エヌビディアの死角はどこか?強気相場に警鐘を鳴らす「2026年の売り推奨」の論拠

先ほどの記事「エヌビディア株の調整は「買い」の好機か?J.P.モルガンの強気姿勢から読み解く将来性」では、JPモルガンによるエヌビディア(NVDA)の強気な見解と、現在の調整局面が押し目買いの好機であるという分析を紹介しました。多くの投資家がAIブームの継続を信じる中で、JPモルガンのような大手金融機関の評価は安心材料となるかもしれません。

しかし、市場には全く対照的な「弱気」の視点も存在します。今回は、強気一色のムードに冷や水を浴びせるような、シーポート・リサーチによる「2026年のショート(空売り)推奨」という分析を取り上げます。彼らが指摘する構造的なリスクを知ることは、強気派にとっても冷静な投資判断の一助となるはずです。

「株価上昇」は必ずしも「正解」ではないという指摘

まず注目すべきは、市場の熱狂と一部の専門家の冷静な視点のギャップです。マーケットウォッチの記事によると、シーポート・リサーチは2025年4月後半からエヌビディアに対し「売り」評価を継続しており、ウォール街で唯一のエヌビディア弱気派として知られています。その間、株価は62%も上昇しましたが、同社のアナリストであるジェイ・ゴールドバーグ氏は、2026年に向けてさらに確信度を高めています。

通常、これだけの逆行高となれば分析の修正を迫られるものですが、あえてこのタイミングで「ショート」をトップピックに挙げる姿勢は示唆的です。これは、現在の株価上昇が実需の拡大だけでなく、市場の慣性や期待先行で動いている可能性を示しています。株価が高くなればなるほど、将来の成長鈍化が確認された際の反動は大きくなると考えられます。

最大の顧客が「競合」に変わるパラダイムシフト

JPモルガンが「需要の堅調さ」を評価する一方で、シーポート・リサーチが懸念するのは「顧客の離反」という構造変化です。

メタ・プラットフォームズ(META)やアルファベット(GOOGL)といったエヌビディアの大口顧客は、脱エヌビディア依存を目指してカスタムチップの開発を加速させています。実際、グーグルが11月にリリースしたAIモデル「Gemini 3」は、ブロードコム(AVGO)と共同開発したTPUでトレーニングされました。

この動きは以下の2つのリスクを孕んでいます。 1つ目は、ブロードコム等のASIC勢への資金シフトです。ブロードコム株の高いパフォーマンスは、市場の関心が「汎用GPU」から「カスタムチップ」へ移りつつある証左と言えます。 2つ目は、エヌビディアの最も利益率の高い市場の縮小です。大手テック企業が自社チップへ移行すれば、エヌビディアのプレミアムな売り上げが剥落するリスクがあると思われます。

財務諸表に隠れた「循環取引」のようなリスク

さらに、強気派の分析ではあまり触れられない、契約上の特異なリスクについても指摘されています。

エヌビディアのクラウドサービス契約は倍増しており、表面上の数字は好調です。しかし、その内訳に含まれるコアウィーブ(CRWV)との63億ドルの契約には、注意すべき条項が存在します。

事実として、コアウィーブの設備容量が余った場合、エヌビディアは2032年までその「売れ残り」を買い戻す義務を負っています。

これは、エヌビディアが計上した売上が、将来的に「買い戻し費用」として戻ってくるリスクを示唆しています。もしAI需要が軟化し、コアウィーブの稼働率が下がれば、エヌビディアはキャッシュアウトを余儀なくされる可能性があります。現在の好調な売上の一部に、将来の潜在的な負債リスクが含まれている点は、長期投資家として警戒すべきポイントと言えます。

結論:強気と弱気、どちらのシナリオを採用するか

JPモルガンのような「依然として割安であり、買い場である」という見方に対し、シーポート・リサーチは「顧客の競合化と契約リスクにより、ダウンサイドの方が大きい」と分析しています。

2026年は、AI需要がそのままエヌビディアの利益になり続けるのか、それともブロードコムのようなカスタムチップ勢に分散していくのかが問われる年になると推測されます。

強気派の意見だけでなく、こうした弱気派の指摘する「ファクト(顧客動向や契約内容)」も加味した上で、慎重にポジションを検討することが重要だと言えます。

情報ソース: MarketWatch: “ Wall Street’s lone Nvidia bear is doubling down on his call, with high conviction ” (By Britney Nguyen, Dec. 15, 2025)

※本記事は情報の提供を目的としており、特定の銘柄への投資を推奨するものではありません。投資は自己責任で行ってください。

🎧この記事は音声でもお楽しみいただけます。AIホストによる会話形式で、わかりやすく、さらに深く解説しています。ぜひご活用ください👇

最新情報をチェックしよう!
>

幸せな生活作りのための米国株投資。
老後資産形成のための試行錯誤の日々を報告していきます。
皆様の参考になれば幸いです。

CTR IMG