2026年8月の米国株式市場では、原油価格の上昇やエヌビディアをはじめとする大型テクノロジー企業の決算が大きな話題となりました。
しかし、8月の株式市場を詳しく見ると、それ以外にも興味深い変化が起きています。
マーケットウォッチは8月31日付の記事で、8月に大きく上昇したS&P500構成銘柄を紹介しました。
なかでも目を引くのがモデルナ(MRNA)の急騰と、2026年前半に苦戦していたソフトウェア株の復活です。
S&P500は8月に2.6%上昇
マーケットウォッチによると、S&P500は8月に2.6%上昇しました。
セクター別ではエネルギーが6.5%高、情報技術が6.2%高、素材が5.8%高、ヘルスケアが4.8%高となっています。
一方、公益事業は5.2%安、資本財は2.7%安、不動産は2.0%安でした。
つまり8月は市場全体が一様に上昇したわけではなく、資金が特定のセクターへ大きく移動する展開だったことが分かります。
特に興味深いのがソフトウェアです。
S&P500ソフトウェア&サービス業種指数は8月だけで13.1%上昇しました。6月末からでは27.8%高となっています。
2026年前半には約20%下落していたため、わずか2カ月ほどで市場の評価が大きく変わった形です。
半導体よりも強かったソフトウェア株
2026年の米国株市場をけん引してきた代表的なテーマは半導体です。
PHLX半導体株指数(SOX)は年初から8月末までに62.9%上昇しています。
ただし8月だけを見ると上昇率は2.0%にとどまりました。
エヌビディア(NVDA)も8月は10%高と好調でしたが、ソフトウェア業界全体の13.1%高には届いていません。
これはAI相場の主役が半導体だけではなくなりつつあることを示す動きとして注目できます。
AI投資の初期段階ではGPUやメモリー、データセンターなどインフラ関連企業に資金が集中しましたが、次第にAIを利用して売上高や利益を拡大できるソフトウェア企業へ市場の関心が移っている可能性があります。
モデルナが8月に156%上昇
8月のS&P500構成銘柄で圧倒的な上昇率となったのがモデルナです。
マーケットウォッチによると、モデルナ株は8月に156%上昇しました。
2026年の年初来では375.9%高となっています。
株価急騰の背景には、同社が開発するmRNA技術を利用した治療用ワクチンに対する期待があります。
新型コロナワクチン需要の減少によって長期間苦戦してきたモデルナですが、がん治療などへmRNA技術の用途を広げられるかどうかが、今後の企業価値を左右する大きなポイントとなっています。
モデルナの急騰は単なる短期的な値動きというより、「ワクチン企業」から「mRNA創薬企業」へ市場の評価が変わり始めている可能性を示しています。
*関連記事「モデルナ株急騰!個別化がんワクチン第3相成功で始まる「mRNAがん治療」巨大市場」
パランティアやセールスフォースも大幅高
モデルナに続いて上昇したのがパランティア・テクノロジーズ(PLTR)です。
8月の上昇率は51.5%でした。
さらにヴィーバ・システムズ(VEEV)が40.2%高、セールスフォース(CRM)が40.0%高、サービスナウ(NOW)が33.0%高となっています。
ワークデイ(WDAY)も23.1%上昇しました。
上昇率上位にソフトウェア企業が数多く入っていることからも、8月の市場で起きたソフトウェア株への資金回帰が確認できます。
特に注目したいのがバリュエーションです。
マーケットウォッチは、8月に20%以上上昇した23銘柄のうち12銘柄で、2025年末と比較して予想PERが低下していると指摘しています。
株価が上昇しているにもかかわらずPERが低下するということは、利益予想の伸びが株価上昇を上回っていることを意味します。
これは今回の上昇相場が、単純な期待だけでなく業績改善によって支えられていることを示す重要なポイントです。
スーパーマイクロやルメンタムも上位へ
AI関連ではスーパー・マイクロ・コンピューター(SMCI)が8月に31.3%上昇しました。
光通信関連のルメンタム・ホールディングス(LITE)も28.1%高となっています。
AIデータセンター投資ではGPUだけでなく、サーバー、ネットワーク、光通信、電力、冷却など幅広いインフラが必要になります。
そのためAI投資の恩恵を受ける企業が徐々に広がっている点にも注目したいところです。
一方でトレードデスクやアプラビンは大幅安
もちろん8月にすべての成長株が上昇したわけではありません。
マーケットウォッチが紹介した下落率上位銘柄を見ると、トレードデスク(TTD)は23.9%安、アプラビン(APP)は21.2%安となっています。
特にデジタル広告関連企業では、AIによる広告業界の構造変化が企業ごとの株価パフォーマンスを大きく分け始めています。
ウエスタンデジタル(WDC)も17.3%下落しましたが、それでも2026年年初来では161.5%上昇しています。
短期間の株価下落だけでは、その企業の中長期トレンドを判断できないことも今回のランキングから分かります。
8月相場から見える「AI相場の第2段階」
今回のマーケットウォッチの記事で特に興味深いのは、単なる「上昇銘柄ランキング」ではありません。
2026年前半に大きく売られていたソフトウェア株が急速に復活していることです。
AIがソフトウェア企業のビジネスを破壊するという懸念から、AIを活用して利益を伸ばせる企業を選別する局面へ、市場が移行し始めている可能性があります。
半導体株は依然として2026年の圧倒的な市場リーダーです。
しかし8月の動きを見る限り、投資家の関心は半導体だけでなく、ソフトウェア、バイオテクノロジー、AIデータセンター周辺企業などへ広がり始めています。
これから米国株を見るうえでは、「AI関連株かどうか」だけで判断するのではなく、AI投資を実際の売上高や利益成長につなげられる企業を見極めることが、これまで以上に重要になりそうです。
情報ソース:MarketWatch「23 best-performing stocks of August, as the software industry continues its recovery」Philip van Doorn、2026年8月31日更新
※本記事は情報の提供を目的としており、特定の銘柄への投資を推奨するものではありません。投資は自己責任で行ってください。
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