宇宙関連株は今が買い場?ASTスペースモバイルなど注目4銘柄を徹底比較

  • 2026年9月3日
  • 2026年9月16日
  • BS余話

宇宙ビジネスへの投資が、新たな局面を迎えています。

2026年に大きな注目を集めたスペースX(SPCX)のIPOを背景に、宇宙関連株には一時、期待先行の資金が流入しました。しかし、その後は株価の調整が進み、投資家の視線は「宇宙関連企業である」というテーマ性から、売上高の成長、キャッシュフロー、事業モデルといった企業の実力へと移り始めています。

2026年9月2日付のバロンズの記事では、調査会社ベレンベルグがASTスペースモバイル、プラネット・ラボズPBC、ロケット・ラボ、ホークアイ360の4社について、そろって「買い」のレーティングを付与したことが紹介されています。

株価が大きく調整した今は、宇宙関連株をひとくくりにするのではなく、各社の収益構造や成長段階を見極めることが重要です。今回は、この4社の特徴を比較しながら、宇宙ビジネス投資の注目ポイントを整理します。

宇宙関連株は「期待」から「業績」で選ぶ時代へ

スペースXのIPOをめぐって市場の期待が高まった局面では、宇宙関連株全体に投資資金が流入しました。しかし、その熱狂は長く続かず、今回取り上げる4社の株価は5月末から9月2日までの間に平均53%下落しています。

ただし、この下落を宇宙ビジネスそのものへの期待後退と捉えるのは早計です。

むしろ市場は、「宇宙関連」というテーマだけで銘柄を買う段階から、実際に売上高を伸ばし、将来的にキャッシュを生み出せる企業を選別する段階へ移行していると考えられます。

こうしたタイミングで、ベレンベルグが4社すべてに「買い」を付与した点は注目に値します。

株価調整によって過度な期待が剥落する一方、宇宙産業そのものには中長期的な成長余地が残っています。ベレンベルグは、株価下落によって将来の成長性に対するバリュエーションが魅力的な水準まで低下したと評価しているようです。

プラネット・ラボズPBCとホークアイ360は「宇宙データ」で収益化

今回の4社の中で、比較的早い段階で収益基盤を確立しつつあるのが、プラネット・ラボズPBC(PL)とホークアイ360(HAWK)です。

プラネット・ラボズPBCは衛星を利用した地球観測画像やデータを提供し、ホークアイ360は宇宙から取得した電波データなどを軍事・安全保障分野向けに提供しています。

両社に共通しているのは、ロケットや通信ネットワークそのものではなく、宇宙インフラから得られる「データ」を商品として販売している点です。

2026年の売上高は、プラネット・ラボズPBCが約4億3,600万ドル、ホークアイ360が約2億1,700万ドルと見込まれており、両社ともフリーキャッシュフローの黒字化が予想されています。

アナリストによる「買い」レーティングの割合も高く、プラネット・ラボズPBCは70%、ホークアイ360は90%です。

S&P500採用企業では「買い」評価の割合が一般的に55~60%程度とされているため、両社に対するアナリストの評価の高さが際立ちます。

宇宙ビジネスでは大規模な先行投資が必要になる企業も多いなか、比較的早い段階でキャッシュを生み出せる事業モデルを構築していることが、両社の大きな強みとなっています。

ロケット・ラボは売上高10億ドルへ急成長

一方、宇宙インフラそのものを構築する企業は、収益化まで時間がかかる代わりに、事業が軌道に乗った場合の成長余地も大きくなります。

その代表的な企業がロケット・ラボ(RKLB)です。
*当ブログではこれまで「ロケット・ラブ」と表記していましたが、今後は現在一般的となっている「ロケット・ラボ」に変更します。

同社はロケットの打ち上げに加え、衛星や宇宙システム関連サービスなどへ事業領域を拡大しています。

フリーキャッシュフローの黒字化は2028年まで見込まれておらず、当面は先行投資による資金流出が続く見通しです。

しかし、売上高は2025年の約6億ドルから2026年には約10億ドルへ拡大すると予想されています。わずか1年で約67%の増収となる計算で、宇宙関連企業の中でも高いトップライン成長が期待されています。

