ペイパル・ホールディングス(PYPL)は2月9日、第4四半期決算を発表しました。調整後利益を1株当たり1.24ドルと報告し、アナリストのコンセンサス予想1.20ドルを上回りました。さらに、人員削減と経費削減により、従来計画の13億ドルに加え、2023年にさらに6億ドルのコスト削減を行うことも発表しています。
しかし、その一方でペイパルは2023年のフリーキャッシュフローを50億ドルと予想し、2022年の水準から5.6%減少するとの見方も示しており、どのように受け止めるか難しい決算報告内容となっています。財務部長代理のガブリエル・ラビノビッチ氏がアナリストとの電話会議で、「インフレ圧力が裁量的な消費者支出に影響を与えている」と警告したことも、ネガティブな印象を与えました。
また、2023年通期のガイダンスを示すことをペイパルは保留しました。「様々な要素が絡み合う可能性があり、売上に関するガイダンスには責任を持ちたいと考えてる。昨年も、売上は四半期ごとに変動することがわかった」とダン・シュルマンCEOは決算説明会で述べています。
市場は今回の決算発表を前向きに受け止めたようで、株価は2月10日朝の市場の開始直後は4.5%急騰し、81.95ドルとなりました。
ニーダムのMayank Tandon氏は、格付けを「ホールド」とし、今後数四半期は成長が見込めないと予想していますが、ウォール街の誰もが、同氏のような慎重な見方をしているわけではありません。
J.P. モルガンのTien-tsin Huang氏は、10日に「オーバーウェイト「」の格付けと103ドルの目標株価を再度提示しました。同氏はペイパルを、同氏がカバーする業界の中で「よりエキサイティングなストーリーの一つ」と見ており、4億3500万人のユーザーというグローバルな規模と、決済の分野で最も急速に成長している分野の一つであるデジタルコマースへの高い相対エクスポージャーを気に入っています。
ウェドブッシュ証券のアナリスト、Moshe Katri氏もEコマースへのエクスポージャーを評価し、「アウトパフォーム」の格付けと目標株価100ドルを設定しています。さらに、ダン・シュルマンCEOCが9日に年末までに引退することを発表したことも同氏はポジティブな要素と捉えています。
トゥルイストのアンドリュー・ジェフリー氏も「買い」の格付けと目標株価を95ドルと設定してペイパルについて強気です。CEOの交代は「新しい考え方のための」機会を提供し、発表できる戦略的買収の「舞台を整える」と同氏は述べ、ペイパルのソーシャル決済アプリ、Venmoの店舗での存在の必要性に言及しています。
ウィリアム・ブレアのロバート・ナポリ氏とクレディ・スイスのティモシー・チヨド氏も、ペイパルのコスト削減を評価し、強気の見方をしています。チヨド氏は、今後数年間、より大きなマージン拡大をもたらすと見ています。
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