米国のバケーションレンタル大手であるエアビーアンドビー(ABNB)は5月1日、最新の四半期決算を発表し、2025年第2四半期における「宿泊数および体験予約数」の前年同期比成長率が、第1四半期と比較して緩やかになるとの見通しを示しました。これは、アメリカ国内における「より広範な経済的不透明感」が主な要因とされています。
4月にはラテンアメリカからのイースター旅行需要が堅調だった一方で、アメリカ国内では消費者心理の冷え込みにより、比較的弱い実績となりました。ただし、同社は「経済不安の時期にも適応できる」との自信を示しています。
売上予測はアナリスト予想に一致
エアビーアンドビーは、第2四半期の売上高が29億9,000万ドルから30億5,000万ドルの範囲になると予測しています。これは、 ファクトセット調べのアナリスト予想である30億3,000万ドルとほぼ一致しています。
また、調整後EBITDA(利払前・税引前・償却前利益)については、前年同期比で増加する見込みである一方、利益率は前年同期と比較して「横ばいからやや減少」となるとしています。これは、夏季商戦に向けたマーケティング費用の増加や新規事業への投資が影響するためです。
2025年には新規事業に最大2億5,000万ドル投資予定
同社は、2025年に向けて新たなビジネスの立ち上げと拡大に2億〜2億5,000万ドルを投資する計画であり、その詳細は5月13日に発表される予定です。通年の調整後EBITDA利益率については、少なくとも34.5%を維持する見通しです。
第1四半期は市場予想通りの結果に
2025年第1四半期におけるエアビーアンドビーの売上高は22億7,000万ドル、1株当たり利益(EPS)は24セントでした。これは、ファクトセット調べのアナリスト予想(売上高22億6,000万ドル、EPS24セント)と一致しています。
同社は株主向けのレターの中で、「世界で何が起ころうとも、人々は引き続きエアビーアンドビーを選んでいる」と述べ、そのビジネスモデルの柔軟性と持続性を強調しました。
しかし、決算発表後の5月1日の時間外取引において、エアビーアンドビーの株価は約4%下落しました。これは、今後の成長見通しに対する慎重な見方や、第2四半期の予約数成長率の鈍化予測が市場に警戒感を与えたためと考えられます。
旅行業界全体の状況は不透明感が継続
旅行業界全体では、アメリカ主導の貿易戦争や物価上昇によって企業や消費者の不安が広がっています。デルタ航空(DAL)は、「成長はほぼ停滞している」とコメント。ユナイテッド航空(UAL)は、「状況は予測不可能」とする2つの異なる見通しを提示しました。
一方、ブッキング・ホールディングス(BKNG)は、Booking.comやKayakといったプラットフォームを通じて、「地政学的およびマクロ経済的な懸念が高まる中でも、世界的なレジャー旅行需要は安定している」と発表しています。
エアビーアンドビーは「総合旅行プラットフォーム」への転換を目指す
エアビーアンドビーのブライアン・チェスキー最高経営責任者(CEO)は、単なる宿泊予約サイトにとどまらず、あらゆる旅行関連ニーズに対応できる「総合的な旅行プラットフォーム」への進化を目指しているとしています。また、ユーザーがより使いやすく、精度の高いおすすめ機能を体験できるよう、プラットフォームの改良にも力を入れています。
*過去記事はこちら エアビーアンドビー ABNB