フボTV 決算発表を受け株価急騰

  • 2021年5月13日
  • 2021年5月13日
  • BS余話

第1四半期の決算を発表したフボTV(FUBO)の株価が5月12日の市場で急騰しました。

第1四半期の売上高は、前年同期比135%増の1億1,970万ドルとなり、1億390万ドルの市場予想を上回りました。広告収入は、206%増の1,260万ドル。加入者数は、前年同期比105%増の509,430人となりました。ユーザー1人当たりの平均収入は、28%増の69.09ドル。当四半期の損失は7,010万ドル(1株当たり59セント)でした。

第2四半期の売上高は1億2,000万ドルから1億2,200万ドルになると予想。これは、従来のストリートコンセンサスである9,840万ドルを大幅に上回り、加入者数は6億人から6億500万人になると見込んでいます。

通年の売上を5億2,000万ドルから5億3,000万ドルと見ており、従来のコンセンサス予想である4億7,230万ドルを上回り、加入者数は8億2,000万人から8億3,000万人としています。

同社は声明の中で、2021年第1四半期は、フボTVにとって変曲点となったとしています。加入者数、総収入、広告収入のいずれもが前年同期比で2倍以上となり、予想を上回る成長を実現。季節性にもかかわらず、売上高と加入者数が連続して増加したのは、第1四半期としては初めてのことだそうです。消費者がケーブルTVからフボTVに乗り換えていることを確信しており、「彼らは、従来の有料テレビと比較して、優れた価値、年間を通じて提供されるコンテンツ、顧客中心の革新的な製品体験に魅力を感じている」と述べています。

フボTVは、バーチャルMVPD(multichannel video programming distributor)で、ロク、Apple TV、Amazon Fire TVなどのセットトップボックスを介して、ストリーミング・ケーブルサービスのパッケージを提供。「YouTube TV」、「Sling」、「Hulu + Live TV」などのサービスと競合しています。

コムキャスト(CMCSA)やディッシュ・ネットワーク(DISH)などの企業が提供するケーブルテレビや衛星テレビのサービスに取って代わるものとして利用が広がっています。

また、同社にはスポーツ賭博のサイドビジネスがあります。インディアナ州、アイオワ州、ニュージャージー州でスポーツブックのライセンスを取得しており、今後数週間のうちにフリー・トゥ・プレイ・ゲーミングのベータテストを開始し、第3四半期には正式なローンチを予定しています。

発表された決算の内容と今後の見通しをアナリストは評価しています。

エバーコアISIのアナリストであるShweta Khajuria氏は、コードカット、広告費のリニアTVからストリーミングへの移行、スポーツベッティングの需要拡大という3つの重要なトレンドの恩恵を明らかに受けていると書いています。

「エンゲージメントとリテンションを高めることで全体のフライホイールを動かすことに加え、経営陣は、スポーツベッティングが全体の収益化とマージンプロファイルに大きく貢献すると考えている」とし、アドレス可能な市場が「数百億ドル規模であることから、フボTVは健全なアップサイドを実現できる可能性がある」と述べています。

オッペンハイマー社のアナリストであるジェド・ケリー氏は、フボTVの株式に対するアウトパフォームの評価を維持する一方で、目標価格を35ドルから32ドルに若干引き下げました。同社が第1四半期に43,000人の加入者を獲得し、第1四半期に加入者数が減少するという過去の傾向を覆した と指摘しています。

同社は業界全体で進んでいるオーバー・ザ・トップ・ストリーミング・サービスやオンライン・スポーツ・ベッティングへの移行から利益を得るのに適した立場にあるとしています。OTTプロバイダーの多くは、低価格のエンターテインメントサービスを中心に提供しており、スポーツファンは有料テレビに縛られることを余儀なくされていますが、同社は有料テレビと同等の視聴体験を低コストで提供することで、スポーツ分野でのチャンスを活かしていると見ています。

ウェドブッシュのアナリスト、マイケル・パクター氏は、アウトパフォームのレーティングと目標価格53ドルを継続しています。

「コードカットとコードシェービングが当面続くと予想しており、人口のかなりの部分が「コードネバー」として成長し、あらかじめ決められたMVPDの番組よりもカスタマイズ可能なコンテンツのバンドルを好むようになると考えている」とし、「エンターテインメントとスポーツの総合的な視聴を提供するフボTVの能力は、真の差別化要因であり、スポーツ視聴者/ベッターに焦点を当てることで、加入者数の増加を加速させることができるはずだ」と述べています。同氏は、フボTVが2023年末から2024年初めまでに収支均衡を達成できると考えています。

市場全体が下落する中、フボTVの株価は逆行高、5月12日の終値は9.7%増の19.38ドルとなっています。

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