エアビーアンドビー 金利上昇で利益を得ることができるグロース株

エアビーアンドビー(ABNB)は世界最大のオンライン代替宿泊旅行代理店です。エアビーアンドビーのマーケットプレイスには豊富な選択肢があり、大都市やその近郊のホテルに宿泊するよりも低コストで、プライバシーも確保できる物件が多くあります。

同社はホームシェアリングでほぼ独占状態にあり、市場シェアは推定74%です。フリーキャッシュフローを大量に生み出し、1兆ドル以上の市場と評価される旅行業界のディスラプターとして注目されています。

そして、同社にはあまり注目されていない魅力があります。それは、他のハイテク株とは異なり、金利が上昇したときに同社が利益を得ることができるということです。

エアビーアンドビーは、旅行者がウェブサイトやアプリで予約できる物理的な建造物を所有・運営していません。その代わりに、エアビーアンドビーは旅行者とホストを結びつけ、その取引を促進します。エアビーアンドビーは、そのサービスの対価として、一定の手数料を得ています。

エアビーアンドビーのサービスの一つの側面は、消費者から支払いを収集し、取引が完了するまでホストに代わって支払われたお金を預かることです。

つまり、エアビーアンドビーは数ヶ月前にレンタル料を徴収し、消費者が滞在を完了してからホストに支払うことが多いのです。

そのため、エアビーアンドビーはホストに代わって預かるこれらの準備金から金利収入を得る機会があります。金利が高ければ高いほど、エアビーアンドビーが現金残高のある数ヶ月間に得られるリターンは大きくなります。

エアビーアンドビーはこの資金を「顧客のために保有している金額」として報告しています。第2四半期にその金額は75億ドルとなり、その利息収入として2020万ドルを計上しています。つまり、エアビーアンドビーは第2四半期に、その残高に対しておよそ年1%の利回りを得たことになります。

第2四半期が終わってから、米連邦準備制度理事会(FRB)は基準となるFF金利の引き上げを続けており、国債利回りもそれに呼応しています。1年物国債の利回りは、今年上半期の大半で2%未満で推移した後、現在は4.6%程度であり、投資家は下半期にエアビーアンドビーの金利収入の増加を期待することができます。

4.6%の利回りで75億ドルを投資した場合、年間3億4500万ドルの無リスクの利益を得ることができます。季節的に絶好調だった直近の四半期にエアビーアンドビーがあげた純利益が3億7900万ドルだったことから考えても、この金利による収入の規模がいかに大きいかがわかります。

そして、エコノミストたちは、FRBが11月初旬の会合で75ベーシスポイント、12月にさらに50ベーシスポイントの利上げを行うと予測していますので、国債利回りはさらに高くなる可能性があります。

また、顧客のために保管している金額も、ビジネスの成長に伴い、今後数年間で上昇する可能性が高く、エアビーアンドビーがこの金利収入から得る金額はさらに高くなる能性があります。

一般的に、金利の上昇は、お金の時間的価値を変え、将来の利益の価値を下げるため、グロース株にとっては不利な要素と考えられています。昨年、多くのグロース株が暴落し、ソフトウェアなどのセクターでバリュエーションが急激に低下したのもそのためです。

しかし、エアビーアンドビーは金利収入を得ることができるため、他のグロース株やハイテク企業とは明らかに異なる優位性を持っています。

もちろん、金利の上昇は、景気後退につながる恐れがあり、エアビーアンドビーのプラットフォームでの旅行は主に裁量的支出に基づいているため、不況は痛手となり良いことばかりではありません。

しかし現在までのところ、景気後退懸念にもかかわらず個人消費は堅調に推移しており、パンデミックの反動による旅行需要もまだ旺盛のようです。一方、パウエルFRB議長は、インフレを冷やすため、中央銀行が基準金利を4~5%に引き上げ、少なくとも2023年末までは据え置くとの見通しを示しています。

旅行需要が堅調に推移すれば、エアビーアンドビーは本業の利益が好調に推移する一方、記録的な金利収入の恩恵を受ける可能性があります。このような環境下で多くのハイテクセクターが直面している苦境と比較すると、エアビーアンドビーはグロース株投資家にとって非常に魅力的な銘柄となっています。

*過去記事 エアビーアンドビー ABNB

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