【衝撃】スーツケースで密輸される最強チップ。中国AI「ディープシーク」がNVDAブラックウェルに固執する真の理由

中国のAIスタートアップであるディープシークが、米国の輸出規制を回避してエヌビディア(NVDA)の最新チップ「ブラックウェル」を入手し、次世代モデルの開発を行っていることが明らかになりました。

The Informationの報道(2025年12月10日付)によると、同社は東南アジアなどの第三国を経由する複雑なスキームを用いて、数千個規模のブラックウェルチップを確保しているとのことです。

この事実は、単なる「密輸のニュース」にとどまらず、ディープシーク、ひいては中国AI産業が直面している構造的な脆さと、技術的な野心の狭間で揺れ動く現状を浮き彫りにしています。報じられた事実情報に基づき、同社の将来性を3つの視点から分析します。

1. 「Sparse Attention」と「ブラックウェル」の不可分な関係

なぜディープシークは、リスクを冒してまでブラックウェルに固執するのか。その答えは、彼らが採用している技術的アプローチにあります。

報道によれば、ディープシークは次世代モデル開発において「Sparse Attention」という手法を採用しています。この手法ではモデル全体ではなく特定の部分のみを用いて質問に回答します。この技術は推論(AIモデルが回答を生成したりタスクを実行したりする過程)のコストを大幅に削減できるため、AI導入の経済的障壁を低くする可能性があります。この手法は計算コストを下げるための重要な鍵ですが、エヌビディアのブラックウェルチップは、この特定の計算処理を従来比で最大2倍高速化する専用ハードウェアを備えています。

ここから読み取れるのは、ディープシークのソフトウェアの進化が、エヌビディアのハードウェアの進化に完全に依存しているという現実です。彼らが技術的な競争力を維持するためには、汎用的なチップではなく、Sparse Attentionに最適化されたブラックウェルが「必須条件」となっているのです。これは技術的な強みであると同時に、供給が断たれた瞬間に開発スピードが鈍化しかねない、致命的なアキレス腱でもあります。

2. 「スーツケース密輸」による拡張性の限界

ディープシークが採用している調達スキームは、創造的である一方で、産業レベルの拡張性(スケーラビリティ)に深刻な疑念を抱かせます。

記事によりますと、正規のルートであればブラックウェルは72個のチップを搭載した1.5トンの巨大なサーバーラックとして導入されますが、密輸の場合は解体され、スーツケースサイズの「8チップ搭載サーバー」として持ち込まれています。なお、正規のサプライチェーンにおいては、デル・テクノロジーズ(DELL)やスーパー・マイクロ・コンピューター(SMCI)といった販売代理店が関与していますが、密輸品はこれらのサポート外で運用されます。

これは、世界トップレベルのAIを開発するインフラ構築手法としては極めて非効率です。アルファベット(GOOGL)やマイクロソフト(MSFT)が正規の巨大ラック単位で数万個規模のチップを導入し、データセンターを最適化しているのに対し、ディープシークは断片化されたハードウェアをつぎはぎで運用せざるを得ません。

さらに、エヌビディアがチップの位置追跡機能を開発中であることや、米司法省による摘発が進行している事実を鑑みると、この「地下供給ライン」がいつ枯渇してもおかしくない状況です。創業者の梁文峰氏が次世代モデルのリリース期限を設けていない背景には、こうしたハードウェア調達の不安定さが影響していると考えられます。

3. 「国産化」の理想と現実のギャップ

ディープシークは中国国内で「国宝(national treasure)」級の扱いを受けていますが、その実態は米国技術への依存から脱却できていません。

事実として、同社は政府の方針に従いファーウェイ製チップを小型モデルの学習には使用していますが、大型で強力なモデルには依然としてエヌビディア製チップを使用しています。これは、現時点での中国製チップが、最先端のモデル学習に必要な性能要件を満たしていないことをディープシーク自身が実証してしまっている形といえます。

トランプ米大統領が1世代前の「H200」チップの販売許可を示唆したことは、ある種の救済措置に見えるかもしれません。しかし、ディープシークがすでにブラックウェル(およびそのSparse Attention特化機能)に最適化を進めている以上、旧世代チップへの回帰は競争力の低下を意味します。

結論:綱渡りの開発競争

ディープシークの将来性は、極めて危ういバランスの上に成り立っています。

  • 規制を突破してでも最新鋭の環境を構築する執念と、ブラックウェルの性能を最大限に引き出すSparse Attention技術への注力。
  • 拡張性に欠ける密輸スキームへの依存と、米国の追跡・摘発強化による供給途絶の可能性。

彼らは技術的には「世界最先端」を走っているかもしれませんが、その足元のインフラは、正規ルートを持つアルファベットやオープンAIと比較して圧倒的に脆弱です。ディープシークが今後、この非正規な供給網を維持し続けられるか、あるいは国産チップで奇跡的なブレイクスルーを起こせるかが、同社の生存を左右する最大の焦点となります。

情報ソース: The Information: “DeepSeek is Using Banned Nvidia Chips in Race to Build Next Model” (By The Information Staff, Dec 10, 2025)

※本記事は情報の提供を目的としており、特定の銘柄への投資を推奨するものではありません。投資は自己責任で行ってください。

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