新たな関税措置が発表され、テクノロジー株が大きく売られる中、それでも堅調なパフォーマンスを期待できる銘柄が一部存在しています。ループ・キャピタルとシュティフェルのアナリストは、こうした市場環境においても投資妙味のある企業があると指摘しています。
関税ショックでテック株が大幅下落
4月3日、ドナルド・トランプ大統領が新たな関税を発表したことで、ナスダック総合指数は5.97%下落し、過去約3年で最大の1日における下落率を記録しました。特に高バリュエーションの銘柄が大きく売られ、「マグニフィセント・セブン」と呼ばれる主要ハイテク株群は合計で1兆ドルの時価総額を失い、過去最大の1日での減少ペースとなりました。
バンセン・グループの最高投資責任者デビッド・バンセン氏は「このリスク回避の環境は、最もリスクが高く、バリュエーションが高い市場の一角、つまり大手テック企業や多くのAI関連銘柄、消費裁量セクターに影響を与える」とコメントしています。
「関税の時代」に強い企業の3つの条件
ループ・キャピタルのアナリストであるアラン・グールド氏は、「関税時代」において相対的に強さを持つ企業には3つの特徴があると指摘しています。
- 必需性の高い製品に基づく予測可能な継続収益モデルを持っている
- 収益が外国関税の影響を受けにくい
- 株価のバリュエーションが相対的に低く、財務レバレッジも抑えられている
この条件を満たすメディア企業として、コムキャスト(CMCSA)、ネットフリックス(NFLX)、フォックス(FOX)、チャーター・コミュニケーションズ(CHTR)を同氏は挙げています。
ただし、グールド氏は「どの企業も関税の影響から完全に逃れられるわけではない」とも警告しています。
経済減速リスクとメディア企業の対応策
景気の減速は、ケーブルおよびストリーミングサービス企業にとって、広告収入の減少リスクをもたらす可能性があります。また、インフレが進行すれば、消費者がより低価格のサブスクリプションプランへと切り替える可能性もあります。たとえば、ネットフリックスの広告付きプランが選ばれる傾向が強まる可能性があります。
それでも、グールド氏は、ケーブル企業が「価格競争力のあるブロードバンド/モバイル」やバンドルサービスを活用すればリスクを相殺できると見ています。ネットフリックスについては、そのスケールメリットによって、厳しい経済環境下でも市場シェアを拡大する余地があるとしています。
IBMも注目の銘柄に浮上
エンターテインメントやメディア企業以外では、シュティフェルのアナリストであるデビッド・グロスマン氏が、インターナショナル・ビジネス・マシーンズ(IBM)に引き続き強気の姿勢を示しています。
グロスマン氏によると、IBMは景気循環的な要素や海外市場への依存がある一方で、株価の割安感と業績の改善によって、リスクとリターンのバランスが取れてきていると評価しています。
実際、IBMの株価は年初来で11%上昇しており、これはAI関連支出の増加が同社にプラスに働くとの期待が背景にあります。
まとめ:関税環境下でも光る銘柄を見極める
米中貿易摩擦の激化や世界的な景気後退懸念が高まる中、テック株への逆風はしばらく続く可能性があります。しかし、安定した収益構造を持ち、関税の影響を受けにくい企業を選別することで、ポートフォリオの安定性を保つことができます。
投資家にとっては、短期的な市場のボラティリティに過度に反応せず、企業の本質的な強みに目を向けた判断がますます重要になっています。
*過去記事はこちら IBM