C3.ai 収益化遅れへの懸念で急落

  • 2021年6月3日
  • 2021年6月3日
  • BS余話

C3.ai(シースリー・エーアイ)(AI)の株価が6月2日の時間外取引で急落しました。

シースリー・エーアイは、企業向けの人工知能(AI)を手掛ける企業である。顧客がインフラストラクチャー全体での大規模なエンタープライズAIアプリケーションを迅速に開発、導入、および運用できるようにする、ソフトウェア・アズ・ア・サービス(SaaS)アプリケーションを提供している。3つの区分でソリューションを提供している。C3 AIスイートは、顧客があらゆるタイプのエンタープライズAIアプリケーションを迅速に設計、開発、および配備できるように設計された包括的なアプリケーション開発およびランタイム環境である。C3 AIアプリケーションは、業界固有でアプリケーション固有のターンキーAIソリューションの大規模な成長している製品ファミリーを含み、直ちにインストールおよび配備できるものである。C3.ai Ex Machinaは、データサイエンスを日々のビジネス上の意思決定に適用するための分析を行う。

出所:マネックス証券銘柄スカウター

企業向けソフトウェアのパイオニアであるトム・シーベル氏によって設立された同社は、予知保全、不正検知、センサーネットワークの健全性、供給ネットワークの最適化、エネルギー管理、マネーロンダリング防止、顧客エンゲージメントなどの機能を提供し、米政府機関のほか石油や金融など幅広い顧客がクラウド経由でAIアプリケーションソフトを使用しています。

同社株は、2020年12月に1株42ドルで公開され、100ドルで取引が開始された注目の新規株式公開株式でした。数週間後には183.90ドルの高値を記録しましたが、その後急落。5月中旬には50ドルを割り込みました。

5月中旬には50ドルを割り込むまでになりましたが、最近の急騰により70ドル台半ばまで回復していました。6月2日も大きく上昇し、前日比6.12%増の76.15ドルという終値となりましたが、マーケット終了後に発表された決算で2~4月期決算は市場予想を上回ったものの、5~7月期の営業損益の赤字幅が拡大するとの見通しを示したことで収益化が遅れるとの懸念を誘い、時間外で株価は約10%下落、68.50ドルと暴落する結果となっています。

同社の4月30日に終了した四半期の売上高は、前年同期比26%増の5,230万ドルで、業界予想の5,060万ドルをわずかに上回りました。

サブスクリプション収入は、17%増の4,310万ドルでした。非GAAPベースでは、今後の成長を示す指標であるパフォーマンス・オブリゲーションは、前年同期比40%増の3億4510万ドルとなっています。顧客数は、前年同期比82%増の89社。1株当たり23セントの損失を計上しましたが、これは、26セントの損失を予想していた業界のコンセンサスを3セント下回るものです。

7月期の売上高は5,000万ドルから5,200万ドルと、ストリートのコンセンサス予想である5,050万ドルとほぼ一致しており、非GAAPベースの損失は2,800万ドルから3,500万ドルと予想し、赤字幅は2~4月期より大きくなります。市場予想は2930万ドルの赤字でした。

2022年4月期については、売上高を2億4,300万ドルから2億4,700万ドルと見ており、ストリートコンセンサスの2億4,000万ドルをわずかに上回っています。通期の非GAAPベースの損失は1億700万ドルから1億900万ドルと見ています。

決算の発表資料では、企業向けの「AIソフトウエア市場は急速に拡大し、業種や地域などを問わず関心の高まりが加速している」とし「製品や技術面での主導権を握り、エコシステムや供給能力を高めるため積極的に投資する」と述べています。

6月2日の時間外で暴落した株価ですが、それでも2022年度の予想売上の30倍近くという高いバリュエーションになっています。

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