テラドック 2021年は雌伏の1年に

テラドック(TDOC)の株価が冴えません。昨年は株価が140%近くも上昇し市場の寵児の趣がありましたが、今年の2月以降は一転、スティ・アット・ホーム銘柄、日本で言う巣ごもり銘柄の中でもピーク時からの下落率(約50%)が大きい銘柄のひとつに名を挙げられることが多くなっています。

では、最近の急激な株価の下落が示すようにテラドックの業績も悪化しているのでしょうか。米国では多くの人々以前の日常生活に戻っていますが、このことはテラドックのビジネスに悪影響を与えていません。同社は以前として成長を続けています。第1四半期の売上は151%増加しました。また、訪問者数は56%増の320万人に達しています。この数字が示すようにオンライン診療の人気が高まっているのはコロナ禍の影響だけではないようです。

同社の第1四半期決算説明会で、CFOのMala Murthy氏は、「2021年は投資の年になると予想している 」と述べています。計画には、製品の発売、新しい市場への拡大、約7ヶ月前に買収したリボンゴを完全に統合することなどが含まれています。

リボンゴは、売上拡大の大きなチャンスとなります。高血圧や糖尿病などの慢性疾患のバーチャル管理に関する専門知識をテラドックにもたらしました。テラドックは、第 1 四半期に 62,000 人の慢性疾患患者を登録しました。これは、前年同期のリボンゴの登録数に比べて66%の増加でした。また、2つ以上の慢性疾患プログラムに登録した患者数は、前年同期比で3倍に増加しました。

両社の統合はまだ完了していません。4月にテラドックは、会員が同社のアプリから直接リボンゴのプログラムに登録することを開始できるようにしました。

同社は、他の方法でもシームレスな体験の実現を目指しています。例えば、医師はテラドックのワークフローシステムを通じて、自分の患者をリボンゴのプログラムに直接紹介することができるようになりました。

テラドックはまた、リボンゴ・プログラムを病院システムに販売することによる成長も期待しています。同社によると、この市場ではすでに「いくつかの取引」が成立しているそうです。

さらにテラドックは、プライマリーケアサービスの拡大にも取り組んでいます。最近、フォーチュン 1000の企業数社と契約を締結しました。これらのプログラムは、来年の第1四半期までに全国で開始される予定です。2021年の売上に大きく貢献することはないでしょうが、来年以降には効果が出てきそうです。

これらの現状が示すように、今年2021年は将来のための基盤整備の年、成長のための力を蓄える、雌伏の年となりそうです。

ただ、そうは言っても成長が止まっているわけではありません。同社によると、今年の売上は85%も増加して20億ドルを超える可能性があり、総訪問者数は1,250万~1,350万人の範囲に収まるだろうとのことです。これは、2020年の1,060万件と比較すると18%〜27%の増加となります。

このように成長はしていますが、昨年のような驚異的な実績の再現は当面は難しいと思われます。ただ何年先かは分かりませんが、この雌伏の1年の成果が起爆剤となって株価が再び大きく上昇するときがやってくるはずです。

世界の遠隔医療市場は、2020年の797.9億米ドルから2027年には3,967.6億米ドルに成長すると予測されています。テラドックはその市場におけるトップ企業。投資を中長期で考えているならば、テラドックをポートフォリオに加えるいい機会かもしれません。

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