レモネード(LMND)は11月8日、同業のインシュアテックであるメトロマイル(MILE)を約5億ドルの株式で買収することに合意したと発表しました。
買収条件は、メトロマイルの株主が、19対1の割合でレモネード社の普通株式を受け取ること、つまりメトロマイルの株式19株に対してレモネード社の株式1株を受け取ることであると発表されています。
この取引は、メトロマイルの株主の承認を必要としますが、2022年の第2四半期に完了する予定です。この取引のニュースを受けて、8日の時間外取引でメトロマイルの株式は6%以上急騰し、レモネードは5%下落しました。
2011年に設立されたメトロマイルは、ペイ・パー・マイル型の自動車保険を提供することで、自動車の所有コストを下げることを目的としたインシュアテック企業です。
顧客はメトロマイルの「パルス」と呼ばれる電子機器を車の診断ポートに接続し、ユーザーの運転に関するデータを収集します。メトロマイルは49の州でライセンスを取得しています。
メトロマイルのCEOであるDan Preston氏は、声明の中で次のように述べています。
「レモネード・カーと手を組むことで、最も顧客を中心とした公正で手頃な価格の自動車保険が誕生し、統合会社の株主として利益を得るメトロマイルの株主にとっても素晴らしい結果となります。これで、住宅所有者、賃借人、運転者のすべての保険ニーズを、彼らの最善の利益を真に考えている単一の会社で持つことができるようになります。」
今回の買収は、2020年に最も注目されたIPOの1つであるレモネードが、29ドルの公募価格から139%上昇して上場してから1年以上が経過した時期に行われることになります。
2016年に設立されたレモネードは、米国の賃貸人や住宅所有者を対象に、盗難や破損した財産、および個人賠償責任に対する保険を提供しています。同社は、機械学習を利用してリスクを評価し、クレーム処理にはAIを使用しています。レモネードは最近では、生命保険やペット保険にも手を広げています。
レモネードのCEO兼共同設立者であるダニエル・シュライバー氏はブログで、レモネードが住宅保険とペット保険におけるビッグデータとAIの活用の最前線にいた一方で、メトロマイルは「自動車保険のための平行した道を忙しく切り開いていた」と述べています。
先週、レモネードは自動車向けの保険を開始し、走行距離の少ない顧客や、EVやハイブリッドカーを運転する顧客に対して、より早く、より安い料金を提供すると謳っています。
シュライバー氏はブログの中で、自動車保険は「非常に競争の激しい市場」であり、その急峻な学習曲線を突き進むことは、危険でコストのかかることだと述べています。
また、「メトロマイルの魅力をすべてレモネード・カーに注入することで、最もシームレスで顧客中心の自動車保険商品を、最も手頃で差別化された、正確で公正なものにすることができます。それが計画です」と同氏は説明しています。
メトロマイル社は今年初め、金融サービス会社Cohen & Co.(COHN)の白紙委任会社であるInsu Acquisition Corp IIと合併し、株式を公開しました。
メトロマイルの株式は、2月に19.30ドルの年初来高値を記録して以来、84%近くも急落し、8日の終値は3.16ドルでした。
*過去記事はこちら「レモネード LMND」