データドッグ株はまだ上がる?年初来94%急騰でも目標株価350ドルの理由

✨ この記事でわかること

  • バーンスタインがデータドッグの投資判断を引き上げ、目標株価を237ドルから350ドルに大幅上方修正しました。
  • オープンAIとみられる大口顧客による1億ドル超の契約縮小を、AI関連需要の拡大が補う可能性が浮上しています。
  • データドッグ株は10月19日の取引時間中に6.09%上昇しており、今後の成長性と株価に織り込まれた期待の大きさが注目されます。

AI関連企業のなかで、投資家の評価が大きく変わりつつある銘柄があります。クラウド監視ソフトウェアを提供するデータドッグ(DDOG)です。

米投資情報専門誌バロンズは10月19日、データドッグに対するアナリストの評価引き上げについて報じました。

注目されるのは、以前から懸念されていた大口顧客の契約縮小について、AI関連需要の拡大がその影響を補いつつあるとの見方が出てきたことです。

バロンズの元記事はこちら

バーンスタインが目標株価を350ドルに引き上げ

バロンズによると、調査会社バーンスタインのアナリストは10月19日、データドッグの投資判断を従来の「マーケットパフォーム」から「アウトパフォーム」に引き上げました。

同時に、目標株価を237ドルから350ドルへ約48%引き上げています。

10月16日の終値247.11ドルを基準にすると、新しい目標株価は約42%の上昇余地を示します。

この評価変更の背景にあるのが、データドッグのAI関連顧客による利用拡大です。

データドッグは、企業が利用するクラウドシステムやアプリケーションの稼働状況を監視し、障害や性能の問題を発見するためのソフトウェアを提供しています。

AIアプリケーションが複雑化するほど、システムの状態を把握し、安定稼働を支える仕組みの重要性が高まります。

半導体やデータセンターだけでなく、それらの上で稼働するAIサービスを支えるソフトウェアにも成長機会があるという点は、投資家にとって重要です。

データドッグについては、以前の記事でもアナリストの評価変更を取り上げています。当時は目標株価の引き下げが相次ぐなかでも、長期的な成長力を評価する動きが見られました。

関連記事:データドッグに再評価の波 目標株価引き下げでも買いが入った背景

オープンAIとみられる大口顧客の問題に変化

データドッグをめぐっては、大口顧客との契約縮小が懸念材料となっていました。

バロンズの記事で紹介されたバーンスタインの分析では、データドッグの最大顧客が年間契約額を1億ドル以上削減したとされています。

バーンスタインは、この顧客がオープンAIであると推測しています。ただし、オープンAIが当該顧客であると確認されたわけではありません。

今回の注目点は、契約縮小そのものが解消されたという話ではないことです。

バーンスタインは、ほかのAI関連需要の拡大によって、契約縮小の影響がほぼ相殺されている可能性があると判断しています。

これは、特定の大口顧客に依存するリスクを考えるうえでも興味深い変化です。

顧客の利用状況が変動しても、ほかの企業によるサービス利用が増えれば、事業全体の成長を維持できる可能性があります。

一方で、今回の分析はアナリストによる推計であり、実際の売上高や利益への影響については、今後の決算で確認する必要があります。

オープンAIをめぐる動きとソフトウェア株の関係については、以前の記事でも取り上げました。AI企業の事業環境の変化が、既存のソフトウェア企業に対する投資家の評価を変える可能性があります。

関連記事:オープンAI IPO延期でAI相場に異変 SaaS株急騰とオラクル下落の意味

AI需要の増加がデータドッグの成長につながる理由

AI市場の拡大というと、エヌビディア(NVDA)のGPUや、大手テクノロジー企業によるデータセンター投資に注目が集まりがちです。

しかし、AIサービスを提供する企業には、計算処理能力とは別の課題があります。

AIアプリケーションが正常に動いているか、処理速度が低下していないか、システム障害が発生していないかを継続的に監視する必要があることです。

データドッグは、こうした運用管理を支援するソフトウェアを手がけています。

AIサービスの利用者が増加し、処理するデータやシステムの規模が拡大すれば、監視・分析サービスに対する需要も増える可能性があります。

つまり、データドッグはAIモデルそのものを開発しなくても、AIサービスの普及によって恩恵を受ける立場にあります。

AI市場の成長が半導体からソフトウェアへ広がる可能性については、モルガン・スタンレーの分析を紹介した過去記事でも取り上げています。同記事では、データドッグがAI時代のソフトウェア基盤を支える企業の1つとして挙げられています。

