オラクル株を揺らすオープンAI依存 5530億ドル受注残の見え方が変わった日

  • 2026年4月29日
  • 2026年4月29日
  • BS余話

2026年4月28日の米国株式市場で、オラクル(ORCL)株は前日比4%安の165.96ドルで取引を終えました。これで4営業日連続の下落となり、2026年に入ってからの下落率は15%に達しています。

今回の売り材料となったのは、チャットGPTを運営するオープンAIをめぐる不透明感です。ウォール・ストリート・ジャーナルが、オープンAIの新規ユーザー数や売上が最近、自社目標に届かなかったと報じたことで、同社と深い関係を持つオラクルにも警戒感が広がりました。

オラクルの成長期待を支えるオープンAI契約

オラクルがAI関連銘柄として注目されてきた大きな理由は、オープンAIとの巨大契約です。オープンAIは2030年までにAIデータセンターを構築するため、オラクルに3000億ドルを支払う契約を結んでいます。

オラクルのクラウドコンピューティングの受注残高は5530億ドルとされ、その半分以上をオープンAIとの契約が占めています。つまり、オープンAIはオラクルにとって単なる大口顧客ではなく、今後のクラウド成長を左右する中心的な存在です。

そのため、オープンAIの成長に疑問が出ると、オラクル株にも直接的な売り圧力がかかります。今回の株価下落は、オラクル自身の短期的な業績悪化というよりも、オープンAIへの依存度の高さを市場が再評価した動きといえます。

*過去記事「オラクルはAIインフラ企業へ変わるのか オープンAI大型契約が示す本当の意味

オープンAI報道が関連株に波及

ウォール・ストリート・ジャーナルは、オープンAIが新規ユーザー数と売上の自社目標を達成できなかったことに加え、最高財務責任者のサラ・フライヤー氏が、年内の株式公開目標や公開企業として求められる報告基準を満たす準備状況に懸念を示したとも報じました。

この報道は、オラクルだけでなく、オープンAI関連銘柄にも波及しました。コアウィーブ(CRWV)は28日に5.8%下落しました。同社はオープンAIと最大224億ドル規模の複数のクラウド契約を結んでいます。また、ソフトバンクグループ(9984)も現地取引で9.9%下落しました。

オープンAIは非上場企業のため、投資家は直接同社株を売買できません。その代わり、オラクル、コアウィーブ、ソフトバンクグループのような関連企業の株価が、オープンAIへの期待や不安を反映しやすくなっています。

オープンAI側は事業好調を強調

一方で、オープンAI側は報道内容を否定しています。同社のビジネス・財務広報責任者は、バロンズへのメールで、今回の報道を不適切な誘導記事であると反論しました。

同氏は、事業は極めて好調であり、法人向け事業は過去最高の状態にあると説明しています。また、オープンAIは2026年3月末時点で月間売上が20億ドルに達していると発表しています。

さらに、同社は当初2025年末に設定していた週間アクティブユーザー数10億人の目標に、まもなく到達する見込みであるとも述べています。チャットGPTは2022年後半にリリースされて以降、世界中で利用者を拡大しており、生成AI市場の中心的サービスであることに変わりはありません。

今回の市場反応は、オープンAIの成長が止まったというよりも、これまで市場が織り込んできた高い期待に対する調整と見ることができます。

マイクロソフトとの独占関係終了の意味

オープンAIをめぐっては、マイクロソフト(MSFT)との関係変化も注目されています。4月27日、オープンAIはマイクロソフトとのクラウドプロバイダーとしての独占契約を終了したと発表しました。
*関連記事「マイクロソフトとオープンAIの独占終了が示すAI市場の新局面

ただし、両社の関係が解消されたわけではありません。マイクロソフトは引き続き主要プロバイダーとして協力関係を維持します。

重要なのは、オープンAIが複数のクラウド事業者を使い分ける姿勢を強めている点です。オープンAIはすでにアマゾン・ドット・コム(AMZN)やアルファベット(GOOG)ともクラウド契約を結んでいます。AIモデルの訓練や推論に必要な計算資源が急増する中、単一のクラウド企業だけでは需要を満たしにくくなっている可能性があります。

これはオラクルにとって機会である一方、リスクでもあります。オープンAIがマイクロソフト依存を下げれば、オラクルの出番は増えます。しかし、複数企業に契約が分散すれば、将来の成長期待が見直される可能性もあります。

巨額評価額が生む期待とリスク

オープンAIは最新の資金調達ラウンドで1220億ドルを調達し、企業評価額は8520億ドルに達しました。未公開企業としては異例の規模であり、それだけ市場の期待は大きくなっています。

ただし、AIビジネスは売上成長と同時にコストも膨らみやすい構造を持っています。生成AIは、大規模な推論処理やモデル開発に膨大なコンピューティング能力を必要とします。そのため、売上が伸びても、クラウド利用料やデータセンター投資が利益を圧迫する可能性があります。

オラクル株への売りは、この構造的な不安も反映しています。オープンAIの成長が続く限り、オラクルのクラウド事業には追い風が吹きます。しかし、オープンAIの成長鈍化や資金調達環境の変化が起きれば、オラクルの成長期待も大きく揺らぎます。

AIインフラ株は選別の段階へ

オラクルの経営執行役会長であるラリー・エリソン氏は、AIインフラ需要を大きな成長機会と位置づけてきました。オラクルは従来、クラウド市場ではアマゾン、マイクロソフト、グーグルに比べて後発と見られてきました。しかし、オープンAIとの3000億ドル契約によって、AI時代のクラウドインフラ企業として再評価されてきました。

ただし、今回の株価下落は、AI関連なら何でも買われる局面が終わりつつあることを示しています。今後は、契約規模だけでなく、顧客集中度、売上への転換速度、利益率、資金調達力がより厳しく見られます。

オラクルはAIインフラ需要の大きな受益者である一方、オープンAIへの依存度が高い銘柄でもあります。今後は、巨大契約が実際に安定した売上と利益に変わるのかが、株価を左右する重要なポイントになります。

情報ソース: Barron’s: “Oracle Stock Is Paying the Price for OpenAI’s Failures” (By Adam Clark and Anita Hamilton, April 28, 2026)

※本記事は情報の提供を目的としており、特定の銘柄への投資を推奨するものではありません。投資は自己責任で行ってください。

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