「クリプトの壁」を越え、日常的な「金融インフラ」へ
暗号資産取引所の最大手であるコインベース・グローバル(COIN)が、大きな転換点を迎えています。同社が新たに打ち出した、手数料0%かつ平日24時間の米国株取引という戦略は、単なる機能追加に留まらない、既存の金融秩序への挑戦状と言えます。
コインベースのこれまでの課題は、業績が暗号資産市場のボラティリティに強く依存していた点にあります。事実、ビットコインが2025年10月のピークから約50%下落した際、コインベースの株価も54%下落しており、密接な相関関係が数値に表れています。
今回の株式およびETF(上場投資信託)取引への参入は、この依存体質からの脱却に向けた明確な一手です。1ドルから購入可能な分数株や24時間取引の導入は、暗号資産取引に慣れ親しんだ層のライフスタイルに合致しており、日常的な金融インフラとしての地位を固める狙いがあると推測されます。
「トークン化された株式」が描く真のゲームチェンジ
ブライアン・アームストロングCEOが言及した、トークン化された株式というビジョンこそが、同社の将来性を占う最大の鍵となります。これは、ロビンフッド・マーケッツ(HOOD)などの競合他社を追随するだけでなく、金融の仕組みそのものをブロックチェーンのルールで再構築しようとする試みです。
現在の株式取引は伝統的な取引所を介していますが、これをブロックチェーン上で展開できれば、中間コストを劇的に削減し、真の意味での24時間365日の流動性を提供することが可能になります。既存の金融システムと暗号資産の技術が融合することで、これまでにない利便性が生まれる道筋が見えてきます。
激化するフィンテック・ウォーズの行方
現在、コインベースはロビンフッドやソーファイ・テクノロジーズ(SOFI)といった競合他社と、同じ目的地に向かって異なる方向から競争を繰り広げています。ロビンフッドが証券から暗号資産へ広げたのに対し、コインベースは暗号資産から証券へと領域を拡大しています。
この競争において、コインベースの強みは、既に高度なセキュリティと規制準拠を前提としたブロックチェーン・インフラを自前で保持している点にあります。2026年2月25日午後の時点で14%上昇と、S&P 500指数構成銘柄の中で上昇率第2位を記録した事実は、市場が同社の総合金融プラットフォームとしての可能性を高く評価している証拠と言えます。アーク・ブロックチェーン・アンド・フィンテック・イノベーションETFの主要保有銘柄として、業界内での存在感は今後さらに高まっていくものと考えられます。
多角化の実力が試されるフェーズへ
コインベースの株価が依然としてビットコイン価格の影響を強く受けている現状を考えれば、多角化戦略はまだ途上段階にあります。しかし、株式取引の導入によって取引頻度が向上し、暗号資産市場の停滞期でも安定した収益を維持できる体制が整えば、同社は単なる取引所から、次世代のグローバル金融アプリへと脱皮を遂げる可能性を十分に秘めています。
情報ソース: Barron’s: “Coinbase Soars After Launching 24-Hour Stock Trading. Why Robinhood Shares Are Jumping, Too.” (By Nate Wolf, Feb. 25, 2026)
※本記事は情報の提供を目的としており、特定の銘柄への投資を推奨するものではありません。投資は自己責任で行ってください。
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