AIブームでも利益率低下?デル・テクノロジーズの最新決算を解説!

デル・テクノロジーズ(DELL)にとって、大きな不確定要素の一つとなっているのがドナルド・トランプ大統領の関税政策です。2025年2月に10%の関税が課された後、さらに10%の追加関税が中国に対して課される可能性が浮上しています。

デルの経営陣の見解

2月に実施された10%の関税については、デルの業績ガイダンスに織り込まれています。しかし、それ以上の追加関税については考慮されていないことが、2月27日の決算説明会で明らかになりました。

ジェフリー・クラーク最高執行責任者(COO)は、「これは非常にダイナミックな環境だ」と述べ、同社のサプライチェーンが多様であり、貿易規制の影響を最小限に抑えることが可能であると強調しました。また、「関税の影響を完全に回避できない場合、それを投入コストと見なし、価格調整が必要になる可能性がある」とも語りました。

第4四半期の決算発表

デルは27日、2025年1月期の第4四半期決算を発表しました。

  • 1株当たり利益(EPS): 2.68ドル(市場予想の2.52ドルを上回る)
  • 売上: 239億ドル(市場予想の246億ドルを下回る)

この発表を受けて、28日の朝の株価は6.5%下落し、100.82ドルとなりました。

株価の下落要因は「利益率の低下」

デルの株価が下落した要因の一つは、利益率の低下に関する発表です。同社は、競争の激化と利益率の低いAIサーバーの売上構成比が高まることを考慮し、2026年1月期の売上総利益率が前年比で100ベーシスポイント(1パーセントポイント)低下する見通しであると発表しました。前回の決算期でも、同様の理由で50ベーシスポイントの低下が見られました。

アナリストの評価は「買い」が多数派

デルの株価に対するアナリストの評価は依然として強気の見方が大勢を占めています。同社をカバーする10人中9人のアナリストが「買い」の格付けを維持しており、決算後もこの評価に変化はありません。

しかし、一部のアナリストは関税の影響について警戒を強めています。

J.P.モルガンとメリウス・リサーチの懸念

メリウス・リサーチのアナリスト、ベン・ライツェス氏は、デルのクライアント・ソリューション・グループ(コンピュータ、モニター、周辺機器を扱う部門)の利益率予想を引き下げました。関税の影響と市場競争の激化を理由に挙げています。ただし、同氏は「買い」の格付けを維持し、目標株価を155ドルと設定しています。

ライツェス氏は「関税が経済に与える影響は依然としてリスク要因だが、デルはITハードウェア業界の他の競合企業と比べて、多様なポートフォリオを持っているため、有利な立場にある」と述べています。

また、J.P.モルガンのアナリスト、サミック・チャタルジー氏も、関税がサプライチェーンの主要国で広く適用される場合のリスクを指摘しました。しかし、同氏も「オーバーウェイト」の格付けを維持し、目標株価を150ドルと設定しています。

まとめ

デル・テクノロジーズは、AI向けコンピューターとサーバーの需要を取り込みながら成長を続けています。しかし、関税の影響や競争環境の変化により、利益率の低下が懸念されています。市場では、関税がサプライチェーンや価格設定にどの程度の影響を与えるのかが今後の焦点となります。

株価は短期的に変動する可能性がありますが、多くのアナリストが「買い」の格付けを維持していることから、中長期的な成長を期待する投資家にとっては、今後の動向を注視する必要があります。

*過去記事はこちら デル・テクノロジーズ DELL

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