長期的な成功が期待できるアップスタート:AIによる融資の革新と未来展望

アップスタート・ホールディングス(UPST)は、AIを用いたローン組成モデルで知られ、2020年末に上場しました。当初は1株20ドルで上場しましたが、低金利の影響で2021年には401ドルまで上昇しました。しかし、その後金利が急上昇し、クレジット需要の低下と融資条件の厳格化により収益が減少し、株価は94%下落しました。第3四半期決算発表後、株価は再びIPO価格近くに戻りましたが、その未来には明るい兆しがあります。

アップスタートのAI技術の進化

アップスタートは、AIを用いた融資で早くから注目を集めていました。同社は、銀行や金融機関向けにAIモデルを開発し、効率的な融資を実現しています。

2023年第3四半期には、過去5年で最大の進化となる「モデル 15.0」を導入。このモデルは、従来より15%高い精度で融資審査を行うことが可能です。銀行パートナーにとって、この自動化されたAI審査プロセスは、従来の人間主導の手続きに比べて大幅な時間とコストの削減を意味します。

さらに、同社は米国の4州でホームエクイティローン(HELOC)の提供を開始しました。通常、銀行がHELOCの処理に1か月以上かかるところを、アップスタートは5日以内に短縮することを目指しています。

2024年の経済状況の改善見込み

最近18か月間、アップスタートは経済環境の変化に直面しました。金利の上昇により、消費者のクレジット需要が低下しました。

同社は第3四半期に113,252件の個人向け融資を実行しましたが、これは3ヶ月前の第2四半期と比較して6%の増加でした。需要が徐々に戻りつつあることを示すものですが、それでも昨年の同時期と比べると39%もの大幅な減少となっています。

アップスタートの自動車ローン部門はさらに悪化し、取扱高は第2四半期比52%減、前年同期比58%減となりました。新車需要は冷え込んでおり、多くの自動車メーカーが今年、購入意欲をそそるために価格を引き下げています。

ポジティブな面としては、アップスタートを利用するディーラー・チェーンの数が第3四半期中に69と過去最高に増加し、米国人口の推定70%をカバーするようになったことです。これは、ディーラーがAI主導のアプローチに非常に満足していることを示唆しており、いずれ市場が回復すれば、アップスタートはこれまで以上に有利な立場に立つことが期待できます。

米国のエコノミストの大多数は、連邦準備制度理事会(FRB)が金利の引き上げを終了し、2024年中に金利を引き下げると予測しています。これにより、クレジット需要の再燃が期待されます。

着実な成長への注目

アップスタートのCEO、デイブ・ジルアード氏は、現在の市場環境下で責任あるアプローチを取り、平均金利を歴史的最高水準に保持しています。また、同社は運営費用を前年比17%削減し、堅実な経営を続けています。

同社の長期的な市場機会は莫大です。米国内の個人融資と自動車ローン市場は合計で8910億ドルに上り、さらに1.8兆ドルの住宅ローン市場にも参入を計画しています。これらの市場におけるアップスタートの潜在的な成長余地は大きく、長期的な成功が期待されます。

*過去記事はこちら アップスタート UPST

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