トゥイリオ株が21%急騰 ソフトウェア株不振の中で勝ち組となった理由

2026年のソフトウェア株市場は、投資家にとって厳しい環境が続いています。金利の高止まり、企業のIT投資への慎重姿勢、AI投資の費用対効果に対する疑念などが重なり、多くのソフトウェア企業の株価は伸び悩んでいます。

その中で、クラウド通信プラットフォームを提供するトゥイリオ(TWLO)は、明らかに異なる動きを見せています。同社は2026年4月30日の市場終了後に第1四半期決算を発表し、売上高、利益ともに市場予想を上回りました。決算発表を受けて株価は大きく上昇し、ソフトウェア業界の中でも数少ない勝ち組として注目を集めています。

第1四半期決算は市場予想を上回る内容

トゥイリオの第1四半期決算では、調整後1株当たり利益(EPS)が1.50ドルとなりました。前年同期の1.14ドルを上回っただけでなく、アナリスト予想の1.27ドルも大きく上回っています。

売上高は14億1000万ドルとなり、こちらも市場予想の13億4000万ドルを上回りました。有機的ベースでの売上成長率は16%に達しており、CEOは売上高と粗利益の成長率が過去3年間で最高だったと説明しています。

特に注目されたのが、AI統合による音声セグメントの成長です。同社によると、音声セグメントの成長は6四半期連続で加速しました。成熟していると見られていた通信API市場において、再び成長が強まっている点は、今回の決算で最も重要なポイントの一つです。

一方で、すべてが完璧だったわけではありません。売上原価は市場予想を約1830万ドル上回り、調整後粗利益率は前年同期の50%から49%へ低下しました。売上拡大の一方で、コスト面には注意すべき兆候も見られます。

株価は急騰、ソフトウェアETFと明暗が分かれる

決算発表後、トゥイリオの株価は翌5月1日の取引で21.9%上昇し、180.47ドルに達しました。年初来では27%上昇し、過去1年では84%の上昇となっています。

この動きは、ソフトウェア業界全体と比較すると非常に目立ちます。同期間にソフトウェアETFであるIGVは年初来で21%下落しており、トゥイリオの株価はセクター全体と完全に異なる方向に動いています。

このデカップリングは、投資家がトゥイリオを単なるSaaS企業の一つとしてではなく、企業活動に欠かせない通信インフラ企業として再評価していることを示しています。企業がIT支出を絞る局面でも、顧客との連絡、認証、通知、音声対応といった機能は削減しにくい領域です。トゥイリオのサービスは、まさにその中核に位置しています。

AI活用が成長再加速のカギに

今回の決算で特に重要なのは、AIが単なる話題作りではなく、実際の成長に結びついている点です。

トゥイリオはもともと、企業がSMS、音声、メール、認証などの通信機能をアプリやサービスに組み込むためのプラットフォームを提供してきました。近年は成長鈍化への懸念もありましたが、AIを活用した機能強化によって、既存事業の価値が再び高まっています。

音声セグメントの成長が6四半期連続で加速していることは、顧客企業がAIを使った問い合わせ対応、自動応答、顧客接点の効率化に投資している可能性を示しています。これは、AI時代におけるトゥイリオの新たな成長ストーリーと言えます。

多くのソフトウェア企業は、AI投資によってコストが増える一方で、売上への貢献をまだ十分に示せていません。これに対してトゥイリオは、AIを既存サービスの利用拡大につなげている点で、市場から高く評価されたと考えられます。

唯一の懸念は粗利益率の低下

ただし、今回の決算には注意点もあります。それが粗利益率の低下です。

調整後粗利益率は前年同期の50%から49%に低下しました。1ポイントの低下に見えるかもしれませんが、売上高が14億ドルを超える規模になると、その影響は決して小さくありません。

売上原価が予想を上回ったことから、通信インフラの利用拡大、AI関連機能の運用コスト、クラウド基盤の負担などが増えている可能性があります。今後の焦点は、このコスト増が一時的な成長投資なのか、それとも構造的な利益率低下につながるのかという点です。

もし売上成長と同時に粗利益率を安定させることができれば、トゥイリオの評価はさらに高まる可能性があります。一方で、成長のたびにコストが膨らむ構造であれば、株価の上値は限定されるリスクがあります。

アナリストは相次いで目標株価を引き上げ

今回の決算を受けて、複数のアナリストがトゥイリオの目標株価を引き上げました。

オッペンハイマーは目標株価を170ドルから200ドルへ、BTIGは175ドルから215ドルへ、キーバンク・キャピタル・マーケッツは156ドルから200ドルへ引き上げています。

決算後の株価が180ドル近くであることを考えると、アナリストはなお一定の上値余地を見込んでいることになります。粗利益率低下という懸念はあるものの、それ以上に売上成長の再加速、AI活用の成果、ソフトウェア業界内での相対的な強さが評価された形です。

トゥイリオは再評価局面に入った

トゥイリオの第1四半期決算は、同社がソフトウェア業界の逆風を跳ね返す数少ない企業であることを示しました。売上高と利益が市場予想を上回り、音声セグメントの成長も加速しています。さらに、AI活用が実際の事業成長に結びついている点は、投資家にとって大きな安心材料です。

一方で、粗利益率の低下は今後も注意すべきポイントです。成長を維持しながらコストをどこまで抑えられるかが、次の決算以降の評価を左右することになります。

現時点でトゥイリオは、単なるクラウド通信企業から、AI時代の企業コミュニケーション基盤へと再評価されつつあります。ソフトウェア株全体が苦戦する中で、同社が「例外」として扱われている理由は、今回の決算にはっきり表れています。

情報ソース: Barron’s: “Twilio Stock Is a Rare Software Winner. The Earnings Prove It.” (By Nate Wolf, May 01, 2026)

※本記事は情報の提供を目的としており、特定の銘柄への投資を推奨するものではありません。投資は自己責任で行ってください。

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