2026年4月21日、米投資情報メディア『バロンズ』は、ノースランド・キャピタル・マーケッツのアナリストであるNehal Chokshi氏が、複数の量子コンピューティング関連銘柄のカバレッジを新たに開始したと報じました。量子コンピューティング分野が実用化に向けて新たな局面に突入する中、ウォール街の専門家がどの企業を有望視しているのか、市場の大きな関心を集めています。
本記事では、このバロンズの報道内容を紹介しつつ、アナリストの評価から読み解ける各社の立ち位置と今後の将来性について独自に分析します。
驚異的なエラー改善で業界を牽引するイオンキュー
バロンズの報道によると、Chokshi氏はイオンキュー(IONQ)に対して「アウトパフォーム」の投資判断を下し、目標株価を55ドルに設定しました。4月21日の終値46.28ドルからさらなる上値余地を見込んでいます。その最大の根拠として挙げられているのが、同社が達成した2量子ビットゲート忠実度(フィデリティ)99.9%という基準クリアと、10月に到達した99.99%(フォー・ナイン)という驚異的なエラー改善の実績です。
イオンキューの高い忠実度は、実用的な「誤り耐性量子計算」への移行が非常に近いことを示唆しています。2024年に先行して99.9%を達成した非上場企業クオンティニュアムとの激しい開発競争が、結果としてイオンキューの技術成熟度を急加速させていると推測されます。このエラー率の低さを維持したまま量子ビット数を拡張(スケール)できれば、アナリストの強気な評価通り、業界の覇権を握るポテンシャルを十分に秘めていると考えられます。
室温動作の優位性を持つ光量子技術:ザナドゥ・クオンタム・テクノロジーズとクオンタム・コンピューティング
Chokshi氏がさらに強い成長ストーリーを描いているのが、ナスダック上場から1ヶ月に満たないのザナドゥ・クオンタム・テクノロジーズ(XNDU)です。同氏は同社に対しても「アウトパフォーム」とし、目標株価を43ドル(4月21日終値22.9ドル)としました。また、薄膜ニオブ酸リチウムを使用するクオンタム・コンピューティング(QUBT)に対しても「買い(アウトパフォーム)」の評価を与えています。IBMやグーグルが極低温への冷却を必要とする超伝導ループ方式を採用しているのに対し、両社が開発する光量子技術は「室温動作」が可能という大きな特徴を持っています。
極低温の維持には莫大なコストと巨大冷却設備が必要になるため、室温で動作する光技術は、データセンターなどへの導入ハードルを劇的に引き下げる破壊的イノベーションとなる可能性が高いと見られます。特に上場直後の資金調達力を得たザナドゥ・クオンタム・テクノロジーズは、研究開発から商用展開へと一気にアクセルを踏むフェーズに入ったと分析できます。このアプローチが実を結べば、将来の計算インフラの常識を塗り替える存在になるはずです。
ニッチ市場と汎用化の狭間に立つディーウェーブ・クオンタムとリゲッティ・コンピューティング
一方で、2022年に上場したディーウェーブ・クオンタム(QBTS)とリゲッティ・コンピューティング(RGTI)に対しては、両社ともに「マーケットパフォーム」の評価に留まりました。報道では、ディーウェーブ・クオンタムが特定用途向けの「アニーリング型」で確固たる地位を築き、2025年の調整後粗利益率で86%という高水準を記録していることが紹介されています。しかし同時に、2021年から汎用的な「ゲート型」への取り組みを再開し、同技術に特化したスタートアップであるクオンタム・サーキッツを買収した事実も指摘されています。
粗利益率86%という数字は、ディーウェーブ・クオンタムのアニーリング技術が物流や金融の最適化といった領域において、すでに顧客へ圧倒的な付加価値を提供している証拠です。それにもかかわらずゲート型企業を買収したのは、アニーリングだけでは将来の巨大な汎用計算需要を取りこぼすという強い危機感の表れだと推測されます。今後、現在の高い収益性を基盤にしつつ、いかにスムーズにゲート型市場へも参入できるかが、中長期的な企業価値を左右するポイントになると見込まれます。
総括
今回バロンズが報じたアナリストのカバレッジ開始は、現在の量子コンピューティング市場が基礎研究の時代から、アーキテクチャの覇権争いと商業的スケーラビリティを証明するフェーズへと完全に移行したことを示しています。
イオンキューの高い忠実度や、ザナドゥ・クオンタム・テクノロジーズの室温動作といった要素は、単なるスペック競争ではなく、どれだけ早く顧客のデータセンターに実用機を置けるかというビジネス上の競争優位性に直結していくと期待できます。
情報ソース: Barron’s: “Quantum Momentum Builds. Why IonQ and Xanadu Stocks Are This Analyst’s Top Picks.” (By Mackenzie Tatananni, April 21, 2026)
※本記事は情報の提供を目的としており、特定の銘柄への投資を推奨するものではありません。投資は自己責任で行ってください。
*過去記事「エヌビディアの新AIモデルで量子株急騰 イオンキューやディーウェーブに追い風となる理由」
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