バイキング・セラピューティクス:肥満治療薬市場で10倍株を狙える理由

  • 2025年1月24日
  • 2025年1月24日
  • BS余話

近年、GLP-1薬と呼ばれる薬剤が注目を集めています。たとえば、オゼンピック(Ozempic)やウェゴビー(Wegovy)、さらにGLP-1とGIPを組み合わせた薬であるマウンジャロ(Mounjaro)やゼプバウンド(Zepbound)が挙げられます。これらの薬は元々2型糖尿病の治療薬として開発されましたが、顕著な体重減少効果が確認され、人気が急上昇しました。これに伴い、製造元であるノボノルディスク(NVO)やイーライリリー(LLY)は需要に対応するのが難しい状況となっています。

GLP-1薬自体は目新しいものではなく、2005年に承認されたバイエッタ(Byetta)がその始まりです。その後、多くの改良が施され、現在の主力薬剤へと進化しました。バイキング・セラピューティクス(VKTX)は、この分野で次世代の治療法を開発することを目指している小規模なバイオテクノロジー企業です。

バイキング・セラピューティクスが注目される理由

肥満治療薬減市場の拡大と課題

肥満治療薬市場の売上は、2030年までに年間1,500億ドル以上に達すると予測されています。この分野は現在、ノボノルディスクとイーライリリーの2社が支配していますが、長期的には競争が激化する可能性があります。

さらに、この薬剤クラスが体重減少以外の健康効果を持つことが注目されています。2023年のSELECT試験では、セマグルチドが心血管リスクを低減する効果が確認されました。この効果は単なる体重減少によるものではないとされています。また、ティルゼパチドが睡眠時無呼吸症候群の治療薬としてFDAの承認を受けるなど、適応範囲が拡大しています。

しかし、現在のGLP-1薬には副作用や高い価格、保険適用の制限といった課題もあります。特に、多くの患者が副作用や経済的理由から薬を中断している点が指摘されています。このような課題が新規参入企業にとって大きなチャンスとなっています。

VK2735:次世代GLP-1/GIP薬の可能性

バイキング・セラピューティクスのVK2735は、GLP-1とGIPのデュアルアゴニストであり、ティルゼパチド(マウンジャロ、ゼプバウンド)に似た薬剤です。しかし、VK2735は以下の点で優れている可能性があります。

  • 短期間での大幅な体重減少
    第2相試験「VENTURE」では、最高用量(15 mg)のVK2735を投与された患者の体重が13週間で平均14.7%減少しました。対照群では4%の減少にとどまっています。
  • 投与頻度の低減
    現在のGLP-1薬が週1回の注射を必要とするのに対し、VK2735は月1回の投与が可能である可能性があります。
  • 副作用の軽減
    副作用は他のGLP-1薬と同様に胃腸障害(吐き気、嘔吐、下痢、便秘)でしたが、軽度であり、時間とともに解消されることが多いと報告されています。さらに、経口版のVK2735は副作用がほとんどなく、「プラセボに近い」と評価されています。

これらの結果は第2相試験データに基づいており、さらなる検証が必要です。しかし、減量薬市場において競争力のある選択肢となる可能性があります。

なぜ今が投資のタイミングなのか

タイミングが重要

現在、VK2735は第3相試験への進展を目指しています。ノボノルディスクの後継薬やアムジェンなどの競合他社が新しい薬剤を開発している中、タイミングが成功の鍵を握っています。迅速に市場投入することで、競争優位性を確立することが期待されています。

強固な財務基盤

バイキング・セラピューティクスは、現時点で3.7億ドルの時価総額を持ち、9.3億ドルの現金を保有しています。この財務基盤により、第3相試験を自社で進めることが可能です。また、VK2735以外にも、脂肪肝疾患(MASH)治療薬であるVK2809や他の肥満治療薬候補を開発中であり、リスク分散が図られています。

リスク要因

試験進行の不確実性

VK2735が第3相試験に進むためには、FDAの承認が必要です。試験デザインやスケジュールの遅れが発生した場合、市場投入までの期間が延びる可能性があります。

市場競争の激化

減量薬市場は急速に進化しており、新規参入企業や既存プレイヤーとの競争が激しくなっています。この動向は株価に影響を与える可能性があります。

製造の課題

現在、ノボノルディスクやイーライリリーでさえ供給不足に直面しており、VK2735が成功した場合でも製造能力の確保が課題となる可能性があります。

まとめ

バイキング・セラピューティクスは、肥満治療薬市場において高い成長可能性を持つ企業です。特にVK2735は競争力のある薬剤として期待されており、成功すれば大きなリターンが見込めます。ただし、この投資はリスクを伴うものであり、特に臨床試験の進行や市場競争の動向が重要な要因となります。ポートフォリオに加える際には、リスク許容度を考慮した投資判断が求められます。

*過去記事「減量薬市場2025年の覇者は?バイキング・セラピューティクスが注目される理由

最新情報をチェックしよう!
>

幸せな生活作りのための米国株投資。
老後資産形成のための試行錯誤の日々を報告していきます。
皆様の参考になれば幸いです。

CTR IMG