メタ・プラットフォームズ(META)は、1月29日の米国市場終了後に2024年第4四半期の決算を発表しました。決算内容は市場予想を大幅に上回り、発表後の時間外取引で株価が上昇しました。売上の成長要因や設備投資の動向、そして今後の見通しについて詳しく解説します。
メタの2024年第4四半期決算の概要
メタの第4四半期決算は、ウォール街の予想を大幅に上回る結果となりました。一株当たり利益(EPS)は8.02ドルで、コンセンサス予想の6.76ドルを上回り、前年同期比で50%増加しました。売上は前年同期比21%増の484億ドルに達し、市場予想の470億ドルを超えました。
売上の増加は、広告のパフォーマンスによるものです。ユーザーが見た広告の数が6%増加し、広告の平均価格も14%上昇しました。これにより、広告収入の拡大が加速しました。
2025年第1四半期の見通しは慎重な内容に
2025年第1四半期の売上見通しは、395億ドルから418億ドルの範囲で示されました。この中間値は、前年同期比で12%増加となりますが、アナリスト予想の417億ドルとほぼ一致する水準です。市場ではやや慎重な見通しと受け止められました。
また、2025年の通年の経費ガイダンスも発表され、中間値で1170億ドルと、2024年比で22%増加する見込みです。
AIデータセンターへの投資が急増
メタの最高経営責任者(CEO)であるマーク・ザッカーバーグ氏は、AIデータセンターへの設備投資額についても言及しました。2025年の設備投資額は600億ドル〜650億ドルになる見通しであり、前年比で59%増加します。
アマゾン(AMZN)、マイクロソフト(MSFT)、アルファベット(GOOGL)といった他の大手テクノロジー企業もAIデータセンターに多額の投資を行っています。ただし、これらの企業はクラウドサービスを提供するためにコンピューティングパワーを外部に貸し出しているのに対し、メタは自社のサービスのためにAIハードウェアを購入している点が異なります。
ディープシークの台頭が設備投資に影響を与えるか
ウォール街のアナリストは決算説明会で、中国のAIモデル「DeepSeek R1」の登場が設備投資計画に影響を与えるかについて質問しました。DeepSeek R1は、AIの低コスト化を実現するとされており、もしメタが同様の技術を活用できれば、これほど大規模な設備投資は必要なくなる可能性があります。
しかし、ザッカーバーグ氏は、ディープシークが設備投資計画を変えるかどうかを判断するのはまだ時期尚早だと述べました。
AR・VR事業の成長は鈍化、営業損失は拡大
メタが展開する拡張現実(AR)および仮想現実(VR)部門「リアリティ・ラボ」の売上は、第4四半期に1%増加しました。しかし、クエスト・ヘッドセットやレイバンとのコラボレーションによるスマートグラスの売上が期待ほど伸びなかった可能性があります。
さらに、リアリティ・ラボの営業損失は50億ドルとなり、前年同期比で7%拡大しました。この事業は依然として赤字が続いており、今後の収益化戦略が注目されます。
2024年第4四半期は自社株買いを実施せず
2024年1月から9月までに300億ドル規模の自社株買いを行っていたメタですが、第4四半期には自社株買いを行いませんでした。この決定についての具体的な説明はありませんでしたが、設備投資の増加や事業戦略の変更が背景にあると考えられます。
米国市場での成長が堅調
メタの地域別売上をみると、米国とカナダの売上は前年同期比16%増加しました。一方で、その他の地域では23%の成長を記録し、海外市場の伸びが引き続き力強いことが示されました。
AIの低コスト化が業界に与える影響
ディープシークのような新技術が広がることで、AIコンピューティング・ハードウェアの重要性が低下し、AIソフトウェアやサービスの価値が高まる可能性があります。BoxのCEOであるアーロン・レヴィ氏は、SNS「X」において、「AIのコストが下がり続けることで、アプリケーション層の価値がさらに向上する」と述べました。
メタがディープシークの技術を活用できれば、すでに構築されたデータセンターの効率性を向上させることができると予想されます。エバコアISIのアナリストであるマーク・マハニー氏も、「メタはAIを活用し、ユーザー体験と広告体験の両方を向上させている」と評価しています。
まとめ
メタの2024年第4四半期決算は、売上と利益の両面で市場予想を上回る好調な内容となりました。一方で、2025年第1四半期の売上見通しは慎重なものとなっており、株価への影響が注目されます。また、AIデータセンターへの投資増加やディープシークの台頭が、今後の戦略にどのような変化をもたらすかも重要なポイントです。
*過去記事 メタ・プラットフォームズ