米国株市場では、金利が上昇しているにもかかわらず、グロース株がバリュー株を大きく上回る異例の展開が続いています。
マーケットウォッチは9月17日付の記事で、この動きが株式市場の過熱を示す警告サインになる可能性を指摘しました。特に注目されているのが、現在の状況と2000年のドットコム・バブル直前との類似点です。
金利上昇は本来グロース株への逆風
グロース株は、将来の大きな利益成長を期待して高い株価評価を受けている企業が多くなっています。
企業価値を計算する際には、将来得られる利益やキャッシュフローを現在価値に割り引きます。金利が上昇すると割引率も高くなるため、遠い将来の利益に企業価値を依存するグロース株ほど理論上の価値が低下しやすくなります。
一方、バリュー株は比較的低いPERやPBRで取引され、現在の利益やキャッシュフローが企業価値に占める割合も大きいため、金利上昇の影響を受けにくいとされています。
そのため一般的には、金利上昇局面ではグロース株よりバリュー株が優位になりやすいと考えられています。
2026年はグロース株が大幅に優位
ところが2026年は、その一般的な関係が崩れています。
米10年国債利回りは2月下旬に3.99%まで低下しましたが、その後は上昇し、9月には4.9%前後まで上昇しました。
それにもかかわらず、マーケットウォッチがLSEGのデータを基に紹介したところでは、2月下旬から9月16日までのバンガードS&P500グロースETF(VOOG)のトータルリターンは15.2%となりました。
これに対し、バンガードS&P500バリューETF(VOOV)は5.3%にとどまりました。グロース株がバリュー株を9.9ポイント上回ったことになります。
金利上昇という本来なら不利な環境を無視するように、グロース株への資金流入が続いています。
ドットコム・バブル直前との共通点
マーケットウォッチが警戒する理由の1つが、1999年末から2000年初頭にも似た現象が起きていたことです。
1999年第3四半期末から2000年1月にかけて、米10年国債利回りは85ベーシスポイント上昇しました。
それにもかかわらず、S&P500グロース指数はS&P500バリュー指数を8.2ポイント上回りました。
金利上昇による株価評価への逆風より、投資家の成長期待が優先されたことになります。その後、ドットコム・バブルは崩壊し、グロース株は大幅な調整を余儀なくされました。
現在もAI関連企業を中心に強い成長期待が続いているため、マーケットウォッチは当時との類似性に注目しています。
市場は高い利益成長を織り込んでいる
グロース株が高金利環境でも上昇を続けるには、金利上昇による評価低下を上回るほど企業利益が成長する必要があります。
現在の株価には、非常に高い利益成長への期待が織り込まれている可能性があります。
記事ではファクトセットの予想として、2026年第4四半期のS&P500企業の利益が前年同期比26.3%増になる見通しが紹介されています。
この高い成長率が実現すれば、現在の株価評価を一定程度支えることができます。
一方、企業業績が市場予想を下回れば、高いPERを正当化することが難しくなり、株価が大きく調整するリスクもあります。
利益成長と株価上昇は必ずしも一致しない
マーケットウォッチは、ネッド・デービス・リサーチによる1927年以降のデータも紹介しています。
興味深いのは、企業利益が急成長している時期ほど株式市場のリターンが高いとは限らない点です。むしろ利益成長が比較的緩やかな局面で、S&P500のパフォーマンスが良かったケースもあります。
株価は将来の業績を先回りして動くためです。
市場が高成長を予想している場合、その期待はすでに株価に織り込まれています。そのため、実際の決算が好調でも市場予想を大きく上回らなければ、株価が下落するケースがあります。
現在のAI関連株を考えるうえでも重要な視点です。
バリュー株への資金移動にも注意
ドットコム・バブル崩壊後には、グロース株からバリュー株への大規模な資金移動が起きました。
今回の記事でも、PERやPBRなどの株価指標がS&P500平均より低く、配当利回りが高いバリュー株への注目が紹介されています。
ただし、現在の市場が2000年と全く同じ状況というわけではありません。
現在の大型テクノロジー企業の多くは、巨額の利益とキャッシュフローを生み出しています。AI向けデータセンターや半導体需要の拡大も、実際の業績を押し上げています。
そのため、グロース株の上昇だけを理由に、すぐにバブル崩壊が起きると判断することはできません。
今後は金利と利益成長のバランスが重要
今回のマーケットウォッチの記事で重要なのは、グロース株が上昇していること自体ではありません。
金利が大幅に上昇しているにもかかわらず、グロース株がバリュー株を大きく上回っている点です。
現在の高い株価水準を維持するためには、市場が期待している利益成長を企業が実際に達成する必要があります。
今後の米国株市場では、AI需要だけではなく、米10年国債利回り、企業利益の伸び、PERなどのバリュエーションを合わせて確認することが重要です。
特にグロース株への投資比率が高い投資家は、「企業が成長しているか」だけではなく、「その成長が現在の株価にどこまで織り込まれているか」にも注意する必要があります。
情報ソース: MarketWatch: “Why growth stocks’ surprising strength may be warning of a market bubble” (By Mark Hulbert, Sept. 17, 2026)
※本記事は情報の提供を目的としており、特定の銘柄への投資を推奨するものではありません。投資は自己責任で行ってください。
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