に急落

医療画像処理企業のナノックス・イメージング(NNOX)、通称ナノックスの株価は、2021年第2四半期の決算発表の後、8月10日に急落しました。

同社の純損失は前年に比べて大幅に拡大しましたが、これが株価が売られた主因ではないかもしれません。

投資家を不安にさせる経営陣の入れ替え、さらに、株式で資金を調達する2つの買収を行うことが合わせて発表されており、これが10日の急落につながったのかもしれません。

この記事を書いている現在(8月10日米国東部夏時間2:40PM)、株価は前日比12.65%減の26.31ドル。一時は17%近くも下落していました。

ナノックスは6月に、主要な医療用画像機器であるマルチソースの「ナノックス.ARC」を米国食品医薬品局に承認申請しましたが、現在も承認待ちの状態です。

まだ収益化前であるため、1,360万ドルの純損失(昨年の純損失の2倍以上)は驚くべきことではありません。

予想される将来のビジネスに備えて、今はお金を使わなければならない時期だと言えます。10日のプレスリリースで、経営陣は2024年末までに15,000台のマルチソースのナノックス.ARCマシンを展開するという目標を繰り返し述べています。

ナノックスの経営陣は、マルチソースのナノックス.ARCだけではなく、その先を目指しているようです。

10日、同社は 「グローバルに接続されたエンド・ツー・エンドの放射線治療ソリューションおよび人口保健プラットフォーム 」の構築を支援するために、2つの会社を買収することを発表しました。

最初の買収は、人工知能を使って医療画像からパターンを見つけ出し、健康問題を早期に発見するゼブラ・メディカル・イメージングで、買収額は最大2億ドルになる見込みです。

もう1つの買収は、USARADで、買収額は最大で3,000万ドルで、同社は300人の認定放射線技師を擁しています。

これらの買収は、主にナノックスの株式で賄われており、これが今日の株価の足かせとなっているようです。

投資家は、経営陣の入れ替えについても懸念していると思われます。

現CEOのRan Poliakine氏は、エグゼクティブ・チェアマンにとどまり、現取締役のErez Meltzer氏が後任に就きます。また、CFO(最高財務責任者)のイツァーク・マーヤン氏は、9月までにラン・ダニエル氏に交代します。

このような経営陣の入れ替えは、定かではありませんが、内部対立のシグナルであるとも考えられます。いずれにしても、株主が不安を感じていることは間違いなく、株価急落の一因になっています。

 

そうは言っても、現在のところ、ナノックス株への投資仮説は変わっていません。

同社は、マルチソースのナノックス.ARCをFDAに承認してもらい、生産と商業化を開始する必要があります。それにはやはり時間と資金が必要です。現在のキャッシュ・バーン・レートや1億9,340万ドルの現金、現金同等物、市場性のある有価証券を考慮すると、同社はその両方を十分に持っていると思われます。

将来を考えると、今回発表された買収は、そのビジョンを実行すれば、ナノックスを魅力的な会社にする可能性に満ちています。

数年後には、1日に15,000台のマシンで複数の画像を撮影することができ、非常に大きなデータセットをナノックスは得ることができます。

そこで、ゼブラ・メディカル・イメージングとUSARADは、ナノックスが実用的な洞察を導き出し、世界中の医療を向上させるのに役立つことになります。

これは一夜にして実現するものではありませんし、それまでの間に多くの問題が起こる可能性もあります。しかし、今のところ、そのビジョンはエキサイティングです。

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