サンディスク株は買い時か?最高値から47%急落でもAI需要が消えない理由

  • 2026年8月11日
  • 2026年8月11日
  • BS余話

AIブームを背景に株式市場で大きな注目を集めてきたメモリメーカー、サンディスク(SNDK)の株価が急落しています。

同社株は6月25日に過去最高値となる2,335ドルを記録しましたが、その後は下落が続き、現在は最高値から約47%安い水準まで調整しました。短期間でほぼ半値となったことで、「AI関連株のバブルが崩壊し始めたのではないか」と警戒する投資家も少なくありません。

しかし、サンディスクを取り巻く事業環境や巨大テック企業の設備投資、さらにアナリストの評価を確認すると、単純に「AI相場の終わり」と判断するのは早そうです。

今回は、直近の株価動向と客観的なデータを整理しながら、サンディスクの今後の成長可能性について考察します。

巨大テックのAI投資が支えるメモリ需要

サンディスクの将来性を考えるうえで、まず注目したいのがAIデータセンターへの巨額投資です。

アマゾン・ドット・コム(AMZN)、メタ・プラットフォームズ(META)、アルファベット(GOOGL)などの巨大テック企業は、AI向けデータセンターや関連インフラの構築に数千億ドル規模の資金を投じています。

生成AIの普及にはGPUなどの半導体だけでなく、膨大なデータを高速で保存・読み出しするストレージも欠かせません。

AIモデルの高度化や利用者の増加に伴って処理されるデータ量が増えれば、それに比例する形で高性能なメモリやストレージへの需要も拡大する可能性があります。

その意味では、サンディスクが恩恵を受けている需要は単なる短期的なAIブームではなく、巨大テック企業による長期的な設備投資を背景とした構造的な成長テーマと見ることができます。

もちろん、四半期ごとの業績やガイダンスによって株価が大きく変動する可能性はあります。しかし、AIインフラへの投資が続く限り、データ保存需要そのものが急速に消滅する可能性は低いと考えられます。

最高値から47%下落でも年初来では422%高

一方で、サンディスクの株価には明らかな過熱感がありました。

同社株は6月25日に2,335ドルの過去最高値をつけた後、現在はそこから約47%下落しています。

さらに、50日移動平均線である約1,679.80ドルを下回っており、短期的な株価トレンドだけを見れば弱気相場に入っています。

直近では、決算見通しへの失望から8月6日に6.8%下落し、続く7日にも3.7%下落しました。

ただし、より長い期間で見ると印象は大きく変わります。

サンディスク株は年初来で422%上昇し、過去12カ月では実に2,757%という驚異的な上昇を記録しています。

つまり、最高値から47%下落したとはいえ、それ以前の上昇スピードが極端だったことも考慮する必要があります。

株価が短期間で約28倍になった銘柄であれば、業績そのものが悪化しなくても、投資家の利益確定やバリュエーション調整によって大幅な下落が起こることは十分に考えられます。

今回の調整は、AI需要の消滅というより、市場が織り込んでいた過度な期待が修正されている局面と見ることもできます。

アーガス・リサーチが「買い」へ引き上げ

株価が大幅に下落するなか、アナリストの評価にも変化が出ています。

アーガス・リサーチのアナリスト、ジム・ケレハー氏は、サンディスクの投資判断を「ホールド」から「買い」へ引き上げました。

12カ月の目標株価は1,600ドルに設定されています。

ケレハー氏は7月、サンディスク株が約1,757ドルだった時点で「ホールド」としてカバレッジを開始していました。

しかし、この記事掲載時点の8月10日の午前12時過ぎには株価が1,250ドルまで下落しています。

つまり、企業の事業環境そのものが劇的に改善したというよりも、株価下落によってリスクと期待リターンのバランスが改善したことが評価引き上げの背景にあると考えられます。

1,250ドルから目標株価1,600ドルまで上昇した場合、単純計算では約28%の上昇余地があります。

一方、1,600ドルという目標は過去最高値の2,335ドルを大きく下回っています。

これは、以前のような熱狂的な株価上昇を前提にするのではなく、AIデータセンター需要と企業業績を踏まえた、より現実的な評価水準に市場が移行しつつあることを示している可能性があります。

「AI相場終了」ではなく期待値調整の可能性

現在のサンディスク株を見るうえで重要なのは、「株価の下落」と「事業環境の悪化」を分けて考えることです。

最高値から47%下落していること自体は無視できません。50日移動平均線を下回っているため、短期的にはさらに値動きが不安定になる可能性もあります。

しかしその一方で、アマゾン、メタ、アルファベットなどによるAIデータセンター投資は続いており、メモリやストレージ需要を支える構造的な背景は依然として存在しています。

過去12カ月で2,757%上昇した株価が調整することは、むしろ自然な動きとも考えられます。

今回の急落は「AI相場そのものの終焉」というより、「AI関連であればどこまでも株価が上昇する」という第1段階の熱狂から、実際の売上高や利益、成長率、バリュエーションをより厳しく評価する相場への転換点なのかもしれません。

サンディスクは次の成長局面に入れるか

サンディスクの今後を左右する最大のポイントは、巨大テック企業によるAIインフラ投資が実際のメモリ需要と業績成長につながり続けるかどうかです。

AIデータセンター市場が拡大し続ければ、データ保存容量への需要も増加し、サンディスクにとって長期的な追い風となる可能性があります。

一方、株価は年初来で依然として大幅に上昇しており、最高値から47%下落したからといって単純に割安になったとは限りません。

今後は売上高の成長率、利益率、データセンター向け需要、設備投資、そして株価バリュエーションを慎重に確認する必要があります。

サンディスク株の急落は、AIブームの終わりを示しているというよりも、過熱した期待が一度リセットされ、企業の実力が改めて問われる段階に入ったと考えるほうが適切です。

株価が大きく調整した現在は、サンディスクが単なるAI相場の人気銘柄から、実際の業績成長によって評価される企業へ移行できるかどうかを見極める重要な局面となりそうです。

情報ソース: Barron’s: “Sandisk Stock Sold Off on Earnings and Was Rewarded With an Upgrade” (By Kit Norton, Aug. 10, 2026)

※本記事は情報の提供を目的としており、特定の銘柄への投資を推奨するものではありません。投資は自己責任で行ってください。

*過去記事「サンディスク株はなぜ下落した?好決算でも売られた3つの理由と933億ドル契約の価値

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