9月のナスダック総合株価指数は月間で10.5%も下落しました。今年初めのハイテク産業の落ち込みは、すべてバリュエーションに起因するものでしたが、今回の下落は、収益の悪化が原因です。底値がどこになるのか誰も予測はできず、今後数四半期は荒れた展開が続きそうですが、ここまで下落すれば、そろそろハイテク株の購入に乗り出すべき時だと何人かのアナリストが言い出しています。
ハイテク株を最終的に上昇させる強力な基本的な長期的トレンドは健在であり、長い時間軸を持ち、強い胃袋を持つ投資家は、この市場に少しずつ参入することを検討してもよいと彼らは主張しています。
レッドバーンのアナリストであるAlex Haissl氏は、先週のリサーチノートで、2022年にはクラウドコンピューティングサービス大手3社、アマゾン(AMZN)、マイクロソフト(MSF)、アルファベット(GOOGL)が世界のIT支出の増加分の3分の1を吸い上げると書いています。
ただ、総額で見れば、Amazon Web Services、Microsoft Azure、Google Cloudの今年の売上は合計で約1600億ドルで、ガートナーが予測する2022年のIT支出総額4兆5000億ドルの4%未満に過ぎません。Haissl氏は、ビック3の売上は今後大きく増えて、2030年までにIT支出全体の30%以上を占めるようになると予測しています。
クラウドコンピューティングのトレンドに乗るには、他にも方法があります。モフェット・ナサンソンのアナリスト、スターリング・オーティ氏は、エンタープライズ・ソフトウェア・セクターのカバレッジを開始した最近のメモで、このグループに戻り始める時期が来たと書いています。
ソフトウェア株の弱気相場は平均して3カ月続くと言われていますが、今回はすでに10カ月が経過しており、「史上最長のソフトウェア弱気相場」となっていると同氏は述べています。しかし、今後は、特に労働市場の逼迫により賃金が上昇し、生産性の向上が急務となっていることから、企業の「デジタル変革」が進み、需要は堅調に推移する可能性が高いとオーティ氏は考えています。
今後あと数四半期は弱いガイダンスが出るなどの不安定な展開が続くことを認めながらも、バリュエーションはソフトウェア株を面白くするのに十分なほど下がってきているとオーティ氏は考えており、「我々は、ソフトウェアの底値や天井を特定できると主張するつもりはないが、長年の経験から、物事が『典型的』からこれほどかけ離れているときは、反対方向に動き出すのが最善であると考える」と書いています。
弱気なセンチメントはすでに株価に織り込まれており、他のセクターと比較してソフトウェアに高い成長力があることを見た投資家が参入し始めることから、ソフトウェア株の業績を後押しすると同氏は考えています。
オーティ氏が「アウトパフォーム」と評価するソフトウェア株は以下の銘柄です。
クラウドストライク(CRWD)、データドッグ(DDOG)、インテュイット(INTU)、サムサーラ(IOT)、クラウドフレア(NET)、リングセントラル(RNG)、スマートレント(SMRT)、スノーフレーク(SNOW)、Zスケーラー(ZS)
同じように考えているのはオーティ氏だけではありません。ゴールドマン・サックスで2つのテクノロジー・ファンドを運用しているSung Cho氏は、年間20%以上の成長が続いているにもかかわらず、株価が大きく下落したSaaS企業に出資しているそうで、アトラシアン(TEAM)、パロアルトネットワークス(PANW)、ハブスポット(HUBS)、スノーフレーク(SNOW)の名前をあげています。
また、 Cho氏は、自動車産業が半導体産業にとってますます重要性を増してくるという、もうひとつの長期的なトレンドの信奉者でもあります。
自動車向けの半導体需要について同氏は「需要は爆発的に伸びている。チップは電気自動車や自律走行だけでなく、デジタルコックピットディスプレイや自動車をウェブに接続する際にも大きな役割を果たす。」と述べ、このトレンドの受益者となる銘柄として、オン・セミコンダクター(ON)、NXPセミコンダクター(NXPI)、Infineon(IFNY)、ウォルフスピード(WOLF)、STマイクロエレクトロニクス(STM)をあげています。