ドキュサイン(DOCU)の株価は昨年、200%以上も上昇しました。パンデミックの発生とリモートワークへの移行により、電子署名のニーズが急増したからです。
ただ最近の株価の動きは冴えません。5月7日の終値で195.28ドルと2月の高値265ドルから26%も下がっています。決算発表は5月28日の予定ですので、その影響を受けたからではなく、グロース株からバリュー株へという全体の流れの影響を受けての下落と思われます。
また、電子署名のスペシャリストであるドキュサインをパンデミック銘柄と見なす人が多いことも、株価を下げた理由のひとつであるようです。
ただ、パンデミック銘柄と同社を見なすのは早計で誤認に近いかもしれません。
ドキュサインは、まだ始まったばかりの電子署名の分野では、誰もが認めるリーダーであり、それに見合う確かな資格を持っています。
ドキュサインで署名された契約書は、180カ国以上で法的に認められています。同社は、業界や地域の法律に準拠した、電子/デジタル署名およびID認証の業界標準を開発しました。さらに、文書は44の言語で署名でき、14の言語で送信できるため、真のグローバルソリューションとなっています。
数億人のユーザーを誇り、892,000人以上の有料顧客を抱えています。その中には、世界の金融企業トップ15社のうち10社、世界の製薬企業トップ20社のうち18社、世界のテクノロジー企業トップ10社のうち7社が名を連ねています。その結果、ドキュサインの電子署名市場におけるシェアは約70%と圧倒的です。
ドキュサインを利用することで、企業は時間とお金を節約することができます。平均的な電子署名は1日以内に完了し、紙の文書に署名するよりも約9日早く完了します。これは、紙のプロセスと比較して、1文書あたり平均約36ドルの節約になります。
電子署名はドキュサインのサービスの始まりに過ぎません。2019年初頭には、ドキュサイン・アグリーメント・クラウドを発表し、契約ライフサイクル管理(CLM)にも参入しました。
このプラットフォームは、組織が契約プロセス全体を自動化できるように設計された、一連のアプリケーションと統合を提供します。
CLMには、契約の開始、オーサリング、プロセスとワークフロー、交渉、承認、実行、管理とコンプライアンス、更新など、さまざまな段階があります。アグリーメント・クラウドは、このプロセスの各段階における作業を簡素化するソリューションを提供します。
昨年、CEOのダン・スプリンガー氏は、電子署名は顧客がドキュサインを利用する上でのスタートに過ぎないこと、広範なデジタル・トランスフォーメーションの旅にドキュサインと顧客が出発するための最初のステップである旨を述べています。電子署名の急増は将来の契約クラウドの拡大にとって良い兆候であると考えているそうです。
ドキュサインの財務状況は驚くべきものです。昨年の売上高は15億ドルで、49%増、サブスクリプション売上は50%増でした。また、契約済みでまだ売上に含まれていない売上を含むBillingsは、56%増の17億ドルに達しました。
まだ収益性が低いものの、多額の現金を生み出しています。昨年の営業キャッシュフローは2倍の2億9,700万ドル、フリーキャッシュフローは388%増の2億1,500万ドルとなっており、利益面での懸念を払拭することができました。
また、ドキュメント・クラウドという新しいサービスを加えたことにより、アドレス可能な市場を約500億ドルに倍増させたことも注目に値することです。
以上のようにドキュサインはパンデミックの後もその業績を飛躍的に伸ばすことができる力を持った企業です。セクターローテーションによる連れ安と思われる現在の株価は「買い」の絶好のチャンスです。