AI業界の大注目企業、シースリー・エーアイ(C3.ai)の株価変動と業界トレンドについて

  • 2023年6月5日
  • 2023年6月5日
  • BS余話

人工知能(AI)は、21世紀の最も注目すべきテクノロジーの一つです。その中でも、最近特に注目を集めているのがシースリー・エーアイというAI分野の企業です。市場がAIの未来に対して抱く期待と懸念が、具体的にこの企業を通じて感じられます。今回は、その株価の動きと業界トレンドを詳しく見ていきます。

株価動向と市場の期待

ティッカーシンボルが「AI」のこの企業は、2022年を11ドルで終え、2023年に入り先週には44ドルという高値をつけるなど、近年にわたり大きな注目を浴びています。しかし、その株価は極めてボラティリティが高く、一時的な上昇が鈍化している一方で、今年に入ってからの株価上昇は3倍近くとなっています。

この株価の波乱含みの背景には、企業の具体的な動きと市場の反応が影響しています。先週の5月30日には、シースリー・エーアイがアマゾン(AMZN)ウェブサービスが運営するマーケットプレイスで同社のソフトウェアを販売すると発表したことが一因となり、一日で33%も株価が急騰しました。

しかし、続く31日には上昇分をすべて元に戻し、更に6月1日には13%も下落しました。これにより、一週間の変動では最終的には株価は10%弱の上昇で終わりました。このような株価の変動は、AI業界への期待と懸念、そして未来への不確定性が結果として現れているといえます。

CEOの見通しとAI業界の規制

そんな中でも、シースリー・エーアイのCEO、トム・シーベル氏は、強固な自信を見せています。同氏は経済誌バロンズのインタビューで、「我々はここで勝利を宣言する。私たちのビジネスは順調に推移している」とコメント。株価は一時的にその本来あるべき水準を外れたものの、現在は妥当な水準に戻っているとの見解を示しました。

一方、AI業界にとっての重要なテーマとして、ワシントンが人工知能ソフトウェアの規制を強化するかどうかという問題があります。しかし、シーベル氏は、AIモデルへの規制強化を「科学を犯罪化し、停止させること」と主張しています。その一方で、特定のAIの悪用に対応するための具体的な法規制には反対していないとも語っています。

AI業界の競争とバブルについて

競争については、シーベル氏は、生成AIに焦点を当てている多くの大企業が、エラーや商業利用の困難さなどから実用的なモデルを作れていないと指摘しました。それに対して、シースリー・エーアイの手法は、オープンソースの大規模言語モデル(例えばアルファベットのGoogle部門のモデル)を使用し、それと企業アプリケーションから取得した内部データ(顧客、財務、製品など)を組み合わせるというものです。

最後に、シーベル氏はAI業界にバブルが形成されているのかどうかについても触れています。同氏は、ほとんどすべての主要な技術革新がバブル期を伴ったことを指摘し、「我々はまだゲームの初期段階、具体的には第1イニングの前半にいるだけで、バッターボックスにはまだ最初の打者が立っている。」と述べています。

AI分野は、その可能性と共に様々な課題を抱えています。それはシースリー・エーアイの動きを見るだけでもはっきりとわかります。今後もこの業界の動きに注目し、その発展と市場の反応を見守りつつ、AIの未来を考えていきたいと思います。

*過去記事「AI投資ブーム:エヌビディア、シースリー・エーアイ、パランティアが牽引する市場の動向

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