マーケットウォッチは2026年9月19日、過去5年間で配当を大きく増やしたS&P500構成銘柄を分析し、増配を続けた企業の多くが株価パフォーマンスでも市場平均を上回っていたと紹介しました。
米10年国債利回りが5%近くまで上昇するなかでは、配当利回りが1〜2%程度の株式より、米国債の方が魅力的に見える場面もあります。しかし、配当投資では現在の利回りだけでなく、将来どこまで配当が増えるかという視点も重要です。
5年間で配当を大きく増やした15社
マーケットウォッチは、5年前の時点で配当利回りが1%以上だったS&P500構成企業273社を対象に調査しました。
そのなかで、過去5年間の配当の年平均成長率(CAGR)が15%以上だった企業は15社でした。
| 企業名 | 5年間の配当CAGR | 現在の配当利回り | 5年前購入時価格に対する配当利回り | 5年間の株価騰落率 | 5年間のトータルリターン |
|---|---|---|---|---|---|
| アレス・マネジメント(ARES) | 23.5% | 4.18% | 6.80% | 63% | 89% |
| ゴールドマン・サックス(GS) | 20.1% | 2.05% | 4.98% | 143% | 174% |
| ウェルズ・ファーゴ(WFC) | 20.1% | 2.23% | 4.29% | 92% | 117% |
| イーオージー・リソーシズ(EOG) | 19.8% | 2.65% | 5.42% | 104% | 159% |
| ダイヤモンドバック・エナジー(FANG) | 19.6% | 2.08% | 5.39% | 159% | 221% |
| SLB(SLB) | 18.7% | 2.18% | 4.04% | 85% | 107% |
| ダーデン・レストランツ(DRI) | 18.2% | 2.93% | 4.11% | 40% | 66% |
| トラクター・サプライ(TSCO) | 18.2% | 2.91% | 2.34% | -19% | -12% |
| アメリカン・エキスプレス(AXP) | 17.2% | 1.17% | 2.36% | 101% | 114% |
| KLA(KLAC) | 17.0% | 0.55% | 2.50% | 357% | 380% |
| ウィリアムズ・ソノマ(WSM) | 16.4% | 1.37% | 3.30% | 140% | 164% |
| マイクロチップ・テクノロジー(MCHP) | 15.8% | 2.55% | 2.24% | -12% | -2% |
| レイモンド・ジェームズ・ファイナンシャル(RJF) | 15.7% | 1.28% | 2.38% | 86% | 100% |
| スチール・ダイナミクス(STLD) | 15.3% | 0.89% | 3.26% | 268% | 297% |
| イーライ・リリー(LLY) | 15.3% | 0.61% | 2.96% | 386% | 409% |
この15社のうち12社は、配当を再投資した場合の5年間のトータルリターンでS&P500の82.2%を上回りました。
単に配当を増やしただけでなく、株価上昇も含めて株主に高いリターンをもたらした企業が多かったことになります。
ゴールドマン・サックスに見る増配の効果
代表例として取り上げられているのがゴールドマン・サックスです。
5年前の株価は401.95ドルで、当時の年間配当は8ドルでした。購入時点の配当利回りは約1.99%です。
その後、四半期配当は2ドルから5ドルへ増加しました。年間配当では20ドルとなり、5年前の取得価格を基準にすると配当利回りは約4.98%まで上昇します。
さらに株価も大きく値上がりし、配当再投資を含む5年間のトータルリターンは174%となりました。
現在の配当利回りだけを見れば2%程度ですが、長期間にわたって増配が続けば、購入価格に対する実質的な配当利回りは大きく変わります。
KLAとイーライ・リリーは株価上昇でも突出
今回の15銘柄のなかでは、KLAとイーライ・リリーのパフォーマンスが特に目立ちます。
KLAの過去5年間の配当成長率は17.0%で、配当再投資を含めたトータルリターンは380%でした。
イーライ・リリーも配当成長率15.3%に対し、トータルリターンは409%に達しています。
両社とも現在の配当利回りは1%未満です。
それでも、利益成長と株価上昇、増配が組み合わさることで、長期投資では大きなリターンにつながりました。
この結果は、配当株を選ぶ際に現在の利回りだけを重視するのではなく、将来の利益成長と増配余力を見ることの重要性を示しています。
エネルギー株にも高い増配率
エネルギー関連では、イーオージー・リソーシズ、ダイヤモンドバック・エナジー、SLBが選ばれています。
なかでもダイヤモンドバック・エナジーは、過去5年間の配当成長率が19.6%となり、トータルリターンは221%に達しました。
イーオージー・リソーシズも159%、SLBも107%と、いずれもS&P500を上回っています。
資源価格の影響を受けやすい業界でも、利益やキャッシュフローを株主還元につなげた企業は高い成果を残しています。
増配率だけで銘柄を選ぶのは危険
一方で、増配がそのまま株価上昇につながるわけではありません。
今回の15社のうち、トラクター・サプライとマイクロチップ・テクノロジーは5年間のトータルリターンがマイナスでした。
増配率は企業の財務力を見る1つの指標にはなりますが、それだけで投資判断をするのは適切ではありません。
売上高や利益の成長、フリーキャッシュフロー、負債水準、競争力、株価評価などを合わせて確認する必要があります。
高配当より「配当成長」に注目
今回のマーケットウォッチの記事で注目したいのは、「現在の配当利回りが高い企業」と「将来の配当を大きく増やせる企業」は必ずしも同じではないという点です。
現在の配当利回りが1〜2%でも、利益成長に伴って毎年高いペースで増配できれば、長期保有者が受け取る配当額は大きく増えていきます。
さらに株価上昇も加われば、インカムゲインとキャピタルゲインの両方を狙うことができます。
金利が高い環境では債券の利回りも魅力的ですが、長期投資では「今いくら配当を受け取れるか」だけでなく、「5年後、10年後に配当がどこまで増えているか」という視点も重要になります。
過去の増配率だけで将来を判断することはできませんが、配当成長を支える利益成長や競争力まで確認することで、長期投資に向いた企業を見つける手掛かりになります。
情報ソース: MarketWatch: “15 stocks that have grown dividends the most — and nearly all have beaten the S&P 500” (By Philip van Doorn, Sept. 19, 2026)
※本記事は情報の提供を目的としており、特定の銘柄への投資を推奨するものではありません。投資は自己責任で行ってください。
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