「バロンズ選定 2021年トップCEOリスト」に選ばれたCEOの略歴紹介、その7回目です。
トビアス・リュトケ Tobias Lütke
Embed from Getty ImagesショッピファイCEO since 2008
ショッピファイは、世界中の小売業者が急いでオンラインストアを立ち上げたため、Covid-19の大流行で大勝利を収めました。オタワを拠点とするクラウドベースのEコマースソフトウェアのプロバイダーであるショッピファイは、そのおかげで驚異的な成長を遂げました。3月の四半期売上は、前年同期比で2倍以上の10億ドル近くに達しました。
ショッピファイは、反アマゾン・ドット・コムのような存在であり、170万以上の企業が消費者に直接販売できるソフトウェアを提供しています。最近の四半期では、決済プラットフォーム（Shop Pay）やフルフィルメント・ロジスティクス部門を追加し、ブランディング、Eメールマーケティング、広告などで加盟店を支援しています。
トビアス・リュトケCEO（40歳）は、ショッピファイを業界のトップ企業に育て上げました。2004年に設立された同社は、時価総額でカナダ最大の企業です。リュトケ氏の課題は、パンデミックが終息し、小売業者が通常業務を再開しても、ショッピファイの力強い成長を維持することです。
ショッピファイは3月の四半期決算報告で、ワクチンの普及に伴い、消費者の支出が「オフラインの小売やサービスに戻ってくる」と予想しています。2021年の推定売上高の42倍という高値で取引されている同社の株式を、リュトケ氏は、成長が鈍化して消費者が新たな日常を見つけたときにソフトランディングさせなければなりません。
C. ダグラス・マクミロン Douglas McMillon
Embed from Getty ImagesウォルマートCEO since 2014
2014年からウォルマートのCEOを務めるダグラス・マクミロン氏は、2016年にEコマースのスタートアップ企業であるJet.comを買収し、その人材とノウハウを使ってウォルマートのEコマース事業を急成長させた後、昨年Jetを閉鎖しました。この2年間で、ウォルマートの米国でのEコマースの成長は2倍以上になりました。
マクミロン氏（54歳）は現在、設備投資を昨年の100億ドル強から今年度は140億ドルに急増させています。店舗は後回しにして、大部分はEコマース、テクノロジー、サプライチェーンの改善に充てる予定です。
この支出により、売上高の伸びは好調ですが、1株当たりの利益は今年も来年もあまり伸びないとクレディ・スイスは見ています。しかし、その後は利益の伸びが加速すると予想しています。
アマゾンの成功例を参考にウォルマートは推定800万人のWalmart+の有料会員を集め、ウォルマートの買い物客の前に出す広告を販売するWalmartConnectが急成長しています。マクミロン氏の功績はこうしたことでウォルマートに繁栄をもたらしたことです。
ブライアン・モイニハン Brian Moynihan
Embed from Getty Imagesバンク・オブ・アメリカCEO since 2010
ブライアン・モイニハン氏は、「責任ある（responsible）」あるいは「持続可能な（sustainable）」といった言葉を付け加えずに成長について語ることはほとんどなく、たいていはリスク管理についても言及します。世界的な金融危機を受けてバンク・オブ・アメリカのCEOに就任したモイニハン氏は、リテールバンキングとウェルスマネジメントを中心に、保守的な経営を行ってきました。S&P500指数を上回るリターンを達成し、株主に大きな利益をもたらしました。
パンデミックの影響で、モイニハン氏が「デジタルに躊躇している人々」と呼ぶ人々が、小切手による入金などに携帯電話を使い始めました。投資銀行や商業銀行、ウェルスマネージャーは、ビデオ会議で生産性が向上することを知りました。
モイニハン氏（61歳）は、BofAに5年間で12億5,000万ドルを投資して人種平等を推進するよう指示し、少数民族が所有する預金機関や企業に資本を提供、プライベート・エクイティ・ファンドを設立しています。