アップル(AAPL)が今年後半に向けて大規模なソフトウェアの刷新を準備していると、ブルームバーグが3月10日に報じました。これは、iPhone、iPad、Macのオペレーティングシステム(OS)を劇的にアップデートするもので、2013年のiOS 7以来最大の変化となる可能性があります。
この記事では、ブルームバーグの報道内容を基に、アップルの新たなソフトウェア戦略とその狙いについて紹介します。
史上最大のUI変更、Vision Proのデザインをベースに
ブルームバーグによると、今回のUI(ユーザーインターフェース)の刷新は、アップルの複合現実(MR)ヘッドセットVision Proのソフトウェアデザインを基にしているとのことです。Vision ProのオペレーティングシステムvisionOSは、次のような特徴を持っています。
- 円形のアプリアイコン
- ウィンドウデザインの簡素化
- 半透明のナビゲーションパネル
- 影や奥行きを活用した3Dデザイン
これまでiOSやmacOSのデザインは異なっており、デバイス間でUIに一貫性がなかったことが課題でした。新しいデザインでは、OSの統一感を高めることが目指されています。
プロジェクト名「Luck」「Cheer」 – iOS 19、iPadOS 19、macOS 16の刷新
ブルームバーグによると、アップルはこのプロジェクトを「Luck」と「Cheer」というコードネームで進めています。
- iOS 19、iPadOS 19:「Luck」
- macOS 16:「Cheer」
特に、macOS 16は2020年のBig Sur以来の大規模アップデートとなり、iOS 19に至っては2013年のiOS 7以来の最大の変更とされています。
売上低迷の打開策となるか?アップルの狙い
ブルームバーグは、アップルのこの刷新が、売上の回復を狙ったものだと分析しています。
アップルは、パンデミック中に急成長を遂げたものの、その後の需要低迷に苦しんでいます。特に、2024年のホリデーシーズンにはiPhoneの売上が予想外に落ち込んだと報じられました。
こうした状況の中、今回のソフトウェア刷新によって、ユーザーの興味を引きつけ、エコシステム全体の魅力を高めることが目的とされています。
WWDC 2025で発表予定 – SiriのAI開発遅延の影響も?
ブルームバーグによると、この新たなソフトウェアアップデートは、2025年6月に開催予定のWorldwide Developers Conference(WWDC)で発表される予定です。
また、アップルは人工知能(AI)の開発にも取り組んでいますが、ブルームバーグの報道によると、デジタルアシスタントSiriのAI強化計画が無期限延期されたことも明らかになっています。この遅延によって、同社のAI戦略が不透明になっている中、新しいUIの発表は、ユーザーの関心を引きつける重要な要素となる可能性があります。
アップルのデザイン責任者、アラン・ダイ氏が主導
今回のUI刷新を率いているのは、アップルのデザイン責任者アラン・ダイ氏です。
ダイ氏は、かつてデザインの巨匠ジョニー・アイブ氏のもとでiOS 7やApple WatchのUIデザインに関わった人物です。現在は、300人以上のデザインチームを統括し、OSのビジュアルや操作性、音響デザインまでも決定しています。
新デザイン、ユーザーに受け入れられるのか?
ブルームバーグは、アップルのデザイン変更は過去にも賛否を呼んできたと指摘しています。
- 2013年のiOS 7では、フラットデザインへの変更が一部のユーザーから批判を受けました。
- 2024年にアップルが写真アプリのUIを刷新した際にも、使いにくくなったとの不満が多数寄せられました。
今回はオペレーティングシステム全体のデザイン変更となるため、ユーザーの反応が注目されるとブルームバーグは分析しています。
まとめ – ブルームバーグ報道のポイント
- アップルが2025年後半に向けてiOS 19、iPadOS 19、macOS 16を大規模刷新
- 新UIはVision Proのデザインを基盤に、OSの一貫性を強化
- 「Luck」「Cheer」と名付けられたプロジェクトで進行中
- 売上回復を目指し、新デザインでユーザーの関心を引きつける狙い
- WWDC 2025で正式発表予定
- SiriのAI開発の遅延が影響を与える可能性も
ブルームバーグの記事によると、アップルはこのソフトウェア刷新で、ユーザー体験を向上させるだけでなく、売上回復の起爆剤とすることを目指しているとのことです。
今後のアップルの動向に注目が集まります。
*過去記事はこちら アップル AAPL