TXN株が時間外で急伸 テキサス・インスツルメンツ決算の本当の注目点

  • 2026年4月23日
  • 2026年4月23日
  • BS余話

2026年4月22日のマーケット終了後、テキサス・インスツルメンツ(TXN)は第1四半期決算を発表しました。主な業績数値はウォール街の予想を大きく上回る堅調な内容となっています。

1株当たり利益(EPS)は1.68ドルとなり、市場予想の1.36ドルおよび前年同期の1.28ドルを上回りました。売上高は48億ドルに達し、こちらも市場予想の45億ドルを超え、前年同期比で19%の増加を記録しています。営業利益率も37.5%と非常に力強い水準を維持し、第2四半期のガイダンスについても強力な見通しが示されました。

また、設備投資額は6億7600万ドルとなり、過去数年間の積極的な工場近代化投資から通常レベルへと落ち着きを見せています。これにより、前年同期(2025年第1四半期)は2億7400万ドルの赤字だったフリーキャッシュフローが14億ドルの黒字へと大幅に回復しました。この中にはCHIPS・科学法(Chips Act)による助成金5億5500万ドルが含まれていますが、それを除いたフリーキャッシュフローマージンも19%に達しています。

市場別に見ると、主力である産業用および自動車用市場に加え、データセンター向け顧客への売上高が前年同期比90%増という大きな伸びを記録しました。この好決算と先行きのガイダンスを受け、時間外取引でテキサス・インスツルメンツの株価は10%超上昇しています。

決算分析:キャッシュフロー・マシンの復活と製造効率の向上

ここからは、発表された事実情報に基づいてテキサス・インスツルメンツの将来性を分析します。

最も注目すべき点は、2021年から着手していた200ミリから300ミリメートル・シリコンウェハーへの製造移行プロセスがほぼ完了したことです。これにより、2025年には売上高の15%まで圧迫されていたフリーキャッシュフローマージンが、明確に回復期に入りました。

第1四半期において設備投資額が減少し、キャッシュフローが劇的に改善したことは、中長期的な粗利益率の底上げと、再び現金を稼ぎ出す力が加速する準備が整ったことを示しています。かつて平均して40%を誇った高いマージン水準を目指す軌道に乗ったと言えます。

決算分析:「産業・車載」の安定基盤と「データセンター」の急成長

同社の強みは、産業・車載分野という比較的サイクルが長く安定した基盤を持っていることですが、今回の決算でデータセンター向け売上が前年比90%増となった事実は、新たな成長エンジンが確実に機能していることを証明しています。

安定した市場で確実な利益を上げつつ、需要が急増している最新のコンピューティング市場を捉えている現在の製品ポートフォリオは非常に優秀です。2022年に記録した過去最高の売上高である52億ドルへの回帰は時間の問題であり、今後はより高付加価値な製品構成での成長が期待されます。

結論:地政学的優位性と今後の展望

過去1年で約10億ドルにのぼるCHIPS法の助成金を受け取っている点も、米国内での製造を強化してきた同社にとって大きなアドバンテージです。国策を活用しながらのサプライチェーンの強靭化は、他社に対する強固な競争優位性(モート)となります。

年初来で株価は37%上昇し、今後12ヶ月の予想PERは34倍と過去のレンジ上限付近に達するなど、市場の期待はすでに高水準にあります。しかし、設備投資のピークアウトによるキャッシュフローの解放、300ミリウェハーによるコスト優位性、そしてデータセンター市場での急成長という3つの要素が揃っている現状を鑑みると、強力なファンダメンタルズを備えていると評価できます。

テキサス・インスツルメンツは「先行投資の時代」から「果実を収穫する時代」へと明確にシフトしており、今後の業績拡大に対する期待はより一層高まると考えられます。

情報ソース: Barron’s: “Texas Instruments Reports Solid Earnings. The Stock Is Up.” (By Adam Levine, April 22, 2026)

※本記事は情報の提供を目的としており、特定の銘柄への投資を推奨するものではありません。投資は自己責任で行ってください。

*過去記事「テキサス・インスツルメンツ決算分析:実績の「微減」を塗り替えた、強気な「先行指標」の正体

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