2024年9月、景気減速の兆候が見え始め、株式市場は再び不安定な動きを見せています。特に、S&P 500が4.2%の下落を見せたことから、多くの投資家が今後の市場動向に不安を抱いているのが現状です。このような不透明な経済環境の中、どのような投資戦略を採るべきかを考えることが、今後のパフォーマンスに大きく影響します。
今回は、配当成長株とETFに焦点を当てて、より安定した投資戦略を探っていきます。
配当成長株が注目される理由
テキサス州に拠点を置く投資顧問会社、アレクシス・インベストメント・パートナーズの社長であるジェイソン・ブラウン氏は、「景気減速時には、配当成長が特に魅力的だ」と述べています。市場のボラティリティが高まる中で、安定した成長を続ける企業への投資は、リスク分散と収益の両方を狙う上で優れた選択肢となります。
ブラウン氏は、配当利回りの高さに依存するよりも、配当の成長性を重視する方が得策だと指摘します。高利回り株は魅力的に見えるかもしれませんが、成長が鈍化するリスクもあるため、一貫した配当成長を実現している企業の方が長期的には有利です。
ETFのおすすめ:VIG vs. SDY
配当成長を重視する投資家にとって、注目すべきETFとしてバンガード・ディビデンド・アプリーション・インデックス・ファンドETF(VIG)とSPDR S&P ディビデンドETF(SDY)をブラウン氏は挙げています。どちらも高品質な企業で構成されており、配当貴族に該当する企業が含まれています。
- VIGは、S&P 500 Dividend Growers Indexに連動し、少なくとも10年連続で配当を増やしている企業を対象としています。過去5年間で平均13%のリターンを達成しており、成長性を重視する投資家にとって魅力的です。
- 一方で、SDYはS&P High Yield Dividend Aristocrats Indexに連動し、少なくとも20年連続で配当を増やしている企業を対象としています。過去5年間のリターンは9%と、安定性を求める投資家にとって安心できる選択肢です。
ブラウン氏は、VIGをより高く評価しており、特に景気減速期には優れたパフォーマンスが期待できると述べています。
配当成長株への個別投資
ETFではなく、個別銘柄を選好する投資家にとって、以下の企業は特に注目すべき存在だとブラウン氏は述べています。
- GEエアロスペース(GE)
エンジンメーカーであり、配当利回りが大幅に増加しています。GEエアロスペースは、今後12ヶ月で大幅な利益成長が期待されています。 - タルガ・リソース(TRGP)
天然ガス流通企業で、配当成長と収益成長の両方が堅調です。 - CFインダストリーズ(CF)
肥料メーカーで、収益と配当の増加が期待されています。 - SBAコミュニケーションズ(SBAC)
ワイヤレス不動産分野でのリーダー企業で、配当成長率が高く、今後の収益拡大も見込まれます。 - アクセンチュア(ACN)
コンサルタント業界のリーダーであり、配当成長率が安定している上、収益成長も期待されています。
これらの5銘柄の平均配当利回りは1.8%で、S&P 500全体の配当利回り約2.3%と比較するとやや低いものの、配当成長率と収益成長率が非常に高い点が魅力です。特に、GEエアロスペースを除いた場合、これらの銘柄の収益成長率は約35%に達する見込みです。
配当成長株とETFで守りを固める
配当成長株は、安定した収益とキャッシュフローを持つ企業に投資することで、市場のボラティリティに対するリスクヘッジを行う手段となります。特に、不安定な経済環境では、一貫して配当を増やす企業が注目されます。個別銘柄とETFの組み合わせにより、ポートフォリオ全体のリスクを分散しつつ、安定したリターンを狙うことができます。
どちらの戦略を選ぶかは投資家のリスク許容度や投資目的によりますが、いずれにしても、配当成長株や高品質なETFに焦点を当てることは、景気減速時における有力な選択肢となります。
*過去記事はこちら 配当株