キンダー・モルガン 継続的に高配当が期待できるエネルギー関連銘柄

  • 2022年8月30日
  • 2022年8月30日
  • 配当株

石油・天然ガス産業では、探鉱・開発・生産フェーズをE&P(Exploration & Production)、もしくは上流と呼び、生産した石油・天然ガスを輸送するフェーズを中流、加工・供給までの最後のフェーズを下流と呼んでいます。

キンダー・モルガン(KMI)は、北米最大の中流エネルギー会社の一社です。83,000マイルのパイプラインと140を超える貯蔵ターミナルの権益所有あるいは運営を手掛ける事業者であり、米国で年間消費される天然ガスの40%の輸送に貢献しています。

その意味で同社は、21,300マイルのガスパイプラインを所有し、全米の天然ガスの15%の輸送に貢献しているバークシャー・ハサウェイ・エナジーのパイプライン・グループによく似ています。パイプラインは、安定的かつ反復的なキャッシュフローを多く生み出す優れた投資先であり、まさにウォーレン・バフェット氏好みの業種であると言えます。

もうひとつバフェット氏が好みそうなのがキンダー・モルガンが現在非常に割安で評価されていることです。

同社は、原油価格の上昇による石油生産事業の好況もあり、最近ガイダンスを5%引き上げ、今年の配当可能キャッシュフローを1株当たり2.17ドルと予想しています。

同社の株価は今年に入って20%上昇していますが、それでも、1株当たり約19ドルという最近の取引価格は、キャッシュフローの9倍以下です。これは、安定的かつ成長するキャッシュフローを大量に生み出す企業としては、信じられないほど安い評価であり、この評価額の低さが、現在 5.9%という高い配当利回りを実現している大きな理由です。

キンダー・モルガンは、そのフリーキャッシュフローの約半分を、配当金に充てている一方、残りの半分のキャッシュは、拡張プロジェクトへの投資や自社株買いに充て、すでに強固な財務体質をさらに強化しています。

進行中の拡張プロジェクトとしては、よりクリーンな燃料である天然ガスの需要増に対応するため、複数の天然ガスパイプラインの能力を増強しているほか、再生可能な天然ガスのプラットフォームを構築するために11億ドルを投資しています。これらの投資により、同社のキャッシュフローは拡大し、増配を続けることが可能になると見られます。

また、キンダー・モルガンは、割安な株式を機動的に買い戻すことも行っています。同社は今年、約1600万株を1株当たり平均17.09ドルで買い戻しました。この買い戻しにより、発行済み株式数が減少し、1株当たりの成長率が高まっています。例えば、第2四半期は全体の分配可能キャッシュフローが14.7%増加しましたが、1株当たりでは15.6%増加しました。

長期的に石油と天然ガスの需要は少なくとも2040年まで上昇し続け、世界的なエネルギー戦略として再生可能エネルギーの需要が増加すると考えられています。

キンダー・モルガンは、扱うエネルギー製品の価格ではなく、輸送量に基づいて報酬を得るため、同社の株価はE&P企業のように大きく変動することはありません。エネルギー市場が活発になれば生産量も増え、下げ相場でもキンダー・モルガンの株価はその影響を受けません。

現在、キンダーモルガンは、2022年を含めると5年連続の増配を続けていますが、こうした将来の需要動向を考えると、その高い配当利回りが、今後何年にもわたって堅調に継続することが期待できます。

*過去記事「配当利回り6.5%のキンダー・モルガンに注目

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