2025年、メタ・プラットフォームズ(META)とTikTokがテレビ画面に最適化されたアプリの開発に着手していることが明らかになりました。YouTubeがテレビ視聴で大きな成功を収めたことを背景に、両社はストリーミングTV市場に本格参入し、広告収益の拡大を狙っています。
インスタグラムがReels対応のテレビアプリを開発中
メタは現在、インスタグラムのテレビ向けアプリを開発中で、短編動画「Reels」などをリビングルームの大画面で楽しめる仕様になるとされています。iPad版のインスタグラムアプリや、Reels専用アプリの開発も進めているとの情報があります。
TikTokは横型コンテンツ重視の新TVアプリを準備中
TikTokを運営するバイトダンスは、過去6カ月にわたって新しいテレビ向けアプリの準備を進めています。狙いは、年齢層の高い視聴者の取り込みと、テレビでの視聴によって得られる高単価な広告収益の確保です。
2021年にローンチされた旧テレビアプリはすでに提供終了しており、新アプリでは高画質な横型コンテンツを重視した構成になる見込みです。
YouTubeが示したテレビ市場の可能性
グーグル傘下のYouTubeは、テレビ画面向けの戦略で大成功を収めました。2025年4月には、アメリカにおけるテレビ視聴時間でディズニーやNetflixを上回り首位に。特に65歳以上のユーザーによる視聴時間は、過去2年間で106%も増加しています。
メタとTikTokが進めるテレビ対応は、この成功モデルを強く意識したものと言えます。
縦型から横型へ:SNS動画のフォーマットが変わる
従来は縦型短編動画が主流だったSNS業界ですが、テレビ進出をきっかけに横型コンテンツへの移行が始まっています。TikTokは動画投稿の上限を15秒から最大60分に拡大し、横向き動画の投稿も促進中です。インスタグラムも以前「IGTV」アプリで長尺動画に取り組んでおり、現在は本体アプリでも横型に対応しています。
ロクやサムスンとの提携が成否を左右
テレビ向けアプリを提供するには、ロク、アマゾン、サムスンといったOS・ハードウェア各社との連携が不可欠です。アプリ内広告やサブスクリプション収益の分配も交渉材料となるほか、テレビ画面上のアプリメニューで存在感を示すことも重要になります。
TikTok幹部「リビングルームは新たなフロンティア」
TikTokのグローバル製品運用責任者デービッド・カウフマン氏は、カンヌライオンズ広告祭で「リビングルームは我々にとって非常に重要な新市場であり、真剣に取り組んでいる」とコメントしました。
動画視聴の中心がモバイルからテレビへと移行する中、SNS企業が家庭のスクリーンをめぐって争奪戦を繰り広げる構図が明確になってきています。