アルファベットが好決算で見せた「底堅さ」──割安感が高まる今、投資家はどう見るべきか

2025年の株式市場は、ハイテク株への逆風が強まる中で推移してきました。マクロ経済の減速懸念、金利の高止まり、地政学的リスクが複雑に絡み合い、投資家はよりディフェンシブな銘柄に資金をシフトさせています。しかし、こうした流れの中でアルファベット(GOOGL)は第1四半期決算で明確な「底堅さ」を示しました。

広告事業の回復とAI導入による広告収益の持続性

アルファベットの売上高の約75%を占める広告収益が、前年同期比8.5%増の669億ドルを記録しました。これは、広告市場全体に対する懸念が根強い中でのポジティブなサプライズです。GoogleはAIを活用した広告の最適化に力を入れており、AIオーバービューによる検索でも従来と同等のマネタイズが実現できているとしています。

短期的には、広告予算の削減リスク(特に小売業界における「de minimis」関税例外の廃止など)が残りますが、AI主導の広告精度向上が中長期的な成長を支える構造になりつつあります。

クラウド事業はインフラ拡充期へ

Google Cloudの成長率は前年同期比28.1%と堅調でしたが、前四半期の30.1%成長と比較すると若干の減速が見られます。この背景には、容量制約と新インフラへの移行期間があるとされ、2025年末までには解消される見通しです。つまり、現在は将来の成長に向けた「仕込み」の時期と言えそうです。

PERから見る割安感──17倍は買い場か?

特筆すべきは、アルファベットのバリュエーションです。現在の予想PER(株価収益率)は17倍と、過去7年間の平均である23倍を大きく下回っています。過去のレンジを見ても、17倍はボトムに近く、割安感が際立ちます。これは、「業績が予想を上回ったにもかかわらず、株価が大きくは反応していない」という市場の慎重姿勢を反映しています。

70億ドルの自社株買いと配当増──資本政策にも自信

また、アルファベットは新たに700億ドル規模の自社株買いプログラムを発表し、配当も5%増加させました。これは、キャッシュフローの強さと経営陣の自信を示す材料であり、株主還元の観点でも魅力的です。

投資家が注目すべきリスクとチャンス

今後の注目点は以下の通りです:

  • AI導入による広告モデルの再構築
  • クラウド事業のインフラ整備と競合とのシェア争い
  • 米欧における規制圧力の帰結
  • マクロ経済の動向による広告予算の変動

特にAI関連投資の回収スピードと、その成果をいかに広告・クラウド領域に転換できるかが、株価の次のトレンドを決定づける鍵となります。


まとめ:アルファベットは「割安な成長株」

現時点でのアルファベットは、マクロ逆風の中でも着実な成長を見せると同時に、PERベースでは「割安な成長株」として投資妙味が増しています。規制リスクや設備投資負担といった懸念材料を織り込みつつも、AIとクラウドを軸とした収益モデルの再構築が進めば、再評価の余地は十分にあると考えられます。

次の四半期以降、広告市場やクラウドインフラの状況が改善すれば、今の株価水準は振り返って「絶好の買い場」となる可能性も否定できません。

*過去記事 アルファベット GOOGL

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