インターナショナル・ビジネス・マシーンズ(IBM)は4月23日、第2四半期の売上見通しとして164億ドル〜167.5億ドルを発表しました。この予想は、ファクトセット調べのアナリストのコンセンサス予想である163.1億ドルを上回っています。
同社は、ソフトウェア、コンサルティングサービス、ネットワークインフラを提供するテック・インフラの大手企業であり、通年の為替変動の影響を除いた売上成長率について「少なくとも5%」を維持する方針を示しました。さらに、年間のフリーキャッシュフローとして135億ドル程度を見込んでいます。
CEOコメントとマクロ経済への見通し
最高経営責任者(CEO)のアービンド・クリシュナ氏は、「テクノロジーおよびグローバル経済の長期的成長の可能性について強気の姿勢を維持している」と述べました。また、「マクロ経済環境は流動的であるものの、現時点で得られる情報に基づいて、通年の売上成長とフリーキャッシュフローの見通しを維持する」と語っています。
第1四半期の業績はアナリスト予想を上回る
IBMは第1四半期の調整後1株利益を1.60ドル、売上を145億ドルと報告しました。これは前年同期比で1%の増加であり、特にソフトウェア部門の成長が寄与しました。アナリストは、調整後1株利益1.42ドル、売上143.9億ドルを予想していました。
株価は時間外取引で約5%下落
しかし、好調な見通しと予想を上回る業績にもかかわらず、市場の反応は厳しく、4月23日のアフターマーケットにおいて株価は約5%下落しました。これは、今後の経済環境やIT支出に対する不安、そしてAI分野の成長持続性に対する市場の慎重な見方が影響した可能性があります。
AI需要は堅調だが、一部顧客は保守的な姿勢
IBMの決算発表は、米国の対外貿易戦争がIT、クラウド、人工知能(AI)分野の企業支出にどのような影響を与えるかを見極める中で行われました。経営陣は、生成AIへの需要が引き続き堅調であると述べています。
しかし、ジェフリーズのソフトウェア・アナリストは今月初めに「顧客が基本に立ち返りつつあり、AIワークロードは今後優先順位が下がる可能性がある」との見解を示しています。
コンサルティング事業への影響懸念
バンク・オブ・アメリカのアナリストは、IBMが大半の製造を米国内で行っていることを指摘しました。一方、オッペンハイマーのアナリストは、トランプ政権下の政府効率局(DOGE)が政府支出削減と契約見直しを進めているため、コンサルティング事業に影響が及ぶ可能性があると述べています。
「業界の専門家との対話によると、IBMのコンサルティング契約に関して具体的な削減はまだ発表されていないものの、アプリケーション開発のような一部領域は見直しの対象となっている」とのことです。
過去の景気後退期でも相対的に健闘
リセッション(景気後退)の懸念が高まる中、アナリストはIBMが過去の不況期にも比較的健闘してきたことを指摘しています。過去50年間で7回のリセッションがありましたが、そのうち6回でS&P500指数をアウトパフォームしています(1979年から1980年のメインフレームからパソコンへの移行期を除く)。
今後の経済状況やAI関連事業の進展が、IBMの株価と業績にどのように影響を与えるのか、引き続き注目されます。
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