TSMCの12月売上減少に隠されたポテンシャル:AI半導体需要の増大がキー

世界最大の半導体受託製造企業である台湾セミコンダクター・マニュファクチャリング(TSMC)は1月10日、2023年12月の売上高が前年同期比で8.4%減少し、前月比でも14%のダウンを記録したと発表しました。一見すると、これらの数字は企業にとってネガティブな兆候のように思えますが、実際には、この減少によって隠されている可能性に注目が集まっています。

TSMCの12月期全体の売上高はほぼ前年並みで、アナリストの予想を上回る結果となりました。これは、2024年に向けての半導体需要の回復を示唆していると考えられます。特に、AI半導体の需要が、この回復の主要な原動力になると見られています。

AI半導体市場のリーダー、TSMC

TSMCは、アップル(AAPL)のiPhoneやクアルコム(QCOM)のモバイルチップセット、アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)製のプロセッサーなど、多くの主要な製品の製造を手がけています。さらに、グラフィックプロセッシングユニット(GPU)市場のリーダーであるエヌビディアのAI半導体の主要メーカーでもあります。エヌビディアのGPUは、AIアプリケーションに広く使用されており、この需要の高まりがTSMCにとって大きな利点となっています。

TSMCの潜在的な成長力

しかし、こうした高性能システムを動かす半導体は、TSMCのビジネスの一部に過ぎません。家電需要の低迷が続く中、TSMCの2023年の全体の売上高は前年比4.5%減となっています。この状況は、AI半導体の需要増加が今後どのようにTSMCの成長を後押しするか、という点に関心が集まる理由です。

CoWoS技術の拡大とAI半導体市場への影響

TSMCとエヌビディアは、AI半導体の需要を満たすために、CoWoS(Chip on Wafer on Substrate)と呼ばれる高度なチップパッケージ技術の能力を倍増させる計画を持っています。この技術は、エヌビディアの高性能AI半導体の製造に不可欠であり、ドイツ銀行のアナリストによれば、この生産能力の拡大によって、現在供給不足となっているAIトレーニング用GPUの需給が年末までに均衡に達する可能性があるとのことです。

*過去記事「AI半導体需要の急増に対応するTSMCの戦略と今後の展望

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