AI時代でもプロの67%がS&P 500に敗北 最新調査が示すインデックス投資の強さ

  • 2026年10月11日
  • 2026年10月11日
  • BS余話

✨ この記事でわかること

  • 2026年上半期、米国大型株ファンドの67%がS&P 500の運用成績を下回り、プロによる銘柄選択の難しさが改めて浮き彫りになりました。
  • 資産運用会社の55%がAIを投資プロセスに導入していますが、市場平均を上回るファンドの割合に明確な改善は確認されていません。
  • 過去20年間では90%以上の大型株ファンドがS&P 500に敗れており、長期投資におけるインデックス運用の優位性が注目されています。

AI(人工知能)が株式市場の分析に活用される時代になっても、プロのファンドマネージャーが市場平均を上回ることは依然として難しいようです。

米国の金融情報サイト「マーケットウォッチ」は10月9日、マーク・ハルバート氏による、AIを活用した銘柄選択の時代でも幅広い市場に投資するインデックスファンドの優位性が続いていることを紹介する記事を掲載しました。

記事では、S&Pダウ・ジョーンズ・インデックスが発表した最新の調査結果を取り上げ、AIの普及や株式市場の構造変化にもかかわらず、アクティブ運用のファンドが市場平均を上回ることの難しさを指摘しています。

プロの約3分の2がS&P 500に勝てなかった

今回の記事が取り上げたのは、S&Pダウ・ジョーンズ・インデックスが公表したアクティブファンドの運用成績に関する調査です。

この調査は「SPIVA」と呼ばれ、アクティブ運用の投資信託が市場指数に対してどのような成績を残したかを検証するものです。

調査によると、2026年上半期には米国の大型株に投資するアクティブファンドの67%がS&P 500の運用成績を下回りました。

特に注目されるのは、この割合が過去25年間の平均とほぼ変わらないことです。

市場環境や運用技術が変化しても、プロの運用者の約3分の2が市場平均に届かないという構図が続いています。

銘柄を選別して市場平均を上回ろうとするファンドにとって、S&P 500は依然として高いハードルとなっています。

大型ハイテク株が不振でも結果は変わらず

今回の調査で注目されるのは、2026年上半期の市場環境です。

近年のS&P 500は、エヌビディア(NVDA)やマイクロソフト(MSFT)、アップル(AAPL)など、時価総額の大きいハイテク企業の動向に強く影響されてきました。

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しかし、2026年上半期は状況が異なりました。

マーケットウォッチの記事によると、マグニフィセント・セブンと呼ばれる米大型ハイテク7銘柄の平均騰落率はマイナス3.1%でした。

S&P 500は時価総額加重型の指数です。そのため、主力の大型株が低迷する局面では、それ以外の有望銘柄を選ぶアクティブファンドが有利になると考えられます。

ところが、実際には約3分の2のファンドが指数に敗れています。

大型ハイテク株の勢いが弱まる環境でも、それを運用成績の向上につなげることは簡単ではないという結果です。

関連記事:S&P500が最高値更新 マグニフィセント・セブンが再び米国株をけん引

AIを導入しても投資成績は改善しないのか

もう一つの注目点は、資産運用業界におけるAIの普及です。

コンサルティング会社マーサーが2026年3月に公表した調査では、資産運用会社の55%が投資プロセスの少なくとも一部にAIを導入していました。

さらに27%が試験導入の段階にあり、AIをまったく導入していない運用会社は18%にとどまっています。

AIは企業の財務情報やニュース、株価データなどを大量に処理できるため、人間の分析能力を補完する技術として期待されています。

しかし、マーケットウォッチの記事は、AIの普及によって市場平均を下回るファンドの割合が明確に改善した形跡は確認できないと指摘しています。

ただし、この結果だけでAIが投資に役立たないと結論づけることはできません。

AIが情報収集や分析の効率化に貢献していても、それが必ずしも市場平均を上回る運用成績につながるわけではないということです。

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過去に好成績だったファンドを選べばよいのか

市場平均を上回るファンドが存在するのであれば、そのなかから優秀な運用者を選べばよいという考え方もあります。

しかし、問題は好成績を継続できるかどうかです。

S&Pダウ・ジョーンズ・インデックスの調査では、過去20年間の累積運用成績でS&P 500を下回った大型株ファンドの割合は90%を超えています。

これは、ある年に優れた成績を残したファンドが、その後も長期間にわたって市場平均を上回り続けることの難しさを示しています。

投資信託を選ぶ際には、過去の運用成績に目が向きがちです。

しかし、過去の上昇率が高いことと、将来も優れた成績を残せることは別の問題です。

特定の期間に好成績を残したファンドだけを見るのではなく、長期間の成績や運用コストも含めて評価する必要があります。

個人投資家にとって何を意味するのか

今回の調査は、個別株投資を否定するものではありません。

エヌビディアやブロードコム(AVGO)など、AI関連市場の成長を背景に業績を拡大する企業を見つけ、長期保有することには独自の投資機会があります。

関連記事:なぜブロードコム株は上昇し、エヌビディア株は停滞したのか?AI半導体競争の転換点

一方で、将来の勝ち組企業を事前に選び続けることには大きな不確実性が伴います。

インデックス投資の利点は、個別企業の将来を正確に予測しなくても、幅広い企業の成長に参加できることです。

また、一般的な低コストのインデックスファンドであれば、アクティブファンドに比べて運用費用を抑えやすいという特徴もあります。

もっとも、S&P 500への投資にも株価下落リスクがあり、米国の大型株に投資先が偏る点には注意が必要です。

関連記事:米国株の二極化が鮮明 S&P 500上昇でも7割超の銘柄が高値から10%以上下落

個人投資家にとっては、インデックスファンドを資産形成の中心に据えながら、成長性に期待する個別株を組み合わせる方法も選択肢となります。

大切なのは、個別株投資によってどの程度の追加リターンを目指すのか、そのためにどれだけのリスクを受け入れるのかを明確にすることです。

AI時代に改めて問われる投資の基本

AIによって企業分析に必要な情報を短時間で入手できるようになれば、個人投資家とプロの運用者の情報格差は縮小する可能性があります。

しかし、情報を多く集められることと、将来の株価を正確に予測できることは同じではありません。

さらに、多くの投資家が同様のAI技術を利用すれば、有望な投資機会が発見されても、その情報が株価に素早く反映される可能性があります。

AIの普及は投資分析の方法を変える一方で、市場平均を上回る競争を一段と厳しくすることも考えられます。

今回の調査結果は、こうした環境のなかで、銘柄選択に過度に依存しない投資戦略の価値を改めて考える材料になります。

まとめ

2026年上半期、米国大型株ファンドの67%がS&P 500の成績を下回りました。

大型ハイテク株が市場を牽引しない環境でも、またAIの活用が広がるなかでも、多くのプロの運用者が市場平均に届かなかったことは注目に値します。

もちろん、今後AI技術がさらに進歩すれば、運用成績に変化が生じる可能性はあります。

それでも、今回マーケットウォッチが紹介した調査結果は、低コストのインデックスファンドを長期保有するという投資手法の合理性を裏付けるものです。

AI関連の成長企業への投資機会を追求しながらも、市場全体の成長を取り込むという基本的な考え方を忘れないことが、長期的な資産形成において重要と考えられます。

情報ソース: MarketWatch: “More evidence that broad-market index funds remain unbeatable, even in the era of AI stock-picking” (By Mark Hulbert, Oct. 9, 2026)

※本記事は情報の提供を目的としており、特定の銘柄への投資を推奨するものではありません。投資は自己責任で行ってください。

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