2025年、アマゾン(AMZN)の株価は年初来でわずか5%の上昇にとどまっており、他のハイテク大手、いわゆるマグニフィセント・セブンと比較すると、やや物足りないパフォーマンスが続いています。
しかし、ウォール街からはこの出遅れこそが好機であるとの声が上がっています。投資銀行TDカウエンのアナリスト、ジョン・ブラックレッジ氏は、アマゾンをメガキャップ・インターネット株のトップピックに選定し、目標株価を300ドル、現在水準から約30%の上昇余地に設定しました。
なぜ今、アマゾンが買いなのかについて、記事で報じられた事実情報を深掘りすると、株価を押し上げるクラウド、広告、物流という3つの確固たる成長エンジンが見えてきます。
1. AWS×AI:380億ドルの契約が示す「実需」の強さ
最大の注目点はやはりクラウド部門、AWSです。AIブームの中で期待先行の銘柄も多い中、アマゾンは圧倒的な数字で実力を証明しつつあります。
特筆すべきは、2024年11月に発表されたオープンAIとの380億ドルに及ぶクラウド契約です。この巨額契約を除いた状態でも、第3四半期時点のバックログ(受注残)は2,000億ドルに達しています。これは、将来の収益がすでに約束されていることを意味しており、投資家にとって非常に安心感のある材料です。
TDカウエンの予測では、AWSの収益は2030年までに3,581億ドル、成長率22.8%に達すると見られています。これは市場コンセンサスであるファクトセット予想の3,254億ドルを大きく上回る数字です。AWSの成長率が第3四半期に20%へ再加速した事実は、AI需要が単なるブームではなく、AWSの収益構造を長期的に底上げするフェーズに入ったことを示唆しています。
2. 広告事業:ネットフリックスに並ぶ「視聴者数」が金の卵に
アマゾンを単なるECサイトとして見ていると、この企業の利益構造の変化を見誤ります。今やアマゾンの利益を支える隠れた主役は広告事業です。
TDカウエンの試算によると、2025年の広告収益は680億ドルに達し、なんと全営業利益の最大35%を占めると予測されています。小売の薄利を、高収益な広告がカバーする構造が完成しつつあるのです。
その原動力となるのがプライム・ビデオです。情報ソースによると、月間アクティブユーザー浸透率はプライム・ビデオが57.8%、ネットフリックス(NFLX)が58.0%と、動画配信の王者ネットフリックスとほぼ互角の水準にまで肉薄しています。これまで動画配信では後塵を拝していたアマゾンですが、この膨大な視聴者基盤に対して広告を配信できるとなれば、その収益ポテンシャルは計り知れません。
3. 物流革命:「2,300拠点」による即日配送網の完成
EC部門においても、守りではなく攻めの姿勢が鮮明です。アマゾンは2025年末までに米国内の拠点を2,300カ所へ拡大することを目指しています。
これは単に倉庫を増やすだけでなく、即日配送を標準化するための布石です。配送スピードが上がれば、洗剤や食料品などの日用品、いわゆる消耗品の購入頻度が上がります。物流コストの増加が懸念されるところですが、ロボット工学や自動化への投資によってコスト削減を進めており、売上拡大と利益率改善の両立を狙っていることが伺えます。
結論:アマゾンは「眠れる巨人」か
2025年の株価パフォーマンスは地味でしたが、その裏でAWSの再加速、広告収益の柱化、物流網の完成というファンダメンタルズは着実に強化されています。
特に、営業利益の3割以上を広告が稼ぎ出すという収益構造の変化は、アマゾンのバリュエーション、株価評価を一段引き上げる可能性があります。アナリストが提示した30%の上昇余地という見立ては、これらの事実に基づけば、決して非現実的な数字ではないと言えます。
情報ソース: MarketWatch: “ Amazon’s stock is this analyst’s ‘best idea’ for these 3 reasons ” (By Christine Ji, Dec. 10, 2025)
※本記事は情報の提供を目的としており、特定の銘柄への投資を推奨するものではありません。投資は自己責任で行ってください。
*過去記事はこちら アマゾン AMZN
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