ASMLの株価が米国市場でも急騰、最新決算が市場予想を上回る

  • 2025年1月30日
  • 2025年1月30日
  • BS余話

オランダの半導体装置メーカーであるASMLホールディング(ASML)の株価が1月29日の米国市場で急騰しました。同社の最新業績が市場予想を上回ったことを受け、投資家の買いが集まっています。今週初めに中国企業ディープシークの低価格AIモデルの話題が市場を揺るがしましたが、ASMLの好決算により、これまでの損失を取り戻す動きとなりました。

ASMLの株価が大幅上昇

アムステルダム証券取引所に上場しているASMLの株価は、1月29日の取引で7.3%上昇しました。また、米国市場で取引されている米国預託証券(ADR)も取引開始直後に6.1%上昇し、725.32ドルに達しました。この急騰の背景には、第4四半期決算が市場の予想を大きく上回る結果となったことが挙げられます。

第4四半期決算の詳細

ASMLの2024年第4四半期決算によると、売上は93億ユーロ、1株当たり利益は6.85ユーロ(約7.14ドル)となりました。市場予想では売上が91億ユーロ、1株当たり利益が6.72ユーロとされていたため、いずれも市場予想を超える結果となりました。

また、純売上高は71億ユーロに達し、アナリストの予想である57億ユーロを大きく上回る結果となりました。これにより、投資家の信頼が高まり、株価が大きく上昇しました。

半導体業界におけるASMLの役割

ASMLは、TSMC(TSM)、インテル(INTC)、サムスン電子といった主要な半導体メーカーに製造装置を提供しています。特に、最先端のEUV(極端紫外線)リソグラフィ装置を独占的に供給しており、半導体産業における重要な企業としての地位を確立しています。

ハーグリーブス・ランズダウンのアナリストであるデレン・ネイサン氏は、「ASMLの第4四半期決算は、半導体業界の投資家にとって、混乱の中における安定した指標となる」と述べています。

ディープシークのAIモデルによる影響

今週初め、中国企業ディープシークが発表した低価格のAIモデルが、欧米の主要AIモデルと競争できる可能性があるとの報道がありました。このニュースを受けて、米国のハイテク株が一時的に売られる場面がありました。ディープシークによると、このAIモデルは低コストのチップを使用して開発されたとされていますが、実際の総コストについては疑問の声も上がっています。

こうした市場の懸念に対して、ASMLのクリストフ・フーケ最高経営責任者(CEO)は、「AIが広く普及するためには、コストと消費電力に関する大きな進歩が必要になる。コスト削減は生産量の増加にもつながるため、最終的には半導体業界にとってプラスに働く」とコメントしました。

2025年の業績見通し

ASMLは、2025年の売上見通しについて、300億ユーロ〜350億ユーロの範囲になると改めて示しました。さらに、AI関連の需要が堅調に推移すれば、このレンジの上限に達する可能性もあると述べています。

また、アナリストのブービニーズ氏は、ASML株の「中立」評価を維持し、目標株価を710ユーロと設定しました。最近の市場の混乱や予想を上回る受注状況を踏まえると、ASMLの株価は引き続き堅調に推移すると考えられています。

まとめ

ASMLの第4四半期決算は、市場予想を上回る好結果となり、株価の急騰を引き起こしました。特に、純売上高がアナリスト予想を大きく上回ったことが、投資家の信頼を強める要因となりました。半導体業界の重要企業であるASMLの業績は、今後も市場全体の動向に大きな影響を与えると考えられます。

また、2025年の売上見通しも引き続き堅調であり、AI関連の需要が継続すればさらなる成長が期待されます。今後もASMLの動向に注目が集まりそうです。

*過去記事「ASMLの株価が急騰、AI需要拡大で第4四半期の受注が予想を上回る

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