NASA新型宇宙望遠鏡で見える「次の宇宙関連株」スペースXだけではない成長企業

宇宙産業というと、スペースX(SPCX)のロケットやスターリンクのような衛星通信サービスに注目が集まりがちです。しかし、宇宙ビジネスの成長によって恩恵を受ける企業は、ロケット会社だけではありません。

NASAが打ち上げを予定している「ナンシー・グレース・ローマン宇宙望遠鏡」は、その象徴的なプロジェクトの1つです。

ローマン宇宙望遠鏡は、ハッブル宇宙望遠鏡と同等レベルの解像度を持ちながら、約100倍という広大な視野を観測できることが特徴です。暗黒物質や暗黒エネルギー、太陽系外惑星などの研究を大きく前進させると期待されています。

しかし、投資家の視点からさらに興味深いのは、この巨大プロジェクトを支える企業群です。

打ち上げを担当するスペースXだけでなく、観測機器、センサー、電子部品、データ処理など、多数の企業が関わっています。宇宙産業の成長は「ロケットを飛ばす企業」だけではなく、その背後に存在する巨大なサプライチェーンにも投資機会を生み出しつつあります。

スペースXはロケット会社から「宇宙インフラ企業」へ進化

ローマン宇宙望遠鏡の打ち上げを担当するスペースXは、現在の世界の宇宙開発を代表する企業です。

2025年に世界で実施されたロケット打ち上げは320回を超えましたが、2026年にはスペースXだけで世界全体の約半数を担う可能性があると予測されています。

再利用可能ロケット「ファルコン9」によって打ち上げコストを劇的に引き下げたことが、同社の競争力を支えています。

しかし、スペースXの将来性を考えるうえで重要なのは、ロケット打ち上げ事業だけではありません。

同社はスターリンクを通じて低軌道に約11,000基の通信衛星を展開する規模へと成長しています。さらに将来的には、宇宙空間にAIデータセンターを設置する構想も浮上しています。

つまり、スペースXが目指しているのは単なる「宇宙への運送会社」ではありません。

衛星通信、クラウド、AI、データ処理まで含めた「宇宙インフラ企業」への進化です。

ウォール街の予測では、同社のAI関連売上高は2027年の650億ドルから2031年には5,750億ドルまで拡大する可能性があるとされています。

一方、2027年の宇宙部門の売上高予測は約63億ドルです。

こうした数字を見ると、長期的にはロケットそのものよりも、宇宙空間を利用した通信・データ・AIインフラがスペースXの巨大な成長エンジンになる可能性があります。

L3ハリスなど「宇宙の黒子企業」にも成長機会

宇宙ビジネスの成長による恩恵を受けるのはスペースXだけではありません。

ローマン宇宙望遠鏡には、宇宙空間という極めて厳しい環境でも正確に稼働する高度な観測機器や電子機器が必要になります。

こうした分野で重要な役割を果たしているのが、L3ハリス・テクノロジーズ(LHX)です。

同社はローマン宇宙望遠鏡向けに光学アセンブリの部品や関連サービスを提供しています。

L3ハリスの2026年上半期の宇宙システム部門売上高は前年同期比15%増の約60億ドルとなりました。上半期の総売上高が115億ドルを超えていることを考えると、宇宙関連事業はすでに同社にとって重要な収益源になっています。

さらに、BAEシステムズは計測関連機器、テレダイン・テクノロジーズ(TDY)は赤外線センサーなどを提供しています。

特に注目したいのがテレダインです。

同社の第2四半期売上高は約17億ドルでしたが、そのうち宇宙ビジネスを含む部門が約70%を占めています。

宇宙開発では、極端な温度変化や放射線、真空状態といった過酷な環境に耐える部品が求められます。このため、誰でも簡単に参入できる市場ではありません。

高精度センサーや光学機器などで長年の技術蓄積を持つ企業にとって、この参入障壁そのものが競争力になります。

宇宙ビジネスの本命は「ロケットの先」にある

宇宙ビジネスは現在、大きな転換点を迎えています。

これまではNASAを中心とする国家プロジェクトが中心でしたが、スペースXなど民間企業の台頭によって、宇宙へのアクセスコストは大幅に低下しました。

打ち上げコストが下がれば、より多くの企業や研究機関が衛星や観測機器を宇宙へ送れるようになります。

その結果、ロケットだけではなく、衛星、通信機器、センサー、半導体、電力システム、データセンター、AIなど、宇宙関連産業全体の需要が拡大する可能性があります。

これはAIデータセンター市場と似た構造です。

AI市場でも当初はエヌビディアのGPUに注目が集中しました。しかし投資が拡大すると、ネットワーク、メモリー、電力設備、冷却設備などへ恩恵が広がりました。

宇宙産業でも同じことが起こる可能性があります。

スペースXのロケットは宇宙経済への「入口」であり、その先には衛星通信、観測、データ処理、AI、センサーなど巨大な産業が広がっています。

宇宙関連株を見るならサプライチェーン全体に注目

ナンシー・グレース・ローマン宇宙望遠鏡が2027年初頭に最初の画像を届ける頃には、民間企業による宇宙利用は現在よりさらに拡大している可能性があります。

投資家にとって重要なのは、「次に打ち上げられるロケットは何か」だけを見ることではありません。

スペースXのような打ち上げ企業、その衛星ネットワークを支える通信機器メーカー、L3ハリスのような航空宇宙・防衛企業、テレダインのような高性能センサー企業など、宇宙経済を支えるサプライチェーン全体を見る必要があります。

宇宙産業は、かつての「政府主導の科学プロジェクト」から「民間企業が巨大な市場を形成する産業」へと変化し始めています。

ロケット打ち上げ回数の増加だけでなく、その先に生まれる通信、データ、AI、観測サービスまで考えれば、宇宙市場の成長余地は非常に大きいと考えられます。

宇宙ビジネスへの投資を考える場合、目立つロケット企業だけでなく、その裏側で不可欠な技術を提供する企業にも注目することが、次の成長企業を見つける重要な視点になりそうです。

情報ソース: Barron’s: “ NASA Is About to Launch a Telescope. What That Means for SpaceX, Others.” (By Al Root, Aug 28, 2026)

※本記事は情報の提供を目的としており、特定の銘柄への投資を推奨するものではありません。投資は自己責任で行ってください。

*過去記事はこちら スペースX

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