大手ハイテク株決算 合言葉は「クラウドに不況はない」

7月25日から始まった1週間は大手ハイテク株の決算ウィークでした。その総括的な印象として浮かんでくるのはクラウドコンピューティングを扱っている会社の強さです。

金利の上昇、燃料費の高騰、ロシアのウクライナ攻撃、長引くサプライチェーンの問題、米ドルの高騰といった荒波に翻弄されている米国の経済界ですが、そんな中でもクラウドへの支出を減らす会社は少ないようで、アマゾン(AMZN)、マイクロソフト(MSFT)、アルファベット(GOOGL)というクラウドコンピューティング御三家のクラウド事業は6月期も好調そのものでした。浮かんでくる言葉は「クラウドに不況はない」です。

アマゾンのアマゾン・ウエブ・サービス(AWS)はウォール街の予想通り33%増。マイクロソフトのAzureは為替調整後で46%増えました。アルファベットのGoogle Cloud の売上は36%増加し、63億ドルに達しています。

クラウドに続いて注目されたのが、デジタル広告の動向です。総額としてデジタル広告への支出が減っていることが報じられていますが、全て一律に減っているわけではなく、広告主は費用対効果を慎重に見極めた上で減らすべきところとそうではないことろを選別していることが明確になりました。

勝ち組として浮かびあがってきたのが、アルファベットとアマゾン。アルファベットの傘下でもYouTubeの広告収入は4.8%増と冴えませんでしたが、検索連動型広告は好調だったようで、広告収入全体は12%増となっています。

ネット検索の結果に関係する内容を表示する検索連動型広告は、広告効果が高いと企業が判断し支出を減らしていないことが、このことからわかります。同じことはアマゾンでも起こっており、広告収入は18%増の88億ドルとなっています。

その一方で、アップル(AAPL)がユーザーのオンライン活動に関する情報を共有することを制限しているため、広告のターゲティングが困難となったソーシャルメディア関連の広告をメインとするフェイスブック、スナップ、ツイッターといったところは負け組。

フェイスブックを傘下に持つメタ・プラットフォームズ(META)は282億ドルという巨額の広告収入をあげましたが、前年同期の286億ドルからわずかに減少しています。スナップ、ツイッターはアナリストの予想を大きく下回る業績を報告し、株価が暴落してしまいました。

総じて見ると、アマゾン、マイクロソフト、アルファベットが経済の動向にあまり左右されない優良銘柄であることが改めて証明された1週間であったという印象です。

同じく好決算を発表したアップルについても経済の動向に左右されないという言葉が当てはまるのですが、クラウド関連の弱さと「次の何か」が足りないことが気になります。iPhoneに代表される既存の製品ラインアップに続く新しい主力製品が見えない今の状況では、見劣りすることは否めないと思います。

メタについては、大手ハイテク株の一角からこぼれ落ちつつあることが、より一層鮮明となった決算報告であったという印象。目先のことでは、広告ターゲティングの問題をどのように解決するかが喫緊の課題。メタバースについては、具体的な姿が浮かんでおらず、現状ではギャンブル的な要素が強すぎるのではないでしょうか。

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