アナリストの「買い」推奨割合も82%と高水準です。

現在のロケット・ラボは、目先の利益を最大化するよりも、打ち上げ能力や宇宙システム事業を拡大し、将来の収益基盤を構築する段階にあります。

そのため投資家にとっては、短期的な利益だけではなく、売上高の伸びや受注状況、ロケット開発の進捗、宇宙システム事業の拡大を継続的に確認することが重要になります。

*過去記事「ロケット・ラブ株が決算後に下落 過去最高の受注残でも市場が警戒した理由」

ASTスペースモバイルには約65%の上昇余地

4社の中で最もハイリスク・ハイリターン型の性格が強いのが、ASTスペースモバイル(ASTS)です。

同社は人工衛星を利用して、一般的なスマートフォンを地上の基地局を介さず直接衛星通信につなげるネットワークの構築を進めています。

売上高は2027年に約6億4,500万ドル、2028年には約18億ドルへ急拡大すると予想されています。わずか1年間で約2.8倍という非常に大きな成長です。

ところが、アナリストによる「買い」レーティングの割合は35%にとどまっており、今回取り上げる4社の中で最も低い水準です。

つまりASTスペースモバイルは、将来の成長期待が非常に大きい一方、その計画を実現できるかについて市場の評価が大きく分かれている銘柄といえます。

ベレンベルグはASTスペースモバイルに対して92ドルの目標株価を設定しました。9月1日の終値55.80ドルと比較すると、約65%の上昇余地があります。

この強気評価を受け、9月2日の米国市場では株価が上昇し、午後1時30分時点で8.7%高の60.66ドルとなりました。

今後、衛星ネットワークの構築が計画通りに進み、大手通信キャリアとの提携が実際の売上高として本格的に計上され始めれば、市場の慎重な評価が見直される余地があります。

一方、衛星展開の遅れや設備投資の増加、追加の資金調達が必要になった場合には、株価が大きく変動するリスクもあります。

大きな上昇余地と高い不確実性が同居していることこそが、ASTスペースモバイル最大の特徴です。

*過去記事「宇宙通信の覇権争い:ASTスペースモバイルの巨額資金調達が示す「リスク」と「勝機」」

宇宙関連4銘柄は収益化までの時間軸が大きく異なる

今回の4社を比較すると、同じ宇宙関連株でも投資対象としての性格が大きく異なることが分かります。

プラネット・ラボズPBCとホークアイ360は、宇宙から取得したデータを販売することで、比較的早い段階でキャッシュフローを生み出すことを目指しています。

一方、ロケット・ラボとASTスペースモバイルは、大規模な先行投資を続けながら宇宙インフラを構築し、その先にある巨大市場を狙う企業です。

早期の収益化やキャッシュフローの安定性を重視するのであれば、プラネット・ラボズPBCやホークアイ360が注目されます。

それに対して、短期的なキャッシュフローより数年先の大幅な売上成長を重視するのであれば、ロケット・ラボやASTスペースモバイルが投資候補となります。

宇宙関連株への投資では、単純な成長率だけではなく、「その企業が現在どの成長段階にいるのか」を理解することが重要です。

宇宙株の調整局面は「選別投資」の好機になるか

スペースXのIPOによって高まった宇宙ビジネスへの期待は、一時の熱狂から冷静な評価へと変わりつつあります。

しかし、宇宙産業そのものの成長ストーリーが終わったわけではありません。

むしろ株価が大きく調整したことで、これからは「宇宙関連だから買う」のではなく、どの企業が成長期待を実際の売上高やキャッシュフローへ転換できるのかを見極める局面に入っています。

特に重要なのが、企業ごとに異なる収益化までの時間軸です。

プラネット・ラボズPBCやホークアイ360は比較的早い段階でキャッシュを生み出すことが期待される一方、ロケット・ラボやASTスペースモバイルは、数年先の巨大市場を見据えて先行投資を続けています。

つまり、宇宙関連4社は同じテーマでまとめられていても、投資リスクや期待できるリターンの性格は大きく異なります。

宇宙ビジネス投資は、スペースXを中心としたテーマ相場から、個別企業の事業モデルや業績を評価する「第2ステージ」に入りつつあります。

今後は売上高の成長率だけではなく、フリーキャッシュフロー、設備投資、資金調達、受注状況、衛星やロケットの展開スケジュールなどを確認しながら銘柄を選別することが重要です。

大幅な株価調整は宇宙関連株にとって逆風である一方、企業の実力を見極めることができれば、中長期の投資機会を探す好機にもなり得ます。

情報ソース: Barron’s: “AST SpaceMobile Stock Soars on New Buy Call” (By Al Root, Sept 02, 2026)

※本記事は情報の提供を目的としており、特定の銘柄への投資を推奨するものではありません。投資は自己責任で行ってください。

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