2026年6月に新規株式公開(IPO)を果たした、イーロン・マスク氏率いるスペースX(SPCX)。上場直後には大きな注目を集めたものの、その後は株価が4週連続で下落し、IPO銘柄特有の激しい値動きに見舞われました。
しかし、8月に入って状況は大きく変化しています。第2四半期決算が市場予想を大幅に上回ったことに加え、大規模なロックアップ解除を乗り越え、8月7日の株価は約16%上昇しました。
本記事では、米投資メディア「バロンズ」が2026年8月7日に報じた内容をもとに、スペースXの現在地と今後の成長シナリオについて考察します。
第2四半期決算は市場予想を大幅に上回る
スペースXの評価を大きく変えた最大の材料が、第2四半期決算です。
売上高は78億ドルとなり、市場予想の68億ドルを大きく上回りました。さらに、EBITDA(利払い・税引き・減価償却前利益)は35億ドルとなり、市場予想の21億ドルを約14億ドル上回っています。
特に注目したいのがEBITDAの強さです。
ロケット開発や衛星通信、AIインフラなど、スペースXが事業を展開する分野では巨額の設備投資が必要になります。それにもかかわらず、四半期ベースで35億ドルのEBITDAを生み出したことは、同社がすでに大規模な利益創出能力を持っていることを示しています。
単なる将来期待だけで評価されるIPO企業ではなく、実際の利益によって成長投資を支えられる企業へ移行しつつある点は重要です。
2027年売上高予想は1,020億ドルへ急上昇
決算発表後、ウォール街のスペースXに対する成長予測も大きく変化しました。
調査会社ファクトセットによると、2027年の売上高予想は7月末時点の720億ドルから1,020億ドルへ引き上げられました。
わずかな期間で300億ドルもの上方修正が行われたことになります。
市場が注目しているのは、ロケット打ち上げ事業だけではありません。衛星通信、データ通信、AIインフラなど複数の事業が同時に拡大することで、スペースX全体の売上高が急速に伸びる可能性が意識されています。
2027年に売上高1,000億ドルを超える水準まで成長するのであれば、スペースXは宇宙関連企業という枠を超え、世界最大級のインフラ企業へ近づくことになります。
9億1,200万株のロックアップ解除を株価が乗り越える
IPO後のスペースX株にとって最大の懸念材料の一つが、ロックアップ解除でした。
スペースX株はIPO価格135ドルで上場し、最初の2営業日はそれぞれ19%上昇する強烈なスタートとなりました。
ところが、その後は4週連続で下落し、一時は高値から約33%下落しました。
背景には、高値警戒感に加え、初期投資家や内部関係者が保有する株式のロックアップ解除によって、大量の売りが市場に出るのではないかという警戒がありました。
実際、8月6日には約9億1,200万株のロックアップが解除されています。
それでも翌8月7日のスペースX株は約16%上昇し、133.11ドルで取引を終えました。同日のS&P 500の上昇率は0.6%でした。
つまり、大規模な株式供給増加への懸念よりも、好決算による買い需要のほうが大きかったことになります。
短期的な需給悪化という重要なイベントを乗り越えたことは、今後の株価を考えるうえで一つの転換点になったと考えられます。
個人投資家から少なくとも36億ドルが流入
スペースX株の特徴として、個人投資家の存在感も見逃せません。
IPOでは発行株式の約20%が個人投資家向けに割り当てられました。
さらに上場後の8週間余りで、個人投資家から少なくとも36億ドルがスペースX株に流入したとされています。
株価が下落していた局面でも個人投資家による買いが続いていたことは、同社に対する長期的な成長期待の強さを示しています。
もっとも、個人投資家の買いが常に株価を支えるとは限りません。市場環境が悪化した場合には、逆に短期間で資金が流出する可能性もあります。
それでも、IPO直後から幅広い投資家層を獲得していることは、スペースX株の流動性や市場での存在感を高める材料になりそうです。
スペースXは「期待のIPO株」から「実績の成長株」へ
今回の決算と株価反応から見えてくるのは、スペースXに対する市場の評価軸が変わり始めていることです。
上場当初は、イーロン・マスク氏や宇宙開発、AIといったテーマ性への期待が株価を押し上げる側面が強くありました。
しかし現在は、売上高78億ドル、EBITDA35億ドルという具体的な収益実績と、2027年売上高1,020億ドルという成長予測が投資判断の中心になり始めています。
今後の焦点は、この高い成長率を維持しながら巨額の設備投資をどこまで利益成長につなげられるかです。
株価は8月7日時点で133.11ドルとなり、IPO価格135ドルの目前まで回復しました。
135ドルを明確に上回ることができれば、IPO後の調整局面を終えたと判断する投資家が増え、新たな上昇局面に入る可能性があります。
一方で、成長期待が急速に高まったことで市場の要求水準も上昇しています。今後の決算で期待を下回れば、大きな株価調整につながるリスクもあります。
スペースXは現在、「期待先行のIPO銘柄」から「実績で評価される大型成長株」へ移行する重要な局面にあると言えそうです。
情報ソース: Barron’s: “SpaceX Ended Its 4-Week Slump With a Bang” (By Al Root, Aug. 7, 2026)
※本記事は情報の提供を目的としており、特定の銘柄への投資を推奨するものではありません。投資は自己責任で行ってください。
*過去記事はこちら スペースX
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