ASML 半導体の長期的な成長から恩恵を受ける優良株

ASMLホールディング(ASML)は、世界で最も重要な半導体装置メーカーの1つです。オランダに本拠を置く同社は、シリコンウエハーに回路パターンをエッチングするために使用されるフォトリソグラフィーシステムの世界最大のメーカーです。また、世界最小・最密のチップを製造するために使用されるハイエンドのEUV(極紫外線)リソグラフィ装置の唯一のメーカーでもあります。

ASMLのEUVシステムは1台約200万ドルで、出荷には複数の飛行機が必要です。世界で最も先進的なチップファウンドリーである台湾セミコンダクター・マニュファクチャリング・カンパニー(TSM)、サムスン、インテル、マイクロンはすべて、最新チップの製造にこれらのEUVシステムを使用しています。ASMLはまた、UMCやグローバルファウンドリーズなどの下位ファウンドリや、テキサス・インスツルメンツ(TXN)などの統合デバイスメーカー(IDM)にも、安価ではあるものの高度ではないDUV(深紫外線)装置を販売しています。

ASMLは半導体セクターの要と言うべきポジションにある会社ですが、その株価は今年に入ってから50%も下がっています。下落した要因としては、パンデミック後の世界におけるPC販売の鈍化、スマートフォン市場におけるインフレとサプライチェーンの圧力、データセンター事業者のより保守的な支出などが、半導体需要の減退をもたらし、ASMLの成長が鈍化すると予想されていることがあります。

ASMLの最大の顧客であるTSMCも最近、新型半導体に対する需要が冷え込む中、通年の設備投資を400億ドルから360億ドルに減額すると発表しました。

規制面では、米国のバイデン政権が最近、14nmノード以下の半導体を製造する中国企業に対する半導体、半導体装置、サービスの新たな輸出制限を可決しました。この全面的な禁止は、供給過剰を悪化させ、中国での長期的な売上を縮小させる可能性があります。ASMLは昨年、システム純売上高の15%を中国であげ、台湾(39%)と韓国(33%)に次ぐ同社第3位の市場となっています。

2021年、ASMLの売上と1株当たり利益(EPS)はそれぞれ33%と69%伸びました。しかし、今年、アナリストは売上高はわずか11%増、EPSは6%減と予想しています。この減速は、ASMLが半導体市場の成長鈍化に伴う周期的な減速に直面する可能性を示しています。

しかし、ASMLのシステムに対する市場の需要が、利用可能な供給を依然として上回っていることを指摘する強気の見方も存在します。現に7月にASMLは、需要の低下ではなく、サプライチェーンの制約が売上高の伸びを抑制していることを明らかにしています。

TSMCの最新のカンファレンスコールで、IR担当チーフのジェフ・スー氏も、同社の40億ドルの設備投資削減のうち半分は「装置の納入に関連するもの」であり、これはASMLから十分なEUV装置を受け取れなかったことを意味し、残りの半分は半導体販売の減速に関連する生産能力削減であると述べています。

TSMCは、より小型で高密度な半導体を製造する「プロセス競争」でサムスンやインテルに対するリードを維持するために、ASMLのEUV装置と新しい高NA EUV装置の安定供給を依然として必要としています。

したがって、半導体市場が循環的な減速に直面したからといって、TSMCやそのライバルがEUVの受注を大幅に減らすことはないだろうと強気派は主張します。むしろ、サプライチェーンの問題を解決し、安定したペースで納入を再開することで、ASMLの成長は再び加速されるはずだと彼らは見ています。

アナリストが2023年のASMLの売上高とEPSがそれぞれ22%、41%成長すると予想しているのはそのためです。昨年9月に更新されたASML自身の長期目標には、こうした長期的な楽観論が反映されています。2025年の売上高は240億~300億ユーロを見込んでおり、このレンジは半導体業界全体の見通しが低いか高いかを反映しています。

この予測は、ASMLの売上が2021年から2025年の間に年平均成長率7%〜13%で増加する可能性があることを示唆しています。しかし、ASMLは実際にはそのガイダンスを保守的に見ている可能性があります。ASMLは以前、2016年と2018年の投資家目標のレンジの高い値の方を予定より早く超えた実績があります。

弱気派、強気派、どちらに組みするか。今のように市場が大きく低迷している時には判断に迷いますが、半導体市場の長期的な拡大を信じるならば、ASMLがその拡大の恩恵を受けることは間違いなく、大きく下落した今は保有の絶好の機会かと思われます。

最新情報をチェックしよう!
>

幸せな生活作りのための米国株投資。
老後資産形成のための試行錯誤の日々を報告していきます。
皆様の参考になれば幸いです。

CTR IMG