メタ・プラットフォームズ(META)の広告事業にとって、中国市場が新たなリスク要因として浮かび上がっています。トランプ政権下で実施された関税や貿易戦争の影響が、中国企業による広告出稿に深刻な影響を与える可能性があるとアナリストが指摘しています。
中国企業の広告出稿に打撃、経済減速が要因
中国経済の減速が進む中、広告市場全体に対する影響が避けられない情勢になっています。モフェットナサンソンのアナリストは、過去の広告パターンの分析から、「経済が鈍化すれば、消費者の支出が抑制され、それに伴い広告需要も減少する」ことが確実と見ています。これは成果報酬型広告であっても例外ではありません。
米国の「少額通関免除制度」見直しが与える影響
トランプ大統領が提案する「少額通関免除制度」の廃止も、中国の電子商取引企業にとって打撃となります。この制度により、中国の企業は800ドル以下の小口商品を関税や複雑な税関手続きなしで米国に輸出できていました。しかし、この制度が廃止されれば、多くの中国企業は米国向け商品の価格を引き上げる必要に迫られます。
メタの広告収入成長の25%を中国企業が担う
過去2年間で、メタの中国企業からの広告収入は110億ドル増加し、同社の広告収益成長の約25%を占めました。そのうち約70億ドルは電子商取引関連と見られており、この分野が特にリスクにさらされていると分析されています。
2024年には、メタの中国からの広告収入は前年比34%増の184億ドルに達し、総売上の11%を占めました。メタのユーザーが存在しない中国で、これほど大きな売上を得ていることは非常に注目すべき現象です。
2025年に最大230億ドルの広告収入が消失する可能性も
モフェットナサンソンは、もし米中の貿易摩擦が長期化し、世界的な景気後退が続いた場合、メタは2025年の広告収入で最大230億ドルを失う可能性があると予測しています。これは同社の2025年の利益を約25%押し下げる可能性があります。
アナリストは目標株価を引き下げも、買い推奨は維持
このリスクを踏まえ、モフェットナサンソンはメタの目標株価を710ドルから525ドルに引き下げましたが、「買い」評価は維持しています。ただし、メタは過去1ヶ月において、「マグニフィセント・セブン」と呼ばれる主要ハイテク株の中で最もパフォーマンスが低く、株価は約21%下落しています。
今後、米中関係の行方や政策変更の影響が、メタの収益構造にどのような変化をもたらすか注視が必要です。
*過去記事 メタ・プラットフォームズ