株式市場が不安定な状況にある中でも、テクノロジー分野における人工知能(AI)への投資は加速しており、特にインターナショナル・ビジネス・マシーンズ(IBM)が大きな恩恵を受ける可能性が注目されています。
ウェドブッシュ証券のマネージング・ディレクターであり、ウォール街で最も楽観的なテクノロジー株支持者として知られるダニエル・アイブズ氏は、3月24日朝に発表した調査メモの中で、AI関連の支出が多くの企業においてIT予算の12%、場合によっては15%にまで増加していると述べています。この数値は、2025年1月の10%からの上昇であり、数十社の大企業を対象にした最近の調査結果に基づいています。
AI支出の増加とその市場への影響
アイブズ氏によると、AI導入を検討している企業の約70%が、過去6か月間でAI関連の予算と取り組みを加速させています。このことは、AIに対する支出サイクルの速さを象徴しているとされています。
この調査には、金融サービス、ヘルスケア、運輸、物流など、多岐にわたる業種の企業が含まれています。こうしたAIへの積極的な投資は、テクノロジー株の現在の株価がAIの成長性をすでに織り込んでいるという懸念を払拭する材料となる可能性があります。
テクノロジー株の下落とIBMへの評価強化
テクノロジー株全体としては低迷が続いており、ナスダック総合指数は直近5週間のうち4週間で合計11%下落しています。そのような中でも、アイブズ氏は一貫して米国のテクノロジー企業に強気の姿勢を維持しており、特にIBMに対する評価を強めています。
アイブズ氏は「ここ1か月間で目立っていたのは、IBMのクラウド事業における成功だ。今後12〜18か月で、既存の導入企業からの売上拡大が見込める大きな機会がある」と述べています。
この見解を受けて、同氏はIBMをウェドブッシュの「ベストアイデア」リストに追加しています。
パランティアとセールスフォースも注目銘柄に
さらにアイブズ氏は、2025年における最も有望なソフトウェア株として、パランティア・テクノロジーズ(PLTR)とセールスフォース(CRM)を挙げています。これらの企業も、AIトレンドを背景に高い成長が期待されている銘柄です。
他社アナリストによる慎重な見方も
一方で、J.P.モルガンのアナリスト、ブライアン・エセックス氏はIBMに対してより慎重な見解を示しています。同氏は、トランプ政権による積極的なコスト削減方針が連邦政府の調達活動に影響を与える可能性があり、それがIBMにとってリスクとなる可能性があると述べています。
ただし、J.P.モルガンの見解によると、連邦政府向けの売上はIBM全体の5%未満にとどまっているとされており、その影響は限定的と見る向きもあります。
株価動向と今後の注目点
IBMの株価は過去5週間で6.7%下落していますが、24日の米国市場の取引では、取引開始直後に1.8%上昇しています。このように、短期的な市場の変動の中でも、AIやクラウド技術への積極的な投資姿勢が今後の株価を支える可能性があります。
AI支出の増加という明確なトレンドを背景に、テクノロジー株、特にIBMのような企業への投資機会は今後も注目を集めていくと考えられます。
*過去記事はこちら IBM