関連記事:AI相場は第2段階へ モルガン・スタンレーが示す次の有望株

また、AIインフラ市場全体の構造変化については、エヌビディアを中心とした巨大なデータセンター投資を取り上げた記事も参考になります。

関連記事:エヌビディアに6,000億ドルの巨大商機 オープンAIのデータセンター計画が生むGPU需要

ただし、AI利用量の増加がそのままデータドッグの売上増加につながるとは限りません。顧客企業の契約形態や利用する製品、コスト削減の取り組みによって収益への影響は変わります。

株価は6.09%上昇、期待の高さには注意も必要

今回の投資判断引き上げを受け、データドッグ株は10月19日の米国市場で大幅に上昇しました。本記事の作成時点である10月19日米東部時間午後3時9分現在、株価は262.15ドルとなり、前週末の終値247.11ドルから15.04ドル(6.09%)上昇しています。

バロンズの記事によると、10月19日の取引時間中には株価の年初来上昇率が94%に達していました。

これは、投資家が同社の成長見通しをすでに相当程度織り込んでいる可能性を示しています。

目標株価350ドルという数字は魅力的ですが、アナリストの予想は将来の株価を保証するものではありません。

株価が大きく上昇している局面では、業績が好調でも、市場の期待を下回るだけで大きな調整が起きることがあります。

実際、データドッグは過去にも業績と市場の期待の差によって株価が大きく動いています。8月の決算シーズンには、AI関連企業の成長率だけでなく、株価に織り込まれた期待の大きさが重要な論点となりました。

関連記事:AI株は物語から実力勝負へ 決算週間で浮かび上がった6社の明暗

今後は、AI関連顧客の需要拡大が実際の売上成長につながっているか、そして利益率を維持しながら成長できるかが重要になります。

米国株投資家が注目したい3つのポイント

今回のニュースから、投資家が確認しておきたい点は3つあります。

第一に、AI関連の需要拡大が一部の大口顧客だけでなく、幅広い企業に広がるかどうかです。成長を支える顧客層が厚くなれば、特定企業への依存リスクを軽減できます。

第二に、利用量の増加が収益性の改善につながるかどうかです。売上高が拡大しても、営業費用が同じように増加すれば利益成長は限定的になります。

第三に、現在の株価に織り込まれた期待の大きさです。年初来で大幅に上昇した銘柄だけに、今後の決算で示される成長率と株価評価のバランスが重要になります。

データドッグは、AI時代に競争力を維持できるソフトウェア企業として、以前から市場関係者の注目を集めてきました。JPモルガンがAI時代のソフトウェア企業を評価した過去記事でも、同社を取り上げています。

関連記事:AI時代の勝者は誰だ?J.P.モルガンが選んだ「生き残るソフトウェア企業」19社

今回のデータドッグの評価引き上げは、AI投資の恩恵がインフラ設備から運用ソフトウェアへ広がる可能性を考える材料になります。

今後、AI関連株を評価する際には、GPUやデータセンターへの投資額だけでなく、実際に稼働するAIサービスを支える企業の収益機会にも注目したいところです。

バロンズの記事について

今回紹介したバロンズの記事では、バーンスタインが評価を変更した背景に加え、AI関連顧客の利用動向や、別の証券会社によるデータドッグへの評価にも触れています。

アナリストの見通しや株価の反応について詳しく確認したい方は、原文をご覧ください。

情報ソース:Barron’s: “Datadog Stock Gets an Upgrade as OpenAI Setback May Be Fading” (By Ty Roush, Oct. 19, 2026)

※本記事は情報の提供を目的としており、特定の銘柄への投資を推奨するものではありません。投資は自己責任で行ってください。

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